青写真と赤面
水星の外縁研究ベイのひとつ——寒く、静かで、ホロターミナルの青い光が脈打つ以外は薄暗い——カイは曲がった机にうずくまり、指を震わせ、目が虚ろだった。
武器の設計図のホログラムが目の前に浮かんでいた——バラバラの形状、断片的な青写真、まとまらない壊れたアイデア。
また設計が失敗した。
彼はため息をつき、顔に手を滑らせ、額に汗がまとわりついた。過去8時間、彼は研究室を離れていなかった。紅茶は冷め、隣の食事トレイは手つかずだった。
「いや…これも十分じゃない」と彼はつぶやき、手を振って別の設計を削除した。
部屋には過去の試作品が散乱していた。過熱する刃。反動が大きすぎるプラズマライフル。エネルギーを急速に消耗するガントレット。何も機能しなかった。彼らが必要とする優位性を与えるものはなかった。
彼らには武器が必要だった——何か異なるもの。予測不能なもの。ライオネルの悪魔の機械やその異常な標準技術への耐性に挑戦できるもの。
カイは顎を締めた。
「戦いで勝てないなら…頭で勝つ。」
彼の指が再び動き、速く、激しく。光の火花が次の設計をなぞった——力ではなく…適応性に基づくもの。
彼は止まり、それを見つめた。
ハイブリッドシステム。手動と魔法。鋼とプラズマ。コアに組み込まれた予測AIターゲティング。
息が止まった。
「もしかして…」
彼は身を乗り出し、輝くすべての線を目で追った。
「これならいけるかもしれない。」カイは投影を見つめた。
そして「シミュレーション開始」を押した。
研究室に低い唸りが響いた。武器設計が仮想戦場にちらつき、焦げた地形に標的ダミーが並び、赤く光った。
武器がロックオン。
発射。
そして彼の顔で爆発した。
スクリーンがグリッチを起こし、コンソールから火花が飛び、上の通気口から煙がシューっと出た。
「…冗談だろ。」
彼は顔を覆い、うめいた。「あんなに詰め込んだからな…」
彼は椅子に倒れ込み、髪を激しくこすった。「魔法とプラズマは混ざらないってタカシマが言ってた…くそ、アイツが正しいの嫌いだ。」
試したことはすべてすでに試されていたか、爆発するようだった。
彼はさらに椅子に倒れ、天井をぼんやり見つめた。疲労が第二の皮膚のようにつきまとった。
「どうすればいい…」
コミュニケーターが鳴った。
カイはうめき、応答した。「はい、マスター、何ですか?」
タカシマの声がスピーカーから鋭く、忍耐なく響いた。「お前のケツに火をつけて何か解決しろって言ってるんだ。」
「言うは易し」とカイは硬く言った。
「そうそう。いいか、時間がない。新しい何かが必要だ、いいな?」
カイは彼が正しいと知っていて、それがさらに苛立たせた。
「うん…分かってる。」
「よし。任せるぞ。」
通話が終わった。
カイはため息をつき、コミュニケーターを机に放り、顔に両手を滑らせた。
「急かしたって助からない。」
それでも、彼は続けた。
書いた。設計した。再構成した。新しい設計図を描いた。やり直した。何度も何度も。
時間が過ぎ、壁のデジタル時計が無意味に点滅した。
目の下に大きなクマができていたが、彼は止めなかった。止められなかった。
なぜなら、何か——本当の新しさ——を作り出さなければ、皆死ぬからだ。
彼は目を半分閉じ、頭がコンソールに倒れそうになり、やめようとした。
すると、何か柔らかいものが彼の髪を優しく撫でた。
彼はビクッとし、混乱で瞬いた。視界が何時間もの不眠でぼやけ、頭を上げた。
彼の上に立っていたのはローズで、手が軽く頭に置かれていた。彼女の表情は柔らかく——ほぼ…優しかった。唇に珍しい笑みが浮かんだ。
カイは反射的に後ろに飛び、椅子から転げ落ち、床に広がった。
「ローズ!?何やってんだよ!?」
彼女はフンっと鼻を鳴らし、胸に腕をきつく組んだ。頬が偽の苛立ちで膨らみ、尾が苛立たしげにリズムを刻んだ。
「お前をチェックしに来たんだ、バカ!何日もこの研究室に閉じこもってる。今週全然訓練してないだろ。」
