第六話 看守長の憂鬱
ーー※第六話は看守長ビー・ジェーsideの話です。ーー
クソっ!ツイてねえ。オレはツイてねえ。
さっき部下から報告があったが、奴隷2人がAブロックゲートの看守2人を殺して逃走した。なんで看守のダークオークが15にも満たないガキに殺されてんだ?しかも両方胴体が真っ二つに袈裟斬りときた。
冒険者なら話は変わるが、ダークオークは人間のガキ如きにどうにか出来る相手じゃねえ。しかも武器もねえはずだ。看守の武器を奪ったとしても、傷を付けるのが関の山だ。真っ二つってのはどういうことだ?理解が追いつかねえ。
「オイッ!お前!」
「はい!看守長!」
「クロムライトの採掘量はどうなってる?あとオレがノーフェイスのヤツらに差し向けた刺客はヤツらを始末したのか?」
オレはグランディアスをナワバリにするマフィア、"ノーフェイス"がオレの部下を通じてクロムライト鉱石を横流ししていたことが発覚した後、すぐにその部下を殺して"ノーフェイス"を始末するための刺客を送った。
ヤツら"ノーフェイス"は、グランディアス魔帝国では名の通ったマフィア集団だ。だが"ノーフェイス"に関しては不明な事だらけだ。メンバーが何人いるのかもわからねえし、メンバー全員がなんの模様も無いマスクをつけているから顔もわからねえ。不気味な奴らだ。だがメンバー全員がSレート越えという実力者構成であると噂されている。ノヴァ側のラダーランカー共とも殺りあってるらしいイカれたマフィアだが…
「はっ、クロムライト鉱石の採掘量は、あれから奴隷をデスマーチさせてなんとかこの四半期のノルマは達成できる見込みです!」
おお、そうか!それを聞いて聞いて一安心したぜ。
クロムライトをマフィアに奪われて収めるノルマが達成できませんでしたなんてことになりゃあ、オレが帝国から始末される。グランディアスはそういう国だ。容赦しねえ。後は"ノーフェイス"のマフィア共を始末さえすれば完璧なんだが…
「それから、看守長自ら"ノーフェイス"に送り込んだ刺客につきましては、全滅とのことです。」
なんだと!?全滅だと??
"ノーフェイス"は確かに手練で構成されていると聞くが、オレが送った刺客は5人。Sレートの魔物、魔人の暗殺を仕事にするプロだぞ。
「刺客を追跡させていた者によりますと、どうやら"ノーフェイス"にSSレートの魔人がいたようです。その魔神にやられたのかと。」
SSレートの魔人…?にわかには信じ難いが、グランディアスには数人のSSレート魔族が存在すると聞いたことがある。その上のSSSレートなんてのは存在すら聞いたことは無いが…
「まあいい。SSなら仕方ねえ。そんなの相手にしたら確かに生きて帰って来れねえだろうな。クロムライトのノルマを達成出来ればオレはそれでいい。脱走した奴隷2人も不可解ではあるが代わりはいくらでもきくし、幸いあの日は大雨のせいで視界が悪く、目撃者もいねえ。奴隷が脱走したのは俺含めた一部の看守しか知らねえ。」
無駄な問題を抱えるのは趣味じゃねえ。
"ノーフェイス"のヤツらを始末出来れば国に報告して報奨金でももらおうかと思っていたが、出来なかったら出来なかったで揉み消すまでと思っていたしな。
クロムライト鉱石のノルマは達成するが、
帝国が近々ノヴァ連合王国と戦争でもすんのかってくらいクロムライト鉱石の要求量を上げてきているのは懸念点だ。クロムライト鉱石は質のいい武器を作るのには必要不可欠だ。これからまた採掘量を増やしていかないといけねえ。
問題はまだあるが、とりあえずオレの命に関わる問題が解決したことを喜ぼう。
オレはグラン草を詰めたタバコに火をつけて大きく吸って煙を吐いた。
お読み頂きありがとうございます!
次回で序章、奴隷ライフ編終了し、次回以降は1章に入ります。
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