表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

1話 入学式、そして始まり。

あくまで脚本形式です。お手柔らかにお願いします。


〈きみは男の子




 もし明日


 理想の人に告白されるとしたら


 なんて答える?




 きみの理想は何?




 きれいな人?


 それとも可愛い系?


 


 ショートヘア? 


 それともロング?




 体型は? 身長は? 足の長さは? 胸の大きさは………?






 ―――もし、全部選べるとしたら……






 ———本当に付き合えるんだとしたら……


 




 きみはこれからずっと



 『きみのまま』でいられる?〉


 


○初登校


「気まずいよな……そりぁ」



入学式初日、学校に登校中に侑斗(ゆうと)は人ごみの中ひとり呟く。

 


「何が気まずいんだ?」



すると突然、侑斗の後ろから見知った声が聞こえてくる。


侑斗はビクンッと驚くとともに、後ろを振り向く。



俊大(しゅんだい)……ッ!? って、お前いつの間に……」


「ちょうど後ろ姿が見えたんだよ」


「あー………」


「で?」


「………?」


「さっきのだよ? ブツブツひとりでしゃべってたじゃねーか」


「…………っ!」


 目を逸らす侑斗。


「……何でもねぇーよ、別に……」


「それ、『あるやつ』が言うセリフな」


「……………」




 気まずそうな顔を見て、俊大は




「―――ま、いいかそんなのこと。別にどうでもいいし」


「なら始めから聞くなっつーの………」


「今何か言ったかー?」


「………はいはい、何でもありません」



 大勢の生徒の中、校門を通るふたり。


 何一つ会話もないまま、歩いていく。



(……そういや、前にもこんな話したな)




○受付を終え、クラスの掲示板を見に二人は一旦別れる。自分のクラスを確認し終えた侑斗は人ごみの中から抜けだすと、自分よりも早く戻っていた羽瀬(はせ)俊大の方に向かって歩き出す。




「どこだった? クラス」


 と、侑斗


「4組。お前はどう———」






 ―――えっ、みよりも2組!?






 その時、少し先にいる女子の集まりの中から声が聞こえる。


 『やったー!』と、女子たちが騒いでいる。




 それを見ていたふたりのうち、俊大が話しだす。




「そう言えばさぁ」


「………?」


「前から思ってたけど…………お前、生田(いくた)のこと好きなんだろ?」


「は………ッ!?」


「いや……だってお前、生田といる時毎回挙動おかしくなってたから」


「…………!!」


「図星だなあこりぁ」


「———いや、違うッ。そうじゃなくて……」


「じゃなくて?」




(やべー、話逸らさねぇと……)




「皆、気づいてたのか? そのこと」


「そのこと……?」


「だから、おれが挙動おかしかったってことだよ」


「あー………そりゃあないと思うぜー。だってお前のこと興味あるやつなんて別にいないだろ、お前地味だし」


「おい言い方……」


「で、どうなんだよ? さっきの質問。やっぱり好きなのか?」



(げ………)



「おれは………」




 ———何が好きなの?




 そんな中、突然ふたりの間に生田みよりと、その取り巻きが現れる。



「————ッ!?」



(生田さん……!?)



「おー、生田。ちょうど今———」


 その瞬間、侑斗は俊大の勝手な発言を防ぐべく、片手で口を塞ぐ。




『お、おいッ! 何ずんだよいぎなり!!』


「こっちこそッ、何話そうとしてんだっ!!」




 せめぎ合うふたりを前に、女子三人組がぼおっとそれを眺める。


前澤イチカ「まったく、男子ってホンっとこういうこと好きですわな~」


 みより「そうかな?」


  イチカ「みよりは今まで見てこなかったのー? しょっちゅうこういう喧嘩みたいなことしてた男子いたでしょ?」


 そして一瞬、みよりはいまだにせめぎ合っている侑斗たちの方に目を向ける。


 みより「あー……たしかにそんなこともあったかも?」


南根ユカ「えっ!? 私知らないよ!? そんなこと」


 イチカ「あー……ユカは天然だから多分説明しても無駄だと思う」

   

