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すべてが崩壊した パート2

アーニクの家で、グループはただ呆然と座り、起きたばかりの出来事をまだ処理しきれずにいた。


空気は張り詰め、不信感に満ちていた。衝撃的な真実の重みが、まるで胸の上に嵐の雲のようにのしかかっていた。


ついにカイが沈黙を破った。皮肉と不安を帯びた声で言った。「ライオネルが最後の悪魔だったってのか?」


アーニクは眉をひそめながら歩き回った。「伝説の話だろ?でも…それってただの神話じゃなかったのか?」


カイは崩壊した地平線を指差した。「さっきの見た限りだと…神話ってわけじゃなさそうだな。」


誰かが口を開く前に、アーニクの目が空へと向いた。影が空を横切ったのだ。彼の目が見開かれる。5つのポッドが金属の機体をきらめかせながら、急速に降下してきていた。


「俺たち、死ぬな…」カイが絶望的に呟いた。


「全員、俺の近くに来い!」アーニクが叫び、緊張を切り裂くような声で指示を出した。


グループは彼のもとに集まり、恐怖が静電気のように肌を走った。


アーニクは腕を空に掲げ、青いエネルギーがバチバチと弾ける。「プラズマ変異——プラズマバリア!」


まばゆい光のバリアが彼らを包むように広がった。直後、ポッドが地面に叩きつけられ、轟音と共に爆発。衝撃波が周囲をなぎ倒し、アーニクの家も含め、すべてを破壊した。


埃が晴れると、そこには瓦礫だけが残っていた。煙が空気に巻き上がり、焼け焦げた臭いが漂う。バリアは数回ちらついた後、消え、かすかな残響だけを残した。


アーニクは大きく息を吐き、瓦礫に片手をついて身を支えた。汗が顔を伝い、呼吸は乱れていた。


「こんな使い方…初めてだ…」彼は苦しげに呟いた。


カイの声が崩壊した静けさを破った。「お前…ミュータントだったのか?!」


アーニクの表情は固まったが、声は冷静だった。「それは後で話す。今は動かなきゃ。」


アイカは腕を抱きしめるように震えながら叫んだ。「で…でもどこに行けばいいの!?逃げ場なんてない!」


「落ち着いて!」ローズが叫んだ。


「落ち着けって!?どうやって!?ママが…ママが危ないのよ!」アイカは涙を流し、嗚咽した。


アーニクは迷わず彼女を強く抱きしめた。


「大丈夫。俺に任せてくれ。」彼は低く、しかし力強く囁いた。


アイカは息を詰まらせ、そのまま力を失ってアーニクの腕の中で意識を失った。


アーニクはローズを見て指示を出した。「抱えてくれ。すぐに出るぞ。」


ローズは頷き、アイカを軽々と抱き上げた。「任せて。」


カイの視線が、煙の中からにじみ出る赤い光に向いた。機械の群れが、ゆっくり、だが確実にこちらへと向かってきていた。


「どこへ逃げるっていうんだ?」カイが訊いた。


「ここじゃない場所ならどこでもいい。」アーニクは目を細めて言った。「絶対に止まるな。」


彼らは煙と瓦礫の中を駆け抜けた。空気は血と灰の匂いで満ちていた。進めば進むほど、惨状は明らかになった——焼け焦げた死体、ちぎれた四肢、崩れた建物。


遠くで子供の悲鳴が響いた。それは鋭く、心臓を刺すようだった。


ローズは唇を噛み、アイカを抱える腕に力を込めた。


アーニクは安全な場所を求め、歯を食いしばって前を見続けた。「見るな。ただ走れ。」


カイが周囲を見回しながら息を荒げた。「で、どこに向かってんだよ?」


アーニクは一瞬言葉を飲み込んだが、目の前の建物を見て叫んだ。「違う、あっちだ!」


「違うって何が?」カイが聞き返す。


「急げ!あの建物の陰だ!」


彼らは崩れかけた建物の裏へ飛び込んだ。壁にもたれ、息を整える。


「正直言うと…希望なんか見えない。ライオネルはすべてを支配してる。地球の隅々まで。」カイが言った。「この地獄から逃げる唯一の方法は、星ごと脱出するしかない。」


ローズが首を振った。「船さえ見つかれば—」


ドガァン!!


