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異世界転生 辺境伯爵家の末娘として転生して冒険者となる。  作者: 境屋 ロマン


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前世の記憶

この作品を選んで、お読で頂き、ありがとうございます。

この物語はフェイクションです。


物語中の世界観は独自の世界観で書いておりますので、法律、慣習、習慣、常識等に異質な部分が多々ありますが、其れ含めて楽しんで読んで頂きたいと思います。

 ローズドラインと云うマーナ(魔力)に満ち、様々の種族と魔物と魔獣が現存する世界であり、この世界に生きるものすべてに体内に魔力を宿し魔法が使える世界である。


 また、自然界には目に見えぬ妖精や聖獣も居り、相性のいい者達に宿り力を貸したり共有したりして共存することもある。


 この世界のオーグランズ王国は隣国に大陸一の強国のアズワン帝国があり、その国境線の西側に魔の森が広がり東側にはロードリスター山脈が連なり、魔の森と山脈の麓に一つだけ両国を繋げる唯一の街道がある。


 オークランド王国側の辺境にあるエーテリア辺境伯領の領主であるシモンズ・シルズ・エーテリア辺境伯爵の次女であるアイナ・シルズ、エーテリア辺境伯爵令嬢が1歳を過ぎて、歩き始めた頃に転んで強く頭を打ち気絶した時に前世の記憶を思い出す。


「うっ、ウギャ―、え~んえ~ん・・・」


アイナが目が覚めると、頭に痛みを感じて泣き出す。


「アイナお嬢様、大丈夫ですか」


近くに居たメイドのサラが目が覚めて泣き出したアイナの所へ駆け寄る。


「え~んえ~ん・・いたぃかったよ、あれ・・・・」


アイナは頭の痛みを感じながらメイドのサラを見て驚いて泣きやむ。


【あっ、頭に耳がある。え~とまさか獣人なの・・・】


「アイナ様、大丈夫ですか、まだ頭に痛みがありますか」


「うっ、いたぃの、いたた・・・」


アイナは痛みを感じる事を伝ない言葉でサラに伝えつつ、物珍しさにサラの顔を見つめる。


「アイナお嬢様、奥様をお呼びしますので少々お待ちくださいね」


サラはアイナに告げてから駆け足で部屋から出て行く。


 アイナはサラの後ろ姿を見送りながら、スカートの背とお尻の間の部分から出ている細長い尻尾に視線がいく。


【あっ、尻尾だ。何だか可愛い、あれ私って赤ちゃんになってる。まさか転生したのかな、これって異世界転生したのかな・・・・】


アイナは頭の中で前世の記憶を思い出して色々な事を思考する。


 アイナが色々と思考している間にドアが開き、小走りで近寄る銀髪の美女がアイラの所に来てアイラの小さい右手を両手で優しく握る。


「アイナ!大丈夫なの、あ~アイナ、ママよ分かる・・・」


母親のアエリアが心配そうにアイナの顔を見つめて話し掛ける。


「うん、ママ、いたぃの」


アイナが拙く答える。


【わ~、美人、ちかもオッパイも大きい、私も大きくなると良いな・・・】


アイナは母親のアエリアを見て様々の事を思いながら母親の見つめる。


「まだ痛いの、う~ん、お腹は空いてない」


心配しながらアエリアは様子を見てお腹が空いているか先ず確認した。


「うんん」


アイナは食欲がなかったので首を横に軽く振り答える。


「そうなの、う~ん、もう少し休んでてね、今お医者さんを呼ぶわね、サラ、アイナを頼んだわ」


「はい、畏まりました」


サラが一礼してアエリアに答える。


 アエリアはサラにアイナの事を頼むと、アイナの小さい手から両手を離して立ち上がり心配そうにもう一度アイナの顔を見てから部屋を退出する。


 サラはアエリアを見送るとアイナの額に乗せてあったタオルを取り、近くに置いてある桶の水に浸してから搾り、もう一度アイナの額に乗せる。


「アイナお嬢様、お加減はどうですか」


「うん、へいき・・」


アイナは冷たいタオルを乗せられて、ひんやりとして気持ち良くなり自然と瞼が閉じた。


「ふ~ん、スースー・・・・」


アイナは気持ち良くなり自然と眠りに就く。


 アイナが再び眠りに就いてから、暫らくして周辺が少しざわついて来たので、アイラは薄目を開けて見ると、どうやらお医者様が来ていてアイラの額にあるたん瘤を見ていた。


「う~ん、だいぶ腫れはひいている様なので問題ないでしょう、後は起きた時の様子を見て変わりがなければ大丈夫だと思いますよ」


「そうですか、分かりましたわ、先生また何かあったらよろしくお願いします」


「はい、奥様、それではこれで失礼します」


「はい、ありがとうございます」


お医者様と母親のアエリアがアイナの状態を確認してから、アエリアが付き添いのサラに目で合図をしてから、お医者様と共に部屋を退出する。


 サラはお辞儀をしながら奥様とお医者様を見送ると、直ぐに冷やしたタオルをアイナの額に乗せて、近くにある椅子に座りアイナの様子を見守る。


 アイナは寝たふりをしながら前世の記憶が思い出した事で、もう一度頭の中を整理しようと前世の記憶を思い出し整理して、それからこの世界で見聞きした事を思い出す。


【あっ、そうか私プロジェクトの仕事を終えてから部下たちの打上げして、その帰り自動車に撥ねられて死んじゃっただわ、でもこの世界には間違いなく魔法があるのよね、ママが使っていたものね】


