第十五話・『とあるテレビ局が撮影した記録』
────取り壊し一年前
とある映像を撮影した元大学生へ取材をした。とある廃旅館で殺人事件が起き、複数名による死体が発見された話
その廃旅館では、曰く付きと言われ有名な廃旅館として名が通っていた。その殺人事件が起きる数年前に大学生サークルによる取材があったと情報を入手
確認しようとしたら厳重に保管され一切の情報が公開されていなく、唯一教えて貰った大学に問い合わせ、撮影者の名前だけを教えて貰い接触する事に成功した
彼は廃墟の写真撮影とかで有名になっていて、今でも出版する程に。そんな彼が教えてくれたのは……
撮影したカメラの中は異様だと言うこと。特に危険とされた、107号室と208号室で、107号室は回収前に録画停止と転倒、208号室では2時頃に録画停止となっていて、映像を見ると異常は無いものの、録画停止前にノイズが走り切れてると
そして、他のカメラ数台に記録されていたのが人の悲鳴がコダマした声で、その声はその場に居た誰にも聞こえてないと言う
ただ、彼等には特には異常無く、本当に怪奇現象の様な状態になっていたとの事
ただ、撮影こそしなかったが、他にも部屋はあるらしく、危険があって撮影が出来なかったと
取材していく過程でそれが気になり、その廃旅館の所有者に許可を取りに行く事に
そこで分かったのは……その廃旅館は一年後には取り壊しが決定し今は解体前との事
取材も最後になるし、廃旅館……当時の有名で豪華絢爛な旅館の最後となる事なので、取材許可が特別に下りて、危険な場所も撮影が可能な範囲で了承を得た
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取り壊し前の廃旅館に着くとカメラのセッテングを。今回は霊能者にも、安全の為にスタッフも用意して万全の状態へと
カメラをセッテングするのは他のスタッフでミーティングやら予定を確認して予定の時刻まで待つ事にした
今回は107号室、208号室、AB広間、地下階段、地下広間、特別室にセッテングをした。ただ、地下広間だけは浸水していて全体は映し出さずに見える範囲のみに
で、殺人事件が起きた場所が特別室との事なので、過去の事件と合わせて危険な部屋のみと、大学生サークルが撮影出来なかった場所を撮影する事に
予定の時刻である0時となり、録画をしつつ観察する事にした。暫くは何も無かったけど……A広間でコップが落ちる音がした
霊能者は特に反応を示さなかった……と言うよりかは異常と言う異常じゃないとの事。0時半頃には影が映り、霊能者はこの廃旅館とは関係無い人で彷徨ってここに来たとの事
特別室で1時前に話し声が聞こえてきて、霊能者も少し険しい表情をしていた
208号室でノイズが走って、霊能者は録画の確認していた。その時に別のカメラ……特別室で異常な光景が映し出されていて、霊能者がそれを見ると動かないよう指示される
208号室のカメラの録画が停止。霊能者の判断を待つことに。行けば危険なのが分かるのと……多分一人だと危ないと直感がそう告げていたから
特別室が異常な状態となり撮影が続行不可能なまでに……霊能者も危険と判断したのか取りに行く判断になり3時前……大学生サークルがやってた時間にもなって来ていた
各部屋へと回るが……全て録画停止か破壊されていたか……浸水へと落ちて回収不能になっていた
3時にやっぱり何が起きるのは確定……だけど、それ以上調べるのは霊能者により止められる
霊能者はこの廃旅館は危険よりも立ち入りするよりも壊すよりも……どうにもならない程に異界へと引きずり込まれた形で存在してる
そう告げていた。記事には出来るが……流石にこれをそのままという訳にも行かずに改変して出版した
だけど……大学生の彼にだけは真相を伝えに行く。彼は無言のまま
「大学生サークル……実は僕以外全員……殺人事件により死んだ……特別室で、理由は分からない……
けど、先輩とサークルメンバーで行き、そこで何かあったのか……これが届いたのが最後らしいです」
衝撃な事実と共に見せられたメールには……
『殺人現場を見てしまった……』
そう書かれていた。真相は分からない……ただ、別々の殺人事件が同一に起きたとしか考えられない……
彼はそのまま口を閉ざしていた
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一年後、廃旅館は取り壊された。霊能者も着いて慎重に。そして、その跡地には慰霊碑と供養の為の地蔵が置かれていた
社会人となった彼が花束を手に供えていて手を合わせていた。あの後、調べたら……最後の殺人事件は元大学生サークルのメンバーとは別で殺された人だと分かったと言う
そして、犯人自体はその場で死亡していて、死亡原因は不明で、分かるのは自らの手で死亡してる事だけだった。
地下広間に関しては……廃旅館が出来る前の空襲により逃げ込んだ住民が水責めに合った為に死亡した話だという
この廃旅館は幾つもの悲惨な状況が重なった最悪の旅館だと言う。霊能者も二度と関わりたくないと話す程だと
霊能者が確認していたノイズの写真を見せてもらい……絶句してしまった。ノイズの一部が映像となっていて、その背景は人が人を殺し内蔵を抜き出し解体する写真
それも鮮明になっていて、霊能者もこれを見て呪いよりも酷いと答えて終わった
最後に……これは大学生であった彼の撮影した録画テープと我々が撮影した録画テープを載せて本当の記事を完成させた
録画テープは合計で20本で0時~3時を録画した記録で、もうこの世に出せなくなった録画テープ。現在はとあるテレビ局の保管庫にて厳重に保管する事に
こうして取材は終了、この廃旅館跡地の犠牲者を弔い未来永劫残す事になる




