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加奈ちゃん
「お待たせ!」
茶髪にぱっちり二重のその女の子は、おれが中学の頃好きだった女の子、加奈ちゃんだ。
「加奈ちゃん、久しぶり!」
「久しぶり、あっきー!」
夜も更けてきた。
おれたちは、焼き肉屋へと向かった。
「あっきーは、今お仕事何やってるの?」
「いまは、うつ病で休職中なんだよね」
加奈ちゃんの表情が曇った。
「そ、そっか。大変だね」
「そう、大変なんだよ」
でも、毎日暇してるけど、なんてことは言えなかった。
だって。
みんな、おれと比べて頑張って働いているんだから。
その事実を、おれは知っているから。
おれだけ、休んでなんて、本当はいられないのに。