アイナはこの世界に魔法があると知ると、異世界ものラベラー小説を思い出して何だかワクワクした気分になる。


 前世の記憶を思い出してから二日後にようやくベッドの上から解放されて、メイドのサラに監視されながらも部屋の中でハイハイをして動き回れる様になった。


 アイナは前世の記憶の中で赤ちゃんの身体でも出来る範囲でストレッチ体操をしたり、椅子の座部に両手で押さえて屈伸運動などもして身体を動かして鍛える事を始めた。


 アイナの様子を見ていたメイドのサラは何だか不思議そうな表情をして見ていたけど、危ない事をしている訳でも無かったので特に何もせず自由にさせていた。


 そんな生活をしながら歩行訓練もしながら、一月が過ぎた頃には危なげなく部屋の中も廊下も普通に歩く事が出来るようになった。


 その間に姉のアリナの部屋に尋ねて、アリナが魔法の初級編の本を読んで勉強していたので、膝の上に乗って一緒に本を眺めていたりもした。


 意外にもアイナは文字が読めていたので、アリナと一緒になって魔法の勉強を始めるけど、アリナもアイナが大人しくしているので特に邪魔者扱いせずに声を上げて本を読んでくれた。


「アイナも魔法に興味があるのね」


「はい、姉ねもあるでつか」


「そうね、ママが魔法の天才みたいだからね、私にも才があるかなと思っているの」


「そうなんでつか、わたちも成りたいでつ」


「そうか、なら一緒に勉強しようね」


「ハーイ」


そんな感じでアイナも姉のアリナと共に、魔法の勉強を二時間くらい毎日の様にすることになった。


 アイナはアリナと魔法の勉強を始めてから、夜になって一人になるとベッドの上で魔力循環の鍛錬をして体内で魔力を循環させて魔力回路を鍛えている。


 そんな生活を送って二ヶ月が経ち母親のアエリアが長女のアリナとアイナを連れて中庭に出て、アエリアがアリナに魔力制御の訓練をさせる。


 アリナの魔力制御の訓練をメイドのサラと一緒に見ていたアイナも好奇心でマネをして、両手を前に出しててのひらを空に向けて魔力を集めて放ち、小さい球体を宙に浮かべた。


「えっ、アイナお嬢様も魔力制御が出来るのですか、奥様、凄いですよ、見てください」


アイナが掌の上に小さい球体を宙に浮かべているのを見たサラが驚き、アエリアに興奮した声で伝える。


「あら、本当ね、アイナはひょっとして天才なのかしら、アリナも天才だと思っていたけど・・・」


母親のアエリアも驚き、アイナとアリナを交互に見ながら驚くも、僅か1歳で魔力制御ができると云う事に不安もよぎった。


「ママ、どうしたの何だか難しい顔をしてますわ」


アリナが母親のアエリアの表情を見て、疑問に思い問いかける。


「う~ん、アイナはまだ1歳でしょう、魔法を使うにはまだ早すぎるわ、あまり早いと魔力暴走を起こす危険性もあるから、どうしたものかなと心配なのよ」


「魔力暴走?」


アリナが不思議そうな表情でアエリアを顔を見て呟く。


「うん、だけど、あくまでも可能性の話ね、どうしたものかしら」


アエリアは少しアイナの様子を見ながら悩み、一時間ほどで魔力制御の訓練を終わりにしたが、その間もアイナは安定的に掌の上に白く小さい球体を浮かべていた。


 アエリアは夫のシモンズが魔の森へ軍を連れて、週に二日から三日ほど監視を兼ねて魔物の間引きを行なっており留守の間は執務を代行していた。 


 魔の森は西側に遥かに広がる森で、その森を避けて周辺に南北に18ヶ 国の国が魔の森に隣接している。


 魔物の森の木々を下手に大量に伐採したり燃やしたりすると森自体が広がる傾向があり、領土を侵食されてしまうので魔の森の開拓不可が常識とされている。


 魔の森には魔物や魔獣が多く生存しており、エーテリア辺境伯領では冒険者ギルドにも魔物などの討伐を頼んでいるが、それだけでは間に合わず軍も派遣して間引きしている。


 その晩にアエリアは夫のシモンズにアイナの事を相談するとシモンズも驚き、色々と話し合ってアイナに付き添いの女性の魔術師を雇用する事を決めた。

お読み頂きありがとうございます。

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