カイはうめき、顔をこすり、乱れた髪に手を滑らせた。
「忙しいんだよ!何か解決しないと。火星で起こったことが二度と起こらないように。」
彼は椅子に這い戻り、膝から灰と埃を払った。メガネが顔で曲がっていたが、直す気はなかった。
「休まなきゃ、バカ」とローズがつぶやき、視線を逸らした。「別に気にしてないけど…」彼女の声はツンデレのような低い唸りで消えた。
カイはため息をつき、メガネを直した。「もうすぐ止めるよ、いいだろ?少し…もう少し時間くれ。」
ローズはすぐには答えなかった。ただ椅子をキーキー音を立てて引きずり、彼の隣にドサッと座った。
「いいよ。私もここにいる」と彼女は宣言した。「お前がまた徹夜するバカにならないか見張るためだけだよ。」
カイはうめいた。「分かった、分かった…邪魔すんなよ。」
だが、彼女がそこにいるのは集中をほぼ不可能にした。
*どうやってあんなに冷静で無邪気でいられるんだ…?*彼は苦々しく考え、指がコントロールで震えた。文字通り一緒に夜を過ごしたのに、まるでホームルームに戻ったみたいにくつろいでる。
彼は頬に熱が上がるのを抑えようとし、わずかに赤くなった。
ローズはすぐ気づいた。
彼女の顔にその得意げな小さな笑みが広がった——お前の考えてることが分かるよ、と言わんばかりの。
彼女は身を乗り出し、机に肘をつき、息が彼の首をかすめた。
「仕事のこと考えてんだろ?」彼女は低く、遊び心のある声でからかった。
カイの目は逸れた。
「もちろん。」
彼女は俺を本のよう読む、彼は今や汗をかきながら思った。つまり…俺たちって付き合ってるの?聞いてられない。聞いたら多分こう言う——
「え、一緒にキスして寝たからってカップルだと思う?ハハ!カイ、覚えることいっぱいあるね。」
彼の顔が激しく引きつった。
「くそ——女って!!」彼は息を潜め、顔をこすった。
彼は長い息を吐き、声を落ち着かせようとした。
そして——彼は話した。
「ローズ」と彼は彼女を見ずと言った。「本当に…俺のこと好き?」
一瞬の沈黙。
研究室の唸りがその間により大きく響き、一瞬、彼は尋ねたことを後悔しかけた。
だが、取り消さなかった。
ローズはすぐには話さなかった。
カイも静かにし、不安で、研究室の柔らかい唸りが二人の間の沈黙を満たした。すると、ついに彼女の声が——静かで、震えながら響いた。
「カイ…」
彼は彼女の声の柔らかさに驚き、見上げた。
「謝りたい。」
彼女の手は膝で握られ、尾が背後にだらりとしていた。彼女は彼の目を見なかった。
「あの夜、したことは間違ってた」と彼女は震える声で言った。「何も使わなかった。考えてなかった。怖かった…お前だけが私を安全だと感じさせてくれた。」
彼女は喉の締まりを飲み込み、止まった。
「本当に愛してる」と彼女は囁いた。「ずっとそうだった。でも、お前が同じ気持ちじゃないんじゃないかってすごく怖かった。」
涙が頬を滑り、彼女は無理やり彼を見た。
「もしあの瞬間をお前から奪ってしまったら?初めての時…それは愛する女性と共有すべきもの。もしかしたらお前はそれを彼女に——私じゃなく——与えるはずだったかもしれない。」
彼女の声は自分を保とうとしながらひび割れた。
「カイ、お前からそれを奪うつもりじゃなかった。ただ——」彼女の息が止まり、目を拭った。「戦争の真っ只中でお前がした間違いにだけなりたくなかった。」
彼女は再び下を向き、肩が震えた。
「愛してる、でもお前に大事なものを私が壊してしまったんじゃないかって怖い…ただ自分の気持ちを抑えられなかったから。」
彼の顔が柔らかくなった。
それが彼女の気持ちか…本当に。本当にただの瞬間や恐怖、アドレナリンからじゃない。本物だ。
カイは彼女を——本当に見つめた。耳が低く垂れ、尾が背後にだらりとし、手が膝でわずかに震えていた。強く、からかう、大声のローズ…が彼の前で泣いていた。彼のために。
彼女は本当に俺を愛してる。
カイは静かにため息をつき、目を床に下げた。
でも…俺は彼女を愛してるのか?
