解けた心。(15歳以上向け) (火星編終了)
カイはドアを開け、一歩踏み出す前に足が崩れた。
全く優雅さなく、彼は前に倒れ、ベッドに直に着地した。
くぐもったうめき声を上げ、体が動くのを拒んだ。
「うわ…みんなくそくらえ、俺を殺す気だろ…」彼は疲れ果てた声でつぶやいた。
数秒間ただ横たわった後、ようやく体を動かし、頭を少し上げたが、すぐに顔を枕に深く埋めた。
「一晩で5回徹夜したみたいだ…」彼は布にむかってつぶやき、もう動こうともしなかった。
カイは枕にため息をついた。「寝なきゃ…」
服を脱ぐのは面倒すぎた。体は鉛のようで、すべての筋肉が休息を求めて叫んでいた。まぶたが重くなり、息を吐きながら眠りに落ちそうになった。
その時、目を閉じる直前――
ドアが開いた。
カイはうめきながら、わずかに体を起こした。「もし枕を余分に借りに来たなら、好きに――」
途中で言葉が止まった。
脳がショートした。
ローズがドアに立っていて、彼の疲れは一瞬で消えた。
彼女は風呂上がりだった――ピンクの髪は所々濡れ、適当に梳かされていたが、顔の周りに自然に落ちていた。薄いピンクのシャツを着ていて、肩からずり落ち、鎖骨の滑らかな曲線が見えた。そして最悪なことに――胸元に窓があった。
カイの目はそこに直行し、脳が別のどこかを見ろと叫んだ。
そして、ショートパンツ。
短い。短すぎる。
彼女の引き締まった脚が完全に露出され、滑らかな肌が部屋の薄暗い光を捉えていた。彼女の小さな動きがすべてを悪化させた。
カイは顔が一瞬で熱くなるのを感じた。
これは不公平だ。
口を開け、閉じ、また開いたが、言葉が出てこなかった。言葉を形成する能力を完全に失った気がした。
ローズは眉を上げた。「何?」
カイは首を振って、むち打ちになりそうな勢いで顔をそらした。
「な、何って何だよ?!」声が裏返った。「な、なんでそんな格好してるんだ?!」
ローズは自分を見下ろし、まるで気にしてない様子だった。「どんな格好?」
カイは心の中で叫んだ。
彼は毛布を盾のように引っ張った。「そ、そんな格好だよ!!」
ローズはため息をつき、部屋にさらに踏み入った。「落ち着きなよ、風呂上がっただけ。慌てふためく小学生みたいになってるのが悪いんじゃない。」
カイは魂が体から抜けた気がした。
「俺、俺は――!!」声は完全に裏切り、どもりがひどくなった。顔は恥ずかしさで燃えていた。
今夜がこんな展開になるとは思わなかった。
彼女はニヤリと笑っていた。
「ただ話したいだけ。」
カイが反応する前に、彼女は歩み寄り、彼のすぐ隣に――近すぎる距離で座った。
彼は即座にこわばった。
「パーソナルスペースって知ってる?」彼はつぶやき、身を引いた。
「知らない」と彼女は即答した。
カイは顔をこすりながらため息をついた。「毎日のイライラを注入しに来たのか? さあ、早く済ませてくれ。」彼は少し離れた。
だが、彼女の口調が変わった。
真剣に。
「カイ…」
胃がキリッと締まった。
彼女が名前を呼ぶ声――いつものからかう声じゃなかった。
彼は彼女を見、表情が変わっていることに気づいた。これはただのからかいじゃない。
彼女はカイのシャツの袖をぎゅっと握り、すべてが崩れるのを防ぐように。
「怖い…」彼女は震える声で囁き、いつもの自信がどこにもなかった。
カイの表情がわずかに柔らかくなった。
「こんな話はアイカにすべきじゃないか?」彼はかわそうとし、彼女が心を開く相手として自分が適切か分からなかった。
ローズは首を振って、ピンクの髪が肩に少し揺れた。「アイカはぐっすり寝てる。知ってるでしょ…」
カイはごくりと唾を飲み込んだ。こんな弱い彼女を見慣れていなかった。
「分かった…」彼はゆっくり息を吐いた。「聞いてやるよ。全部ぶちまけな。」
ローズは完全に彼の方を向き、初めて――彼女の緑の目に涙が溜まっているのが見えた。
「カイ…本当に怖い…」声が割れた。「マーカスはあんなに強かったのに…死んだ。あっという間に。私たち二人でも勝てなかった…そして、そして…」
彼女の袖を握る手が震えた。
カイは大きく飲み込み、手を上げて彼女の頭を優しく撫でた。
「しっ、ローズ…大丈夫だ。」彼の声は低く、落ち着いていた。
彼女は答えなかったが、離れもしなかった。
「俺はそう簡単には死なない。」
彼女は鼻をすすり、息が不安定だった。「死なないでよね…」
