表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
賢者が恋した賢者の恋  作者: 北条ユキカゲ
第一章 揺蕩いのプレリュード
8/196

少年よ、大志を抱け(まずはおままごと)

 僕の名前はバルシャ、カハミーラ・アル・バルシャ、十四歳だ。ジュメイラ師匠に出会ったのは五年前、その時からずっと稽古をつけてもらっている。


 師匠はすごく強くて! カッコ良くて! それでその、すごく……きれいなんだ……そそ…それで! 僕はいつも師匠に会えるのが楽しみで仕方なかったんだ!


 でも今日、突然知らされた、師匠が、大賢者と一緒にラス=ウル=ハイマへ旅立ってしまうって。


 僕は……僕は思ったんだ、そんなの絶対に嫌だ! 師匠と会えなくなるなんて絶対に嫌だって! そして気が付いた時にはもう、僕は家を飛び出していた。


 そして今、僕は師匠に言われた、『40秒で支度しな!』って……



「はい! え⁉……40秒⁉……僕! 準備出来てます! 僕このまま行けます!」



 音もなく空に浮かぶセルシアスの居城、剣の先端の様に尖った形をした『揺蕩いし叢雲(たゆたいしむらくも)』が、陽の光を反射して鈍く光っている。


 その一点がきらりと輝き、セルシアスが降り立った時と同じように、光の柱が地上とその巨大な物体を繋いだ。



 「先生!」「ラシディア先生!」



 皆に別れの挨拶を済ませ、その光の柱へと向かうラシディアに、サトワやルワダ、ジャダフと他数人の子供たちが駆け寄る。



「先生」

「これ、みんなで集めたの」

「リコの実」

「先生にあげます」


 

 子供たちはそう言うと、リコの実の入った布袋をラシディアに手渡した。



「まあ、こんなにたくさん……大変だったろうに……ありがとう! 大事に食べるからね!」



 ラシディアは子供たちを抱きしめ、「大丈夫よ、私はすぐ帰って来るわ」と言うと、セルシアスの後に続いて、ジュメイラ、バルシャと共に光の柱へと入って行った。



 光の中に入ると、徐々に地上が遠退いて行く。


 地上で手を振る村人たちは見る見る小さくなって行き、気付いた時には、白く艶やかな床の上に立っていた。



「え⁉ ここって? アレの中? 上? なに? 外?」



 ラシディアとバルシャが目をぱちくりさせて言葉なく立ち尽くす中、ジュメイラはそう言いながらトコトコと辺りを歩き回る。


 空に浮いているように見えるその床は、なだらかな弧を描いて遠くまで続いている。


 空も周囲の山々も見渡せて、まるで外にいるかの様だったが、風は無い。よく見ると、全体が巨大な透明の窓で覆われている様だった。



「お前たち、来おったのか」



 聞き覚えのある声に、ラシディアたちが声のする方へと振り向くと、漆黒のドレスを身に纏ったエルミラが、小さな黒い日傘をさして、相変わらずの不機嫌そうな顔で立っている。


 そしてその傍らには、小さいエルミラよりもさらに小さい、エルミラの腰の高さ程の小さな兎? なのか犬なのか、長い耳をぺろんと垂らした純白の毛並みの二足歩行の謎生物を何体か従えている。



「あら、あなたは月影の神の、エルミラって言ったわね!」


「なんだお前たち、来るのは二人ではなかったのか?」



 エルミラは不機嫌な顔をさらに怪訝にさせてバルシャの方へと近づくと、その正体不明の白い生き物と一緒に、黙ったままじーっとバルシャを見上げる。



「し、師匠、この子は一体……?」

「あ、その子ね、神様」

「神様?」

「月影の神って、ほら、おとぎ話に出てくる」

「あの、僕はどうしたら……?」

「さあ?」



 バルシャは困惑の表情で、足元から自分を見上げるエルミラへと視線を落とす。

 

 少しの沈黙の後、エルミラが「良かろう」と言ってくるりと背を向けた。



「お前、名は何と申す」

「へ? あ、バ、バルシャ、ですけど……」

「ではバルシャよ、我についてまいれ!」

「えっ⁉」



 エルミラがトコトコと歩き出すと「バルシャ、すまないが、エルミラ様の相手を頼んだよ」と、セルシアスがバルシャの肩に手をおいて嬉しそうに微笑む。



「えー⁉ 相手って⁉ 僕神様の相手なんてどうしたら良いか…」

「大丈夫、難しい事はない、子供の遊び相手をすると思えばいい」

「早くついてまいれ!」

「あ、は、はいー!」



 バルシャがそう答えてエルミラの後を追いかけて行くと、セルシアスが「さて、中を案内しよう、紹介しなければならない者もいるのでね、二人とも、ついておいで」と、連れ去られるバルシャの事など気にするふうもなくそう言って歩き出す。


 遠ざかって行くエルミラたちの方から「これよりおままごとをするぞ」「おままごと……ですか……?」「なんじゃ嫌だと申すか!?」「あ……いえ、そうじゃないですけど……」と言うやり取りが聞こえてくる。


 ラシディアとジュメイラは唖然とした表情で顔を見合わせると、五体の謎生物に囲まれて、まるで連行さながらのバルシャに向かって「バルシャ! よく分かんないけど、しっかりね!」「仲良くするのよー!」と声を掛けてから、セルシアスの後を追った。



 

ここからバルシャまさかの別行動! でもこれ、バルシャの人生において、とても重要な意味を持ってくるのです!


まずはままごとですが、その後、バルシャは大変な目に遭います!



面白い! 続きが楽しみ! と思って頂けたら

是非ブックマーク登録お願い致します!!

そして更に!!

広告の下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして下さいますと、張り切って続きが書けます!


引き続き宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