表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異人街文字狩り本舗  作者: みなとたぬき
第一部 一章
5/34

4

「今日の、コーデのテーマは何ですか?」

コーラとビールで麻子と先に乾杯してから、ダンは麻子が喜ぶであろう話題を振った。

きらりと麻子の目が光り、スマホの画面を開くとダンに見せる。

「今月発表の、ST堂とのコラボ広告ー! モノクロ映像やったから、ブランドと色特定するのに苦労してーん」

麻子の声のトーンが一つ上がった。

上半身のアップで画面に映るのは中性的な顔立ちをした、若く整った顔立ちの人間で、ぱっと見ただけでは男女の区別が全く付かないが、公式では男だと発表されている。

きりりとした細い眉にやや垂れた目は意志の強そうな光を奥底に宿し、すらりと縦に伸びた、しなやかな身体を少し大きな男物のシャツで包んでいる。首元には女性の横顔が繊細な技巧で彫られたカメオのループタイ。艶のある腰まで伸びた髪は頭の低い位置で、一つにまとめている。広告の写真は、唇だけが鮮やかなルージュで彩られており、異彩を放っている。画面を横に滑らせると、コスメのメーカーらしく他にも取り扱っているリップの色に切り替わる。個性的なカラー展開で、青みの強いパープルと黒色も合わせて全部で三色あった。

「あー。ホンマ、かっこええわ万里様」

麻子は憧れの眼差しと共にスマホを胸に抱いた。

風戸万里。

耳が腐り落ちるほど聞いた名前に、ダンは内心嫉妬心を燃やしながらも、顔といい能力といい全く対抗出来る要素が思いつかないまま、コーラをあおった。


宇宙や異世界と繋がってしまったことによる、怪異と脅威。

宇宙人、怪獣、異人や異界のモンスターその他諸々。

不定期に世界が繋がるたびに紛れ込むこれらの困難に対して、旧・近畿地方が制定したのが、これらを迎撃・対応するための国家資格制度。

上から1級・準1級・2級・準2級・3級の五段階からなり、級が上がるほど危険や情報の機密性、資格取得の難易度が増すが、その分報奨金や得られる社会的な地位も大きい。

旧・近畿地方から地球、銀河系全体へと拡がる前に怪異と脅威を旧・近畿地方内で叩いてしまおうという魂胆だが、近年は2級以上の資格取得者による民営事業化が始まり、専門の細分化が進んでいる。

ダンのアルバイトも『文字禍』駆除の専門業者であるが、ダン自身はまだ資格を持っていない。事業所内に最低一名資格持ちがいればいいのだが、店長が2級、麻子は3級を取得している。

そして風戸万里といえば、現在二十五歳ながら数少ない国家戦力レベルの資格取得者であり、若干二十歳の史上最年少で1級を取得した実力者でもある。中性的な美しさに加えて、国際問題レベルの宇宙や異界絡みのトラブルを数多く解決し、地球の平和維持に貢献してきた時代の寵児だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