彼女の言葉は爆発音で遮られた。


建物の壁が吹き飛び、7メートルの悪魔機械が姿を現した。燃えるような赤い目で彼らを見下ろしていた。


「避けろ!」アーニクが叫び、カイとローズを引っ張って立たせた。


アーニクは構え、掌に再びエネルギーを集める。「俺の後ろに!」


機械が突進し、巨大な剣を振り下ろしてきた。アーニクはすんでのところで避け、反撃に転じる。


彼のプラズマキックが機械の中心に直撃した。


機械は後方に滑ったが、まだ動いていた。


再び突っ込んできたそれと、アーニクは激しい格闘を繰り広げた。火花が飛び交い、地面は砕け散った。


彼の筋肉は悲鳴を上げ、呼吸もままならない。それでも彼は立ち向かった。


そして—隙ができた。


機械の一撃が大きく振り抜かれた瞬間、アーニクの目が鋭く光った。


「今だ…!」


拳にプラズマが集まり、彼は渾身の一撃を叩き込んだ。


ズガァンッ!!


その衝撃波が機械の装甲を粉砕し、内部の核を破壊。機械は爆発と共に崩れ落ちた。


アーニクは後ろに倒れ込み、荒い息をついた。「…やった。」


カイが瓦礫の中から顔を出した。「まじで倒したのかよ…」


ローズも震える息を吐いた。「アーニク、大丈夫?」


「大丈夫だ。」彼は立ち上がった。「だが…まだ終わっちゃいない。」


——そして、再び音が響いた。


ポッドのあった場所から、さらに6体のロボットが現れた。


「多すぎる…!」アーニクが構えを取り直した時、突然声が響いた。


「鎖魔法——チェインバラージュ!」


金色の鎖が地面から吹き上がり、すべてのロボットを貫いた。


——一撃だった。


現れた影は戦いで傷ついた鎧をまとい、仮面で顔を隠していた。


「お前たち、大丈夫か?」低く、鋭い声だった。


アーニクの動きが止まった。


その男が仮面を外すと、そこにいたのは——戦いに磨かれた、だが見覚えのある顔だった。


「…父さん…?」


アンドリュー・ハンダーフォールは無表情で息子を見つめ返した。


「質問は後だ。お前たちは船に乗れ。今すぐだ。」


轟音と共に巨大な脱出船が降下してきた。


今はただ——生き残ることが最優先だった。

船の後部ハッチが大きな音を立てて開き、中には全員が余裕で乗れるほど広大な空間が広がっていた。アンドリューの声は緊迫感に満ちていた。


「急げ——中に入れ!」


だがアーニクは動かなかった。


彼は拳を握りしめ、一歩前に出た。「アンドリュー…行けない。まだ見つけなきゃいけない人がいる。セクター4の、ハウス——」


アンドリューはその言葉を遮った。目が鋭く光る。「ハウス30、セントリオン家のことだな。誰のことか分かってる——俺が行く。だからお前はさっさと船に乗れ!」


父の一喝に、アーニクは思わず飲み込んだ。彼は唇をかみしめ、わずかなためらいの後、仲間たちと共に脱出船に飛び込んだ。


皆の息は荒く、疲労と恐怖がその顔に浮かんでいた。


金属のハッチが重々しく閉まり、船内に響いた。


エンジンが轟音と共に火を噴き、船体が急上昇する。下界の混沌を振り切るように、脱出船は空へと向かった。


アーニクは観測窓に近づき、最後の一度だけ、下の世界を見下ろした。


街は燃えていた。


業火が建物を喰らい、煙が空を覆っていた。地上には——市民、兵士、子供たちまで——ライオネルの襲撃で命を奪われた者たちが横たわっていた。


アーニクは顎を食いしばり、拳を震わせた。


もっと強ければ…

もっと、何かできたはずだった…


その時、小型機が残骸の間を縫うように飛んでいくのが見えた。アンドリューの機体だった。


アンドリューは操縦桿を握りしめ、険しい顔をしていた。時間との戦いだった。


「待ってろよ、坊主…必ず迎えに行く。」


——脱出船の内部には、重く沈んだ静寂が満ちていた。


現実が、彼らの胸に鉛のようにのしかかっていた。

彼らが失ったもの。

壊された日常。

奪われたものすべて。


アイカはまだ気を失ったまま、ローズの膝に頭を預けていた。普段は明るく冗談を飛ばすローズも、今はぴくりとも笑わず、耳も尻尾もほとんど動かない。それがどれだけ彼女が動揺しているかを物語っていた。


カイは少し離れた席で、無言のまま床を見つめていた。彼は泣いていなかった。話すこともできず、ただシャツの胸元を握りしめていた。


アーニクはその空気が耐えられなかった。


沈黙が。

喪失が。

そして——自分の無力さが。


彼は目を閉じ、深く息を吐いた。


まだ終わっていない。


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