ライオネルの帝国・パート2
アレクサンダーの声は嗄れ、鎖の重さに耐えきれず身体がわずかに持ち上がるのがやっとだった。「なぜさっさと殺さない?」
ライオネルは笑いながら近づき、血のように赤い目が楽しげに輝いた。「おお、アレクサンダー… 本当にしつこいな。」彼は少し身をかがめ、笑みを深めた。「家族に会いたいんだろ?」
アレクサンダーの血走った目は彼を捉え、揺るぎない決意で燃えていた。「私が生きているのは、家族がまだ生きているからだ。お前は私の能力が漏れるのを恐れている… 臆病者め。」
初めて、ライオネルの笑みが揺らいだ。指がピクッと動き、苛立ちが顔をよぎったが、すぐに隠した。ゆっくりと息を吐き、再び笑みを浮かべた。
「なかなか賢い… 実に賢いな。」彼はアレクサンダーの前を歩きながら呟いた。「だが、教えてくれ…」彼は首を傾け、嘲るような同情の声で言った。「なぜお前は… 家族全員が生きていると確信しているんだ?」
アレクサンダーの息が止まった。
ライオネルの笑みが広がり、さらに近づき、声は囁くように低くなった。
「お前の言う通りだ… だが、家族の何人かはここにいる。」
アレクサンダーの指が拳を握り、息が重くなった。
ライオネルの声は甘く、残酷さに満ちていた。
「お前の妻、息子、そして娘だ。」
アレクサンダーの目が暗くなり、痛みにもかかわらず身体が緊張した。
ライオネルは身を乗り出し、純粋な喜びに顔が歪んだ。「嘘をつく理由がどこにある?」
彼の顔は紅潮し、息が乱れ、アレクサンダーの苦しみを味わうように楽しんでいた。これ以上の喜びはなかった――人の魂が崩れる瞬間だ。
「だが、まず… 食事の時間だ。」
彼は指を鳴らした。
扉が軋みながら開き、もう一人の人物が入ってきた――デーモンユーザーだ。真っ白なシェフの制服に身を包み、不気味で無表情なマスクで顔を隠していた。彼は装飾された蓋付きの銀のトレイを持っていた。
アレクサンダーは顎を締め付けた。「腹は減ってない。」
ライオネルは笑った。「心配するな。」彼は甘く囁いた。「俺が食べてやる。」
大げさに蓋を上げた。
アレクサンダーの息が止まった。胃が締め付けられ、瞳が縮んだ。
彼の頭は目の前の光景を理解できなかった。
トレイの上、血に染まった銀の皿に――
カオリの腐った首が置かれていた。
彼の娘だ。
かつて輝いていた目は恐怖に凍りつき、虚ろで命を失っていた。繊細な顔は青白く腐敗し、蠢く蛆虫に覆われていた。髪の残骸は頭蓋骨にこびりつき、乾いた血で汚れていた。腐臭――吐き気を催す、息を詰まらせる匂い――が彼の感覚を襲った。
ライオネルは邪悪に笑った。
「見ろ! 彼女を! なんて美しい少女だ!」彼は両腕を広げ、嘲るような賞賛の声で叫んだ。
アレクサンダーの身体が激しく震えた。息が荒く、不規則になった。彼の心は叫び、目の前の現実を拒絶した。
だが、ライオネルはまだ終わっていなかった。
「おっと、他にもいくつかあるぞ。」彼は甘く囁いた。
さらに二つのトレイが彼の前に置かれた。
アレクサンダーは目を逸らしたかった。目を閉じ、この悪夢を消し去りたかった。だが、できなかった。身体が動かなかった。
蓋が上げられた。
イチゴ。
息子の首が姉の隣に置かれ、若い顔は苦痛に歪み、命のない目は静かな懇願のまま凍りついていた。父と同じ柔らかな漆黒の髪は、真紅に染まっていた。
そして――
妻だ。
かつて温かみに満ちていた繊細な顔は、今や愛した女性の恐ろしい嘲笑だった。唇はわずかに開き、死が彼女を奪う前に最後の祈りを囁くようだった。
ライオネルは手を伸ばし、冷たく命のない顔を手の甲で優しく撫でた。
「なんて愛情深い父親だ。」彼はカオリの首を自分の頬に擦りつけながらため息をついた。「本当に愛情深い父親だ。」
アレクサンダーは息ができなかった。
