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深宇宙戦闘

虚空を切り裂く爆発が響き、艦船同士が破壊の激しいバレエのように衝突した。プラズマの炎が闇を横切り、破壊された艦船、壊れた戦闘機、漂う死体の残骸を照らし出した。避難船はエンジンを轟かせながら深宇宙の安全を目指して突進した。


しかし、安全など嘘だった。


彼らはまだ閉じ込められていた。


マルクスは歯を食いしばり、戦闘機の操縦桿を握りしめ、敵艦の新たな波が迫ってくるのを感じた。


「隊形を維持しろ!」誰かが通信で叫んだ。「避難船の進路を確保する必要が——」


ドーン!


通信は、艦が砲撃で引き裂かれると途切れた。


「くそっ!」マルクスは唸り、破片が彼をすり抜ける中、戦闘機を急旋回させた。心臓が激しく鼓動し、耳がピクピク動き、照準システムが敵の戦隊を捉えた。彼の尾が一度振られ——そして急降下した。


ドーン。ドーン。ドーン。


一瞬で三隻が消滅。


「マルクス、落ち着け!」カイの声が通信で響き、冷静だが力強かった。「熱くなりすぎだ。」


「大丈夫だ。」


彼は大丈夫ではなかった。


ドーン。


カイがもう一隻を仕留めた。


一瞬の沈黙。


「……分かった」とカイがつぶやいた。「お前を信じる。」


ゼニス号の艦橋は混乱に包まれていた。タカシマが命令を叫び、警報が司令デッキに鳴り響く中、彼の声は鋭かった。


「状況報告!」


「ほとんどの艦が損傷を受けています!」中尉が叫び返した。「現在40%の稼働率です!」


タカシマの顎が固まった。「ポータル形成まであとどれくらい?」


「最低でも3分…」


「2分でやれ。」


「……了解!」


タカシマは鋭く息を吐き、こめかみをこすり、通信機を押した。


「お前ら、今すぐここに来い!」


ヴェインの声が響き、乾いた声にはストレスが滲んでいた。


「いや、行きたいのは山々だが——!」


外では、巨大な敵艦隊が到着したばかりだった。


戦闘機が群がり、避難船を絞め殺すように隊形を締め付けた。数十、いや数百の艦。プラズマの砲火が四方八方から降り注いだ。


「めっちゃ死にたがってるみたいだな!!」


タカシマは鼻の付け根をこすり、ため息をついた。「分かった…援護を送る。」


彼はボタンを叩き、チャンネルを切り替えた。


「マルクス、カイ!今だ!急げ、急げ、急げ!この座標をロックしろ!」


マルクスとカイの画面が点滅し、HUDに新しい座標が表示された。


「行くぞ」とマルクスが操縦桿を握りながら言った。


「了解!」カイが応じた。


彼らの艦はエンジンを熱く燃やし、雷のように戦場を切り裂いて新しい座標に向かって突進した。


ゼニス号 - 医務室


医務室では、エンジェル・スクワッドの残りのメンバーがさまざまな負傷状態で横たわり、医療スキャナーに繋がれ、地上での過酷な戦闘から回復中だった。空気は緊張で重く、モニターの規則正しいビープ音が最初に聞こえる唯一の音だった。


そして——


ガシャン!


アルニクが壁に拳を叩きつけ、医療トレイが飛んだ。彼の体は苛立ちで震え、拳は衝撃で熱かったが、彼は気にしなかった。


「役立たず」と彼はつぶやき、声は怒りで鋭かった。「俺、完全に役立たずだ。」


彼は歯を食いしばり、拳を握りしめた。「俺はあそこにいるべきだ。戦うべきだ。なのにここで、何もせず。」


突然、ドン!という音が医務室に響いた。


ローズの拳が彼の顎にぶつかった。


アルニクの頭が横に跳ね、唇が少し裂けた。彼は怒りを燃やして振り返った——が、彼女の睨みつける目を見て止まった。


「自分を哀れむのはやめろ」と彼女が鋭く言った。「癇癪を起こしたって何も変わらないぞ。」


アルニクは答えず、息を荒くしたが、ローズはまだ終わっていなかった。


「お前は最初の変異者だ、アルニク。自分の変異が宇宙で何か役に立つと本気で思ってるのか? 戦艦でも殴るつもりか?」


アルニクの耳が恥ずかしさで熱くなった。拳を両脇で握りしめた。


「……その通りだ」と彼はつぶやいた。「ただ…俺の師匠を助けられなかったのが悔しい。」


彼は鋭く息を吐き、爪が手のひらに食い込んだ。「あの悪魔使い…強い。あれが奴の最強じゃなかった気がする。」


部屋の向こうで、アイカは完全に眠り込んでいて、会話に全く動じていなかった。


ローズはため息をつき、首を振った。「まあ、そうだな。でもここでふてくされてても強くなれやしない。」


アルニクはもう一度、ゆっくり息を吐いた。彼女の言う通りだった。でも、心の奥底で、何かまだ彼を苛んだ。


待ち受ける敵はどれほど強いのか?


