表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/16

第一話 プロローグ

ぽちゃん。


音がした途端、私の世界が凍った。


重力に引きずり込まれる感覚とともに、冷たい水が全身を包み込む。

肌を刺すような冷たさに縮み上がり、頭まで沈んで、光が消えた。


冷たい水が、鼻の奥にまで一気に押し寄せる。

ツンとした痛みが、頭の奥まで響く。


喉が焼け、肺がひっくり返ったみたいに痙攣しながら、空気を探して暴れる。


でも、息はできない。

吸えない。吐けない。

ただ、水が喉に、胸に、無理やり押し込まれていく。


手足を必死に動かしているのに、足首が重い。

何かが絡みついてる。

冷たく、硬く、離れない。


怖い――。


水の中は、こんなにも冷たくて、暗くて、音すら聞こえない。

なのに、なぜか知っていた。


ああ、まただ。

また、だ。


なんで? どうして「また」なんて思うの?

初めてのはずなのに――。


――だけど、違う。


身体が知っている。

死ぬ。絶対に死ぬはずなのに――。


――それでも、終わらない。


助けて、なんて言えない。

喉で溜まった泡が破裂していくだけ……。


意識が黒く沈む直前。

耳の奥で、遠い誰かの声が囁いた。


――また、おいで。


なぜか懐かしい、聞き覚えのある声。


私は、また死んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