胸が痛く鼓動した。愛がどんな感じか分からなかった。でも、ローズが明日いないという考え——その考えは思った以上に痛かった。
「ローズ…」彼はついに言った。
彼女は見上げ、目が赤く輝き、息が喉に詰まった。
「そんなに自分を責めるな」とカイは首の後ろをこすりながらつぶやいた。声は普段の皮肉なトーンではなく低かった。「ったく、めんどくさい奴だな…」
彼は頭をそらし、彼女の目を見なかった。
「ほら…嫌いじゃないよ。こういうの得意じゃないけど。俺の気持ち考えてくれて嬉しいよ。」
彼は息を吸い、顔がすでに赤く燃えていた。
「でも…」
彼は低い声でうめき、片手でメガネを押し上げ、表情を隠した。
「まあ、俺もお前のこと好きだと思う。」
沈黙。
そして——カチッ。
ローズは椅子が床でキーキー音を立てるほど速く立ち上がった。
彼女は尾を激しく振ってドアに向かって踏み鳴らした。
「ありえない!心を全部さらけ出して愛してるって言ったのに、めっちゃぎこちない『まあ、好きだと思う』って?!」
カイはビクッとした。「え——ちょっと、そ、そういう意味じゃ!」
ドアがシューっと開いた。
「また徹夜すんなよ、天才」と彼女は苛立ちで顔を赤らめ、飛び出していった。
カイは彼女の後ろ姿を見つめ、顔に手を滑らせた。
「…ったく、ありえない女だ」と彼はつぶやいた。声はさらに低くなった。「ありえない。」
彼は椅子に倒れ込み、スクリーンを見ながら悪態をついた——でも、考えはもう武器にはなかった。
一方、研究室のドアの外で、ローズは角を曲がったところで立ち止まった。壁に背を預け、ゆっくりと冷たい床に座り込んだ。
顔は真っ赤だった。尾が脚にきつく巻き付き、顔を手に埋めた。
柔らかく、震える笑い声が漏れた。
「カイ…バカ」と彼女は囁いた。「なんでお前に恋しちゃったんだろ?」
でも、彼女は笑っていた。本物の、暖かく、輝く笑顔。
彼は椅子に座り直し、研究室の沈黙が周りに落ち着くのを感じた。
「くそ、ローズ…これじゃ考えられない」と彼は顔に手を滑らせ、つぶやいた。
目の前のコンソールが無意味に点滅していた。設計図、計算式、図表——すべてが今やぼやけていた。
彼の考えは、招かれずとも、火星以前、戦争以前の年に漂った。ただ彼と沈黙だけのアパート。冷たい食事。空っぽの休日。誰も頼んでいないのに、ただ虚空を埋めるために費やした長い夜の工作。
話す相手がいなかった。誰も彼を恋しがらなかった。
あの頃、誰も彼が帰るのを待っていなかった。
今…誰かが待っていた。
カイはゆっくり前に身を乗り出し、机に肘をつき、長い重い息を吐いた。
メガネが少し滑り落ち、目が閉じた。
「おお、偉大なスピリット…どうかこれが違うものでありますように。」