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更新が空きまして申し訳ありません^^ボチボチと姐さんと閣下のイチャコラを続けてゆく予定です。宜しくお願いします

◆  ◆  ◆  ◇  ◆  ◆  ◆


また実家から呼び出しを受けた。もうっ…今日はルドガー様と夕食会の予定だったのに…最近は婚姻に向けた準備で忙しいから実家に泊まり込み状態だったのだが、やっと少し時間が出来たし今日は1人暮らしの家に帰るから~と言っていたのに、これだ…


私はルドガー様のいる軍の第二部隊の詰所に向かった。


執務室を覗き込むと室内には側近のマーカス=シスリー中尉しかいない。


「あ、アノバテート先生」


覗いていることに気が付いたのか、シスリ―中尉が私に声をかけてくれた。


「閣下は軍事会議にご出席されてますよ」


「あら?そうなの…ではご伝言お願い出来ますか?今日はアノバテートの実家の方に呼ばれてます、ごめんね…と言えばわかりますので~」


「了解しました!」


私はシスリ―中尉に手を振ってお礼を言ってから執務室を後にした。


そして仕事を終えて、実家に帰るとお母様が笑顔で私を出迎えてくれた。


「はい、これ」


これ…言って渡されたのは…むっ王家の印がある…ぶ、舞踏会の招待状!?


「毎回毎回、ビィルワンド殿下のお誘いを蹴ってばかりで~いい加減今回から行きなさいよ?エスコートにはルドガー様がいらっしゃるでしょう?」


ハッ…としてお母様の顔を見た。そう…舞踏会に出れば、令嬢方にコソコソと陰口を叩かれ、気持ちの悪い男性に付きまとわれたりするので、お兄様かお父様の付き添いが無い時は絶対に行かなかった。


それにもっと失笑されることもあるし……でもこれからはルドガー様と一緒に…


「あらあら…幸せそうな顔をしちゃって…いいわねぇ~ウフフ」


もうっ!お母様ってば!


招待状を握り締めてルドガー様の笑顔を思い出していた。


■  ■  ■  □  ■  ■  ■  □


軍事会議が終わり、今日はサリュシアの家で夕食を~と急いで帰りかけた俺に


「ちょっと待てよ」


とビィルワンド殿下が声をかけてきた。なんだ…急いでいるのに…


ビィルワンド殿下は懐から書簡を取り出してきた。あ…玉璽が押してある。なるほど…


「私の主催の舞踏会だ。いい加減サリュシアと2人でお披露目をしろよ」


「婚約のお披露目はします…」


「しーーっているよ!私も招待されている!おばあ様方が張り切って準備しているからね~それとは別にサリュシアと婚姻しますよと他の貴族位に見せておけ、コレ命令!分かったか?」


ぐぅ…断れないことをいいことに……まあいいか。ドレス工房に出かけてサリュシアと一緒にドレスのオーダーをしてきたのだ。それが仕上がって今日届いているはず…


「分かりました、失礼致します」


まあ今日はサリュシアと夕食会だしな…とニヤニヤしながら執務室に戻ったら側近のマーカス=シスリー中尉が


「あ、閣下ご伝言があります。『今日はアノバテートの実家の方に呼ばれてます、ごめんね…』だそうです」


俺は丸顔で童顔のマーカスをジロリと睨んだ。


「なんだその、気持ちの悪い声は?もしかしてサリュシアの声真似か?気色の悪い……」


マーカスはすぐに真顔に戻ると書類の束を持って、内務省の方へ参りますと言ってシレッとして出て行った。


今日は会えないのか…一日頑張ったご褒美だと思っていたのに喪失感が襲う…


「サリュシア…サリュシアァ……サリュシア…」


「先程の隊長の言葉をそのままそっくりお返ししますよ。気色の悪い呪いの言葉は控えて下さい」


いつの間にか副官のクレルド=ビーン少佐が警邏部隊の会議から戻っていたのか、書類を俺の前に差し出していた。


「会議が被るなんて面倒くさいことですね…こちらが警邏の会議資料です」


「呪いとはなんだ、サリュシアの神々しい美名がそんなものに転ずるはずが無い」


クレルドの差し出した書類を受け取り、睨みつける。


「冗談も通じないのですね…隊長が恋愛で浮かれている姿を晒すなんて私が生きている間に見れるとは思いませんでした」


内務省から戻って来たマーカスは椅子に座るなり鼻で笑っている。上官を鼻で笑うとは何事だ…


「マーカスもお前も何だ…大体だな…」


「あ〜忙しい忙しい」


クレルドは俺の言葉に被せ気味にそう言いながら自分の事務机に戻ると仕事を再開してしまった。


全くどいつもこいつも…



……


王家主催の舞踏会の当日


アノバテート家にサリュシアを迎えに行って俺は息が止まるかと思った。女神が…ここに女神がいる!


