ラインを保持せよ パート2
アルニクの耳がキーンと鳴った。世界は光と混沌の閃光でぼやけていた。彼はよろめきながら立ち直ろうとしたが、戦場は破壊の嵐だった。
魔法の矢が彼のそばを飛び交い、壊れた地面を切り裂き、埃と瓦礫を巻き上げた。空気は焦げた土と血の臭いで満たされていた。
彼は必死に周囲を見回した。「カイ!ローズ!マルクス!」
ドーン。
突然の衝撃が彼の胸を直撃した。その力は彼を後ろに吹き飛ばし、肋骨が悲鳴を上げた。彼は瓦礫の山に激突する前に身構える暇もほとんどなかった。
ぼやけた視界の中、彼は見上げた――ちょうどデーモンユーザーが彼を見下ろしているのに気づいた。そのギザギザの顔には邪悪な笑みが広がっていた。
そして、それは襲いかかってきた。
アルニクはかろうじて横に転がり、クリーチャーの爪の拳が彼の頭があった場所を砕いた。彼は反撃し、手から炎が噴き出し、クリーチャーの胴体に炎の爆風を送り込んだ。デーモンは叫び声を上げ、よろめきながら後退した。
だが、休息の時間はなかった。
カイは戦場を駆け抜け、彼の武器は短剣から槍、槍から剣へと素早く変化した。動きは正確で、すべての攻撃が命中した。しかし、どれだけ倒しても、次々と敵が現れた。
ローズは動きの渦だった。彼女の槍が致命的な弧を描き、顔には血が付着し、耳がピクピクと動いた。彼女は追い詰められた獣のよう本能的に戦い、壊滅的な一撃をかわした。
そして、マルクスがいた。
マルクスはまるでデーモンのように戦った。
彼は避けなかった。退かなかった。
彼は行く手をすべて引き裂いた。
デーモンユーザーが飛びかかってきた――マルクスはその腕を振り下ろす途中でつかみ、ねじった。戦場に響き渡る嫌な音がした。クリーチャーは叫び声を上げたが、マルクスは止まらなかった。彼は額をその顔に叩きつけ、よろめかせた。
別のデーモンユーザーが背後から襲いかかってきた。マルクスは振り返りもしなかった――彼はトライデントソードを槍のよう後ろに投げつけた。それはデーモンの胸を貫通した。
まだ終わらない。
彼は最初のデーモンを引き寄せ、素手でその腕を引きちぎった。血が彼の顔に飛び散り、狂気の笑みを滴らせた。
クリーチャーは叫び、再生を試みた。
マルクスはそれに飛びかかり、牙をその喉に突き立て、猛獣のよう肉を切り裂いた。
それはゴボゴボと音を立て、なおも回復しようとした――
彼はその胴体をつかみ、引き裂いた。
腕の血管が膨らみ、彼はデーモンを真っ二つに引き裂き、その内臓が地面にこぼれた。
それでもなお動いていた。
マルクスは頭を踏み潰した。
何度も。
何度も。
何度も。
骨と脳が砕ける音が地面に飛び散った。
デーモンの体はまだ再生しようとした。
マルクスは止まらなかった。
それがドロドロになるまで。
彼の息が荒々しくなるまで、彼の体が血で滴るまで――そのほとんどは彼自身の血ではなかった。
カイは立ち止まり、見つめた。
「……マルクス……」彼はつぶやいた。
これはただの残虐さではなかった。
これは何か別のものであった。
マルクスは怪物のように見えた!!!
アイカの声が通信機からパニック状態で響いた。「アルニク!生きて帰ってきて!全員!お願い、撤退して――今すぐ!」
アルニクは歯を食いしばり、もう一撃をかわし、デーモンを吹き飛ばした。「やってるよ!」
だが、マルクスは撤退しようとはしなかった。
彼は前に進み、ブーツが焦げた地面を踏みつけた。刃は新たな血で輝いていた。
サツジン。
彼は無傷で、戦場の中央に立っていた。空気が彼の意志に屈するように歪んだ。彼の赤い目がマルクスに固定され、知的な笑みが唇に浮かんだ。
マルクスは待たなかった。
彼は煙の中から飛び出した。「おい!」
二人の刃がぶつかり、火花が散った。
マルクスは猛烈な力で攻撃した。
サツジンはほとんど動かず、攻撃を滑るようにかわした。怠惰に。退屈そうに。楽々と。
マルクスは唸り、構えを変えた。
遅すぎた。
サツジンが彼の防御の内側に滑り込んだ。
手がマルクスの喉に締め付けられた。
ガキッ!