  ユカ「……え、なんか今私バカにされた……?」


 イチカ「うんん、そんなことないよ。ユカはユカらしくいてねーって話」


  ユカ「私らしく………?」


 みより「あっ、終わった……!」




 そうみよりが口にするとともに、ふたりの視線も男子の方に行った。


 見れば、今までせめぎ合っていたふたりは「はあはあ」息を漏らしながらお互い少し離れた位置にいた。


 そんな様子を見たイチカは、二人に向けてぼそっと発言。


イチカ「で、ふたりはさっきから何で争ってた?」※呆れた風に。


みよりは、また俊大を警戒して一瞬目を向ける。


 侑斗「……いやッ、ホントに何もないから」


イチカ「何もないわけないでしょう? さ、白状白状!」


 侑斗「…………」


侑斗は、もう一度俊大に目を向けちゃんと隠し通そうとする様子を確認。しかし———


みより「あっ、それなら私聞いてたよ! 少しだけ」


 侑斗「………!」


イチカ「えっなになに!? なんて言ってた!?」


みより「えっとー……何かのことを好きなのか、それとも好きじゃないのか、みたいな……」


イチカ「えっ、何それ……!? 恋バナ?」


 女子三人の目線が男子に向かう。



〈いやいや………何て言えばいいんだよ!



 ……ていうか、ここで黙ったらやばいんじゃないか!?


 早く何か言わないと—――〉




 俊大「ははははっ! 違う違う!! 俺たちは普通に『映画の話』してただけだよ。昔の映画とか言っても、どうせ分かんないだろ?」


イチカ「あー……。……ってホントに映画の話ー?」


俊大 「ホントだよ」


イチカ「………ふーん」


俊大 「んじゃ、俺はあっちの方にでも行くっかな。別の組としゃべっててもしょうがないし」


そうしてこうじは、片手を高く上げながらその場を去っていく。


呆然とする女子たち。


イチカ「羽瀬(はせ)って何組なの?」


 侑斗「あー……四組って言ってた」


イチカ「ふーん。……ならーーーって………何だったっけ名前……」


 侑斗「……………」



 沈黙



 みより「鳴見(なるみ)くんだよ! イチカ」


イチカ「……え、そんな人いたっけ……?」


 みより「―――ってここにいるよ、もう~!」



(あはは……。おれも人のこと言えねぇー……)



イチカ「そっかそっか。じゃあ鳴見くんは何組だったのー?」


侑斗「二組……」


イチカ「あー、だから……」


みより「え! 鳴見くんも二組だったの!?」


侑斗「……あ、うん」


みより「そっか~。じゃあ結構多いねー、同じ中学の人」


イチカ「多いって言っても、大半は知らない学校の人たちだけどねー」


みより「でも少し安心しない? 知り合いがいるのって」


 ユカ「私も私も! みよりちゃんと一緒なのちょーうれしい~!!!!」


ふたり(みよりとユカ)が仲良くハイタッチ


イチカ「ま、同じ中学同士協力していきましょーや」


みより「だねだね!」


 ちえ「うん!」


イチカ「さてッ。そろそろ移動でもするかー、もうすぐ入学式始まるし」


みより「え! もうそんな時間!?」


イチカ「ウチらしゃべり過ぎなんだよ、さっきから」


みより「……………」


 みよりが侑斗に目を合わせる。


 侑斗の瞳孔が開く。


「またね!」


「………うん」


「……あっ、違った」


「………?」


「これからよろしくね、鳴見くん!」


 と言って、女子たちは侑斗の元を離れ生徒玄関の方へと向かいだす。


侑斗「……………」



(ホントわけが分からんというか………



 あれは一体


 何の『宣言』だったんだろう……)




〈中学が終わる最後の日―――




 おれは突然、生田さんから告白された




 そしておれはその告白を


 


 あっさりと断った〉


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