壁が迫ってくるようだった。
ライオネルの指がカオリの顎を掴み、アレクサンダーに向けた。彼の声は高く、嘲るような調子だった。
「なぜ、ダディ? なぜこんな目に遭わせたの?」
アレクサンダーの中で何かが壊れた。
喉から引き裂かれるような、血も凍る叫び声が響いた。
涙が顔を流れ、止まらず、抑えきれなかった。身体が激しく震え、鎖が石壁にガチャガチャと鳴った。
「ダディは悪かった!」彼の声は苦痛の重さで裂けた。「ダディは悪かった! ダディは悪かった! ダディは悪かった!!」
彼の心は過去に飛んだ――
襲撃の前。
約束。
ハンダーフォールが彼に誓った。
「まず彼らを逃がす。約束する。」
嘘だった。
破られた約束。
彼らは逃げられなかった。
アレクサンダーの叫び声が部屋に響き、ライオネルの笑い声に飲み込まれた。
ライオネルは笑いながら、切り落とされた首を血に染まった冷たい床に落とした。鈍い音が部屋に響き、アレクサンダーの唇から漏れる浅く、壊れた喘ぎ声と混ざった。
デミウルフは震え、悲しみ、怒り、絶望で全身が揺れていた。
「お前が生きていて、彼らと一緒でない理由は…」ライオネルの声は滑らかで、嘲り、楽しげだった。「単に私がお前を拷問するのが楽しいからじゃない。」彼は暗く笑った。「いや、楽しいけど、それが理由じゃない。」
アレクサンダーの血走った目が跳ね上がり、純粋な憎しみで燃えた。
ライオネルはさらに近づき、残酷な喜びで囁いた。「お前の息子、マルクス… まだ生きている。」
アレクサンダーの息が止まった。
「まず彼を殺す必要がある。」ライオネルは顎に爪を当て、考え込むふりをして続けた。「彼は… 彼は…」
ライオネルの笑みが広がり、牙が薄暗い光で光った。
「彼は何もできない。」
アレクサンダーの視界が怒りでぼやけた。
「見ろ…」ライオネルは立ち上がり、怠そうに腕を伸ばした。「火星は落ちる。そしてすぐに、宇宙全体が。」
突然、空気が変わった。
不自然な寒気。
ライオネルは凍りついた。
部屋の空気が重くなり、息を詰まらせ、何か暗く、古代のものが振動した。
そして――
アレクサンダーから、純粋で怪物的な殺意の波が爆発した。
警報が鳴り響いた。
赤い緊急灯が点滅し、警告サイレンが要塞中に響き渡った。
ライオネルの笑みが初めて揺らいだ。
「今すぐ抑えろ!」彼は吠えた。
だが、彼の声はかき消された。
アレクサンダーの喉から、叫び声を超えた――何か異常で、ぞっとするほど間違った音が爆発した。ライオネルでさえ背筋に冷たい震えが走る音だった。
鎖が激しくガタガタと鳴った。地面がひび割れた。
アレクサンダーの頭が上がった。
だが、もはや彼だけではなかった。
彼の表情が歪み、血走った目が人間ではない何かで輝いた。彼の存在そのものが歪み、血の奥深くに埋もれた何かが押し出してきた。
古代的で、容赦ない声が、アレクサンダーの声と重なり、部屋に響き渡った。
「我々の血統を侮るな。」
壁が震えた。
ライオネルは半歩後ずさった。
「善は常に悪を滅ぼす。」
要塞が軋み、まるでその構造自体がこれから起こることを恐れているようだった。
アレクサンダーの唇が歪み、喉から恐ろしい唸り声が響いた。
「我が子でなくとも――」
鎖が砕けた。
「最初のミュータントがお前の首を切り落とす。」
アレクサンダーから爆発した怪物的なエネルギーが、部屋を純粋で濾過されていない力で飲み込んだ。
ライオネルは目の前の荒れ狂う力を見やり、鼻で笑って踵を返した。
なんて哀れな…
警報はまだ鳴り響き、要塞はアレクサンダーのエネルギーの圧倒的な力で震えていたが、ライオネルは動じず、コートをなびかせながら厳重に守られた部屋を出た。
彼の笑みがゆっくりと、自信たっぷりに顔に広がった。
火星は数週間で私のものになる。