土壌の役割と土づくりについて
農業系販売員の私がわかる範囲で家庭菜園のレクチャーをしようというシリーズですm(_ _)m
と言うわけで、第一彈は土作りについてです。
園芸作物を育てるにあたり、最も大切なことが土作りです。それは園芸作物が原生種に比べて、肥料が多くいること、病気に弱いことで、十分な土壌環境を用意しなければ、品質、収量が落ち、病気に弱くなるためです。
園芸作物は品種改良により、可食部が増やされており、必要以上に実をつけるようになっています。本来、必要ないほどの成長を促しているわけですから、必要な栄養は野生の植物に比べて多く、また交雑を進めて作られた品種は特定の病気にも弱くなるため、土壌管理による病気対策は重要です。
と言うわけで、本稿では土壌の役割、園芸作物にとって有用な土壌、そしてその作り方にわけてお話していきます。
先ずは土壌の役割について、土壌は作物にとっての家であり、食事を摂取する場であり、そして服です。
しっかりと根がはることの出来る土壌は成長する上での土台となります。植物は殆んどの場合、根の成長ぶんしか上が育ちません、ですから、基礎をしっかりと作れる土壌は重要です。
次に土壌は植物が食事をする場所です。植物は葉面などからも栄養を摂取しますが、基本的には根から栄養や水分を摂取しますから、土壌管理は重要です。
そして地温が植物に与える影響は大きいため、衣服と捉えることも出来ます。
土壌の役割を理解した上で、園芸作物にとって良い土壌とはどういうものかを説明します。
簡単にいうと柔らかく、適度な水分管理が出来て、土壌微生物の多い土壌です。
柔らかい土とは何でしょうか。
簡単な診断方法があります。耕運前の畑で土を軽く手に取ってもらい、軽く握ります。
手を開いた時に固まらないのは砂状土です。
固まっていて、押しても崩れず潰れるのは粘土です。
固まっていて、押すと崩れるのが柔らかい土、団粒構造となります。
固い土である砂状土や粘土は土の粒子が細かくて、隙間がなく、水捌けが悪く、空気も少ないために土壌微生物が繁殖出来ません。
空隙が無いために根も張辛く、肥料の持ちや吸収も悪くなります。
対して、コロイド状の土は、砂どおしが小さな団子状になって結合するため、隙間が多く、多くの空気を取り込め、水分を適度に保持出来ます。その為、微生物が繁殖し、肥料の持ちや吸収がよくなり、根も張りやすくなります。
多様な微生物がいることで共生関係が築かれ、連作障害が軽減しますし、根がしっかりとはることによって、健康な作物になり、徒長抑制や病気に強い作物に育ちます。
ではいよいよ、そんなコロイド状土壌、また、微生物が多く、栄養豊富な土の作り方を説明します。
先ず、コロイド状にするには腐植質(フミン酸)が必要です。これは動植物が腐植するさいに出るもので、畜糞ですと、牛糞や馬糞に、植物なら腐葉土やバーク堆肥などに多く含まれていて、もし可能であれば稲藁を鋤き込んでもらい腐らせると多く補給出来ます。
この他に、石灰資材を入れて頂きたいのですが、鉱物由来の無機石灰の他に蛎殻石灰などの有機石灰を入れて頂くことでミネラル(軽金属類)が補給されます。これは微量要素不足による障害の予防になります。
また種粕や鶏糞など有機質の肥料分の多い資材を入れることで微生物を増やすのもいいでしょう。
土づくりのタイムスケジュールとしては
冬前に石灰と腐葉土や牛糞などの堆肥を入れて一度、耕運する。
春先に蛎殻石灰などの有機石灰を入れて耕運、その後、植え付けの一週間前くらいを目安にして化成肥料などの基肥を入れて耕運し畝たて、となります。
基本的には石灰資材と化成肥料は同時施肥は避けるべきですが、苦土石灰や有機石灰のようなアルカリ分の低い石灰なら問題ありません。
堆肥は土壌に馴染むのに時間が要りますから、早めに入れましょう。逆に化成肥料などは、窒素など、残効が短いものもあるので、肥料焼けを避ける意味で一週間前後が良いと思います。それ以上早いと肥効が無くなってしまいますし、遅いと肥料焼けで枯れる心配があります。
最後に化成肥料や肥料分の多い資材を多く入れすぎると肥料焼けを起こしますので、少量づつ入れて様子を見ながら追肥しましょう。
基本的に生の堆肥は避けましょう。
鶏糞や種粕のように生か、それに近いものは早めに入れて馴染ませましょう。
おが屑は生のものはやめましょう、発酵させたものも大量に入れるのはダメです。少量なら効果的ですが大量に入れると土を壊します。
同様に施尿堆肥や食品残さをつかった汚泥堆肥も多く入れすぎると土を壊します。適量を心がけましょう。
土壌は人間の腸内環境と同じく、バランスが大事です。バランスが崩れることで作物に悪影響が出ますので、数種類の資材をバランス良く入れることを意識してください。
また土壌は入れてしまえば取り除くのが困難なので、肥料成分の多い資材を使う際は少量を回数をわけて入れましょう。
参考になりましたでしょうか。
次回は連作障害について語りますm(_ _)m
ではまたm(_ _)m
お読み頂きありがとうございますm(_ _)m
質問、リクエストなどあればコメント欄まで、
肥料や土壌についてはある程度は詳しくお話できますが農薬はあまり詳しくありませんf(^_^;