彼のヘルメットが砕けた。
マルクスはむせ、締め付ける手に爪を立てた。足が地面を蹴り、視界が暗くなった。
サツジンが近づいた。「お前を覚えている……小さな狼の子。まだ弱い。両親と同じだ。」
マルクスの目に怒りが爆発した。
彼は引きちぎって地面に倒れ、咳き込んだ。
サツジンが笑った。「隠れているべきだったな。」
そして彼は消えた。
シュン!
マルクスはひるんだ。胸に血の線が浮かんだ。彼はよろめき、息を呑んだ。
サツジンは剣から血を振り払った。「失望したな。セントリオンならもっと期待していた。」
「マルクス!」カイが叫んだ。
彼は駆け寄った――が、地面に叩きつけられた。
デーモンユーザーが彼を押さえつけた。
「どこへ行く、小さな魔法使い?」
カイはもがいた。
「よく見ろ」とデーモンが囁いた。「あいつがどれほど簡単に死ぬか見せてやる。」
その握力が強まり、爪がさらに食い込んだ。
カイは唸り、歯を食いしばり――指をひねった。
手に握っていた武器が輝き――短い刃に変化した。
必死の動きで、彼はそれをデーモンの腹に突き刺した。
シュン!
クリーチャーは目を見開き、息を呑んだ。
カイはさらに強く押し込み、刃を深くねじり、黒い血が彼の手に溢れた。
デーモンはゴボゴボと音を立て、力が弱まった。
「どけ」とカイが唸り、刃を引き抜き、それを蹴り飛ばした。
サツジンが剣を上げた。
マルクスは防御しようとした。
ドーン!
サツジンは吹き飛ばされ、壁に激突した。
煙が空気に渦巻いた。
カイは頭を振ってその源を見た。
クラウンが混沌の中に立ち、掌から魔法が火花を散らしていた。
彼は笑った。「もっとうまく教えたはずだ。」
マルクスは剣を握りしめ、立ち上がった。「どけ……まだ終わってない。」
クラウンは手首を振った――マルクスはよろめく程度に押し戻された。
「おっと、子犬」とクラウンが笑った。「この男はお前の百倍強いぞ。」
マルクスは唸った。「関係ない。」
クラウンはため息をついた。「俺には関係ある。さあ、動け、さもないと動かしてやる。」
カイは地面から這い上がり、歯を食いしばった。
柔らかい手が彼をつかんだ。
「ほら、起きなさい~」
ミウが彼を助け起こし、まるで散歩のような笑顔を浮かべた。「はい、良くなった。」
「え……ありがとう。」
「どういたしまして~」
一方、ブリッツは戦場を残酷に切り開いた。
彼女の踏み出す一歩ごとに地面がひび割れ、拳の振りごとに鉄がスクラップに変わった。叫び声と火花が彼女の後を追い、敵の機械を人間のノコギリのように切り裂いた。
彼女のスピードは不可能だった。
追跡できないほど速く、予測できないほど鋭い。
ある瞬間、彼女は空中に――回転し、唸りながら――次の瞬間、機械兵の顔が彼女のブーツの下で地面に叩きつけられ、衝撃が瓦礫の地面を揺らした。
そして――彼女は止まった。
彼女の目が前方のある一点に固定された。
一枚のコンクリートの塊。それが動いた。
ためらいはなかった。
ブリッツは前に飛び出した。ブーツが地面を強く打ち、埃を巻き上げ、彼女は瓦礫のそばで片膝をついた。
低い唸り声と共に、彼女はコンクリートの塊の下に指を差し込んだ。
パキッ。
彼女の握力で石が割れた。
筋肉が収縮し、彼女はそれをまるで段ボールのように投げ捨てた。
その下に――
「ローズ」と彼女はつぶやいた。
少女はまるで捨てられた人形のようにつぶれ、傷つき血まみれで、槍を震える指でかろうじて握っていた。耳が微かに動いた。頭の傷から頬に長い赤い跡が流れていた。
ブリッツの唇が引きつった。「しっかりしろ、女。」
ローズはうめいた。彼女の声はかろうじて聞こえ――生々しく、不確かだった。
だがブリッツは待たなかった。
「ここで死ぬんじゃない。」
何の儀式もなく、彼女はローズを担ぎ上げ、ジャガイモの袋のよう肩に投げた。
そしてまた走り出した。
炎を抜け、クレーターを抜け、崩れる瓦礫と機械の咆哮を抜けて。彼女のシルエットは、引き裂かれる世界を横切る動きの渦だった。
前方では、避難ドロップシップが浮かんでいた。ランプが下り、エンジンが離陸の準備で咆哮した。
