第七話 ノーフェイス
ーーー※第七話はノーフェイスsideの話ですーーー
ーー奴隷収容所マディルカより南東、バビロンシティーー
「裏ルートで流したクロムライト、いくらになった?」
漆黒のスーツを着たオールバックの男が聞いた。
「白金貨300枚ですね〜。バカな看守長が気づかないお陰でガッポリ稼げましたね♪♪」
小柄なポニーテールの女が答えた。
白金貨300枚、約3億だ。
「上々だね。今クロムライトは帝国が買い占めてるせいか、かなり値上がりしている。」
「戦争でも始めるんですかね〜? まっどーでもいいですけど!それよりバカ看守長が送ってきた刺客、ボスが殺りあったんですか??」
「ああ、全員殺しといたよ。看守の手前面子を保つために送ってきた程度だろう」
「さっすが〜ボス!SSレートはやっぱ違いますね〜♪♪ちょっと前にもノヴァ王国のラダーランカー狩ったし、そろそろSSSレートに格上げされるんじゃないですか〜??」
ポニーテールの女が鼻歌交じりにオールバックの男に聞いた。
「それはないよルカ。ノヴァ王国のラダーランカーを殺った時は相手がSランク冒険者だったこともあって結構騒がれたけど、SSSレートなんて歴史上の存在だ。」
ポニーテールの女はルカという名前のようだ。
「でもノヴァ王国のラダーランカーって、ノヴァの全冒険者の中でもTOP10で構成されたラダーランキングにランクインしてる冒険者ですよね〜?相当な実力者揃いで、ノヴァ王国に与える影響もすごいって聞きますけど〜!」
この世界で対立する2大大国、グランディアス魔帝国ではレート、ノヴァ連合王国ではランクといった格付け制度がある。ランクもレートも同じ意味合いで、グランディアスのレートは帝国がきめ、ノヴァ王国のランクはギルドが決めている。帝国と王国で呼び方、決める機関が違うだけだ。帝国のSレートは王国でのSランクに相当する。
「ラダーランカーは言わばノヴァ王国が誇る10人のトップ冒険者だからね。目的があったから殺ったけど、普段ならやり合いたくないね。割に合わないよ。」
「やっぱランカーの天賦って凄かったですか?!ルカ気になります
♪♪」
「ああ。面白いものを見せてもらったよ。まだまだ天賦は奥が深いね。」
「ボスの天賦も凄いですけどね〜!ボスに勝てる相手いない気がしますもん!」
オールバックの男が笑いながらソファに腰かける。
土砂降りの真黒い雨が、ここバビロンシティでもまだ止む気配はない。
オールバックの男は窓の外に振る雨を眺めて、ロウソクの火を消した。
お読み頂きありがとうございます!
今回の第七話で序章、奴隷ライフ編終了です。
次回以降は主人公視点に戻り、1章に入ります。
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随時更新していきますので宜しくお願い致します