あなたは、“ヤングケアラー”を知ってますか?
僕は、ヤングケアラーだ!
僕の名前は、川野上琥太郎 10歳 小学5年生。
僕のお父さんと僕のお母さんは、随分と歳が離れている。
二人の歳の差、なんと30歳。
お母さんもお父さんも、お互いに再婚だ。
僕は、今のお父さんとは血が繋がっていない!
お母さんの連れ子として、今のお父さんと一緒に暮らしている。
お父さんは、前の奥さんとの間に3人の子供がいて。
僕よりも、随分と上のお兄ちゃんとお姉ちゃんがいる。
一番上のお兄ちゃんは、26歳の、二番目のお兄ちゃんは24歳
一番下のお姉ちゃんは21歳なんだ。
何度か? お父さんが僕達の住む家にお父さんの子供達を連れてきて
くれた事がある。
僕は、まだ10歳だからお父さんの子供達には凄く可愛がられたんだ。
『まさか!? こんなに小さな弟ができるとはな?』
『私だって! ビックリよ、私より10歳も下の弟がデキたんだから!』
『なんかあったら? 俺達兄妹に何でも言うんだぞ、琥太郎!』
『うん!』
『父さんも、ナオリさんに何でも頼り過ぎないようにな!』
『ナオリさん、お父さんの事、よろしくお願いします!』
『はい!』
『琥太郎もな!』
『うん!』
*
・・・でも、この数年後。
お父さんは、若年性認知症になった。
お母さんは、お父さんが若年性認知症になった事を周りの人達に隠す。
『ねえ、琥太郎!』
『うん? お母さん、何?』
『お父さんが、認知症になったの? 認知症は、記憶がどんどん無く
なっていく病気なの! この事は、お母さんと琥太郎だけの秘密に
するのよ! 近所の人や学校のお友達、先生、お兄ちゃんやお姉ちゃん
達には絶対に言っちゃダメだからね!』
『・・・えぇ!? どうして?』
『皆に迷惑がかかるでしょ! それに、これは! “家族の問題”だから。』
『・・・うーん? 分かったよ、お母さん!』
『琥太郎は、物わかりのいい子ね!』
『うん!』
・・・ココから、僕のヤングケアラーの道が続く。
専業主婦だったお母さんが、働きに出る事になった。
それまでの間、お父さんの世話は僕がする事になる。
僕が、学校に行ってる間はデイサービスを利用しているんだよ。
少しの時間なら、見てもらえるからね。
僕が、学校から帰って来ると? デイサービスの人は帰っていく。
お父さんのシモの世話やご飯も僕が作って食べさせるんだよ。
お風呂にも入れて、お父さんが寝るまでずっと僕はお父さんに
つききりになる。
お母さんは、夜遅くに仕事から帰って少しの睡眠と朝ご飯を作って
また違う仕事に出かけるんだ。
僕は、お父さんの世話をしないといけないから、友達と遊びにも
行けないし、勉強もろくにデキない。
学校では、居眠りばかりして先生によく怒られるんだ。
まさか!? 担任の先生も、僕がヤングケアラーとは思わないだろう。
僕は、誰にも相談できないでいた。
お母さんも、僕達の為に必死で働いてくれているし。
僕だけ、ワガママ言えないよ。
でも、日に日にお父さんの記憶が無くなっているのがよく分かる。
何度も同じ事を僕に言ってくるし。
何度も同じ事を僕に聞き返す。
お父さんの目に映る僕は、誰なのか分かってるのかな?
血の繋がらないお父さんを、これからも僕が見続ける事は正しいのか?
お兄ちゃんやお姉ちゃんに相談した方がいいんじゃないか?
でも? お母さんとの約束は破りたくない!
先生に、相談するのはどうなのかな?
小さな僕の頭はフル回転で、いろいろ思うのだけど、、、。
なかなか? どれも実行に移せなかった。
例え? 血の繋がらないお父さんでも、僕を本当の息子のように
可愛がってくれたお父さんなんだ!
僕は、このお父さんを本当のお父さんだと思っている
僕さえ、頑張れば、僕さえ、我慢すれば、全ては、、、。
今! お父さんを助けてあげれるのは僕だけだから。
僕が、我慢すればいいんだ!
最後までお読みいただきありがとうございます。