彼女はカイとミウの前で滑り止まった。
一言も発せず、ローズを彼らの足元に落とした。ローズは弱々しい息と共に地面に落ちた。
「その避難船に乗れ」とブリッツが命じ、胸が上下した。
カイは目を見開き、顔の横から血が流れていた。
「でも、お前は……?」
ブリッツは笑った。野性的で、歪んで、危険な笑みだった。
「すぐ後ろから行くよ。」
ローズが動き、片腕で弱々しく体を起こした。「い、いや……みんなを置いていかない……」
ブリッツは腕を組んだ。「お前の彼氏を運べ。」
ローズは凍りついた。「彼は私の――!」
耳がピクピク動いた。
彼女の顔が真っ赤になった。
カイは咳き込んだ。「マジで?」
ブリッツは目を転がし、戦場に向き直った。「どうでもいい。動け。」
不機嫌そうに頬を赤らめ、ローズはカイの腕を肩に担いだ。
「もうちょっと優しくてもいいだろ……」カイがつぶやいた。
「黙れ」とローズがピシャリと言い、耳が苛立たしげに動いた。
二人は避難ランプに向かってよろめき、ミウは地獄の真ん中にいるにもかかわらずスキップしながら後を追った。
だが、全員が安全に向かっているわけではなかった。
背後で――
サツジンが動いた。
黒と赤の霧の影が戦場を横切り、炎、石、死体を恐ろしい冷静さで切り裂いた。
アルニクが振り返った。
目を見開いた。
遅すぎた。
刃が彼に向かってきた。
彼は腕を上げるのがやっとだった。
カン!
杖がその間に割り込み、ギリギリで刃を受け止めた。衝撃の突風があらゆる方向に埃を吹き飛ばした。
攻撃者の勢いが止まった。
アルニクの息が詰まった。
そこに、死と彼の間に立っていたのはヴェインだった。
髪一本乱れていなかった。
コートは一撃にも揺れなかった。
「行くべきだ」とヴェインは冷たく言った。声はナイフの刃のようだった。「この戦いはお前の格を超えている。」
アルニクは躊躇した。「でも――」
「頼んでいるんじゃない。」
空気の圧力が十分に語っていた。
アルニクは振り返り、走った。
背後で、戦場が光った。
火星のトップメイジたちがその場に立った。
クラウンは首を鳴らし、掌に炎が渦巻き、前腕を這い上がった。
「血生臭くなるぞ」と彼は言い、目は大きく、笑みは野性的だった。「それが大好きだ。」
ヴェインは襟を整え、この全てが些細な迷惑事であるかのようにため息をついた。「なんとも無粋だ……」
タカシマの声が通信機から響いた。「食い止めろ。」
ブリッツが前に進み、拳から血が滴っていた。「全員か?」
「どれくらい?」ヴェインが尋ねた。
「10分。」
クラウンはそれが冗談のオチであるかのように笑った。「それだけか?!もっと挑戦してくれると思ったのに!」
一瞬の静寂。
タカシマが再び、低い声で。「ミウ……無事に帰れよ、いいな?」
沈黙。
そして――
「努力する」と彼女は柔らかく言った。
そして――
彼が現れた。
サツジンが煙の中から現れ、赤い目が輝き、刃が飢えでうなった。
「ほうほう」と彼は笑いながら言った。「火星のトップメイジたち。何という名誉だ。」
ヴェインは瞬きもしなかった。「一人で我々に挑むとは愚かだ。」
「ぜひとも」とサツジンが答えた。「だが、賢い選択は……」
彼の目が――船に向かった。
「……逃げ道を断つことだ。」
彼は消えた。
「クラウン!」ヴェインが叫んだ。
だがクラウンはすでに動いていた。
雷鳴が空を裂いた。
サツジンは空中に現れ、刃がドロップシップのエンジンに向かって弧を描いた。
そしてそこに――彼を待っていた――
クラウン。
双剣を抜き、核心から魔法が咆哮した。
カン!
鋼と鋼がぶつかる音が空気を揺らした。
サツジンの顔が驚きに歪んだ。「速いな。」
クラウンの笑みが広がった。「お前より速い。」
空は炎と影の嵐で輝いた。
下方では、ヴェインが彼らに向かって進む軍勢に落ち着いて向き直った。
彼は肩を回し、杖が光った。
そして、地面が彼らの足元で震える中、彼は静かにため息をついた。
「押し返すぞ。」
その瞬間――
最後の戦いが始まった。