カイは小さく笑ったが、いつものからかう調子はなかった。
「もっと…もっと強くなるよ。そしてお前も成長し続ける。」
ローズは彼を見上げ、尻尾がシーツに静かに横たわり、ほとんど動かなかった。
彼女はまた鼻をすすり、恥ずかしそうに顔を素早く拭った。
「そうしてよね」と彼女は静かに呟いた。
カイはため息をつき、ヘッドボードにもたれた。「うん、うん。プレッシャーなしでな。」
だが、すべてが重くても、彼女は彼の袖を離さなかった。
しばらく二人で静かに座っていた。部屋の微かなハム音と静かな呼吸音だけが聞こえた。
すると、カイは何か――速い鼓動音を聞いた。
少し首を傾け、ローズを見た。彼女はショートパンツの裾を握り、指の関節が固く、耳がわずかに動いていた。
何が――と尋ねる前に、
突然、彼は仰向けに。
頭が枕に当たり、ローズが上に。
「ロ、ローズ…?」顔が一瞬で熱くなり、心臓が胸でドキドキした。完全に恥ずかしく、完全に凍りついた。
彼女の目は彼に固定され、 rawで必死な何かで満ちていた。
「カイ…」声が震えた。「あんたを失いたくない…私、私…」
彼女は深く息を吸い、そして――
「カイ!!」
「大好き!」
言葉を処理する間もなく、彼女はキスした。
強く。
おお、俺の魂よ。
何が起きてるんだ。
まさかローズが今俺にキスしてるなんて…ありえない…
でも、これは間違いなく唇だ、相棒。
全身が固まり、頭が制御不能に陥った。
どうしたらいいか分からない。
彼女がキスを深めると、彼女の頬から涙が彼の頬に落ちたのを感じた。
男になれ。
だが、理性が即座に働いた。
悩んでる女の子を利用するのは間違ってる。
ゆっくり、彼女は唇を離し、息が不安定だった。
彼女の顔は完全に紅潮し、ピンクの髪は乱れ、濡れた肌に髪が張り付いていた。
緑の目は彼の目を焼き、すぐ近くに。
「カイ…」
「ローズ…」彼は大きく飲み込んだ。「俺…混乱してる…」
彼女の表情が苛立ちで歪んだ。
「バカ!」彼女は声が割れて叫んだ。「愛してるって言ったでしょ!」
カイの脳はまだ処理中だった。
「バカ!!」彼女はさらに大声で繰り返した。
そして――またキスした。
カイはこわばり、手が震えた。彼女を押しのけるか、引き寄せるか、存在をやめるか、まったく分からなかった。
彼女は彼の首に腕を巻きつけた。
初めて――彼は彼女を抱き返すことを考えた。
「カイ、あんたとのチャンスを逃したくない…愛してる…」
カイの頭はほぼシャットダウンした。
まさか彼女が俺をそんな風に愛してるなんて…
処理する前に、彼女はまたキスした。
全身がこわばった。
何か言わなきゃ…これが適切じゃないって――
思考が止まった。
彼女の舌?!
衝撃。
柔らかい…
カイは怖かった。混乱していた。頭が処理しろと叫んだが、速すぎた。
だが…彼は折れた。
体が勝手に動き、ためらいを本能が上回った。
彼はキスを返した。
彼女の唇の温もり、柔らかさ、しがみつく感触――すべてが心臓を制御不能にさせた。彼女が近づくにつれ息が詰まり、手が絡み合い、どちらも離したくないように強く握った。
ローズから静かなハミングが漏れ、彼女の体が彼に溶け込んだ。
カイは疲れか、溢れる感情か分からなかったが、今、ほかに何も存在しなかった。ただこれ。ただ彼女。
「もう少しだけ」と彼女は唇に囁き、声は息を切らし、ただの愛情以上の何かで満ちていた。
初めて、カイは考えず――感じた。
彼女のシャツが肩からずり落ち、滑らかな肌がさらに露わに。
「うっ…」彼女は囁くように呟き、顔が真っ赤に。なぜこんな行動を取ってるのか分からなかったが、止めなかった。
彼女の指がカイの胸を軽くたどり、背筋に震えが走った。ゆっくり、彼女は彼のシャツを開け、布が彼女の触れる下で滑り落ちた。
カイの息が詰まった。
彼は文字通り流されていた。
オタクにも…感情はある。
彼女が近づくと、尻尾が本能的に彼の腰に巻きつき、彼をそこに留め、わずかに引き寄せた。
薄暗い光が静かな部屋で柔らかく揺れた。彼らの息が絡み合い、心臓が同期してドキドキした。
そしてその夜…二人とも離れなかった。
親愛なる読者の皆さん、ここまで火星編の長い物語を読み進めてくれて、本当に心から感謝しています!たとえ一人でも読んでくれる人がいるだけで、私には十分です。ページをめくるたびに、私を突き動かすのはあなたたちです。本当にありがとう!