マルクスとカイはようやく避難船に到着し、戦闘機を素早く滑らせて援護に入った。


だが…助けは必要なかったようだ。


避難船の一つが異常な動きで飛び、通常のパイロットでは不可能な方法で混沌を縫うように進んでいた。プラズマの砲火をかわし、敵の隊形を危険なほど近くで切り抜け、ミサイルロックを最後の瞬間に回避して回転した。


マルクスは目を細めた。「…ハハ。クラウンが操縦してるな、絶対。」


カイはゆっくり息を吐いた。「それで納得だ。」


「いや、めっちゃ上手いな…」


通信がザザッと鳴った。


「悪いな、坊主たち!でも、俺たちで大丈夫!」クラウンの声が響き、過剰に自信満々だった。


「事前に言ってくれよ」とマルクスがつぶやいた。


「聞いてくれ!まだ助けが必要だ!」クラウンが言った。「あの戦艦の一つが避難船をボコボコにしてる——これを倒さないと長くは持たない!」


マルクスの照準システムが問題の敵戦艦をロックした。艦隊のすぐ上に位置し、ゆっくり進みながら苦戦する避難船に重いプラズマ砲火を降らせていた。小型の戦闘機隊がその弱点を守り、避難船の防御からの明確な射撃を防いでいた。


「お前、俺たちがあんなの倒せると思うなんて頭おかしいだろ」とマルクスが吻いた。


「いや、できる」とヴェインの声が通信を切り裂いた。


マルクスとカイは顔を見合わせた。


「エンジェル・スクワッドの艦には、非常に強力な魔法結晶がコアに搭載されている。それに、めっちゃ強力なミサイルもある」とヴェインが続けた。


カイはメガネを直した。「どんなミサイル?」


ヴェインの口調は、まるでとんでもないことを提案する気がないかのように軽かった。「戦艦を真っ二つにできるやつ。」


マルクスはニヤリと笑った。「よし、話が分かってきた。」


「ただ、一つ問題が」とヴェインが付け加えた。「超近距離なんだ。頑張れよ。」


マルクスの笑みが揺らいだ。「…は?」


「ちなみに!腹部を狙え!」ヴェインは通信を切る前に言った。


カイはため息をついた。「やっぱりな。」


マルクスは操縦桿を握り直し、肩を動かした。「まあ、考えすぎても仕方ない。」


カイは頷いた。「外すなよ。」


彼らはスラスターを全開にし、群れの中に突っ込んだ。


マルクスとカイは敵戦闘機が阻止しようと急ぐ中、混沌の戦場を縫うように突進した。プラズマの砲火が闇を照らし、コックピットをすり抜けるように飛んだ。彼らは巨大な戦艦に向かって突き進んだ。その戦艦は浮かぶ要塞のようで、巨大な砲台が脈動するたびに輝き、避難船に破壊を降らせていた。


「カイ、作戦は?」マルクスはミサイルロックを避けるため急旋回しながら尋ねた。


「もちろん」とカイがつぶやいた。「そこに着く前に死なないこと。」


「それが作戦か!」


戦艦は重装甲で、船体は何層もの装甲板で強化されていた。ヴェインが言及した弱点の腹部は部分的に露出していたが、数十の敵戦闘機がそのエリアを巡回し、滑らかな艦が死の防壁を形成していた。ドローンが戦闘機の間を飛び回り、脅威をスキャンし、戦艦の主砲に標的データを送信していた。


マルクスは歯を食いしばった。「簡単にはいかないな、こいつら。」


カイの冷静な声が響いた。「なら、動かしてやる。」


マルクスはニヤリと笑った。「それでこそだ。」


二人は分かれた。


カイは戦艦の側面に低く潜り、マルクスは敵の注意を引くように旋回した。


敵戦闘機は即座にマルクスに食いつき、プラズマ弾が彼の周囲の空気を切り裂いた。コックピットの鋭い警報が叫び、彼は狂気の中をくぐり抜け、さらなる一斉射撃を辛うじて回避した。


「よし、俺が囮だ!」マルクスは不満げにつぶやき、別の戦闘機がロックオンする中、艦をタイトなコークスクリューに翻した。「カイ、そろそろだろ!」


「もう少し。」


「それ、望んでる答えじゃねえよ!」


カイの艦は外科的精度で戦場を縫い、照準システムが計算を走らせながら戦艦の腹部に接近した。ミサイルは準備完了——彼には開口が必要だった。


「マルクス、クリアな射線が必要だ」とカイが言った。


マルクスは目を細め、敵艦の隊形を分析した。「分かった、待ってろ!」


彼は急旋回し、追っ手を近づけさせた——そして突然スラスターを叩き、速度を急激に落とした。激しい減速で艦が前に揺れ、敵の追跡システムを狂わせた。


敵艦は彼を追い越し、隊形が遅れて調整する間に散乱した。


マルクスはその瞬間を捉え、混乱した艦をロックオンし、砲火の嵐を浴びせた。三機の戦闘機が即座に爆発し、炎の残骸が戦艦の船体に向かって螺旋を描いた。


「今だ、カイ!!」


カイの指がトリガーの上を漂った。照準レティクルが赤く点滅した。


ドーン。


ミサイルが発射され、戦艦の露出した弱点に向かって突進した。


敵戦闘機は気づくのが遅すぎた。


巨大な爆発が戦艦のコアを突き破り、内部から炎とエネルギーが引き裂いた。二次爆発が起こり、炎と破片が宇宙空間に噴出した。艦全体が激しく震え、エンジンがちらつき、構造が内側から崩壊した。爆発の重力で近くのドローンが吸い込まれ、脆弱なフレームが衝撃波に巻き込まれて引き裂かれた。


マルクスは破壊から急いで離れながら叫んだ。「やったぜ!!」


カイの艦が彼の横に浮かび、声はいつも通り冷静だった。「直撃。」


戦艦は最後の轟音とともに爆縮し、破片があらゆる方向に散らばった。残りの敵戦闘機は混乱し、旗艦が虚空に漂う残骸に還元されると右往左往した。


避難船はようやく自由になった。


マルクスは深い息を吐いた。「よし、めっちゃカッコよかった。」


カイはため息をついた。「そして無謀だった。」


「それが悪いことみたいに言うなよ!」


通信がザザッと鳴った。


「いい仕事だ、坊主たち」とヴェインの声が響いた。「死ぬ前に戻ってこいよ。」


マルクスは額の汗を拭い、ニヤリと笑った。「今行く。」

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