「サリュシア…ッ!」


「ルドガー様…」


アノバテート家の玄関ホールに現れたサリュシアは俺と2人で選んだ青基調にしたドレスに、同色のレースが襟と袖口を飾り…慎ましやかな楚々として可憐さの中に禁欲的な印象も与え…


つまりはとてもとても色っぽくて可愛くて世界一美しい令嬢になっていたのだ。


走り寄り抱き付こうとした俺の前に、前国王妃が割り込み立ち塞がった。


「抱き付いては駄目よ!ドレスが乱れるわ」


くっ…前国王妃を押し退ける訳にはいかないし…ここは大人しく従おう。


「はい、閣下も大丈夫ね!お二人共楽しんで来てね」


おばあ様方に睨まれ…屋敷を出て馬車に乗った。


「ルドガー様…私、こんな大きな舞踏会は数年ぶりなんです」


馬車でサリュシアと向かい合わせに座っていたが、すぐに横に移動するとドレスを崩さないように気をつけながら、サリュシアの腰を触った。


「大丈夫だ、サリュシア…俺がいるから全て俺に任せていればいい…」


「ルドガー様…」


うっとりしたような目で俺を見上げてくるサリュシアが可愛くて仕方ない。


髪に触れないように…胸元を乱さないように…一応気を付けながらサリュシアの唇に自分の唇を重ねた。


「んっ…ルドガー様…いけないわ…」


「サリュシア…サリュシア…」


王城に着くまでの間、サリュシアにずっと引っ付いていたのが、先に来ていた母上と兄嫁にバレた。


「馬車の中で何をしていたか一目瞭然です!全くっ野獣みたいな子なんだからっ…」


王城の入口でサリュシアのドレスを手早く直してくれつつ苦笑する兄嫁にお礼を言った。そしてひたすら母上に扇子で頭を叩かれるという情けない姿を……部下に見られていた。


頭を叩かれている俺を見て吹き出す部下(貴族子息達)を睨みつけながら、姐さんお綺麗ですよぉ~なんてふざけた挨拶をするあいつらは明日の鍛錬で鍛錬場50周走を言いつけてやろうと決めた。


お互いの服装を整えて、サリュシアと舞踏会の会場に入った。会場内にいる人々の目が俺に注がれ、そして隣の妖艶なサリュシアに移る。


「あのご令嬢は…?」


「菫色の髪…もしかしてアノバテート家の…?」


ヒソヒソと話し合う声があちこちから聞こえる。聞こえるようにわざと声高に言っているのが腹の立つ。それが分かったのだろう、サリュシアの体が強張っている。俺はサリュシアの耳元に顔を近付けた。


「サリュシア、今日は俺と君の仲を皆に見せつけてやればいい。俺達は政略婚でもない…本当の恋愛婚なのだから…ね」


サリュシアは俺の言葉にパッと顔をあげた。見る間に笑顔になると少し目を潤ませている。


俺はサリュシアと一緒にビィルワンド殿下と妃のナフェシーラ様の前に進んだ。


「サリュシア~!よく来たね、待っていたよ」


ビィルワンド殿下は破顔してサリュシアの手を取った。そして隣のナフェシーラ妃殿下はサリュシアに抱き付いている。


「サリュ…良かったわ、本当に良かった…」


「ナフェ姉様…」


あ…そうか確かナフェシーラ様は侯爵家のご出身でサリュシアの友人のバーバラ嬢の実姉…サリュシアに関する色々をご存じなのかもしれない。


「ヘイベルナ閣下、サリュシアを頼みますね…幸せにね」


妃殿下はちょっと泣き笑いの顔をされていた。俺は妃殿下に力強く頷いて見せた。


「勿論です」


サリュシアと共に軍のお偉方や顔見知りの貴族位の方に挨拶して回った。


俺がサリュシア=アノバテートと婚約した…と告げるとあからさま嫌悪を顔に出す令嬢や子息もいたが、思っていたより騒ぎ立てる輩が少ない。


「あんなの一部の子息や性格の悪ーい令嬢が嫉妬で叫んでいただけだもの。その方達が社交から遠ざかったらあんな嫌な噂、自然に消えたわ!」


舞踏会の会場で会った、サリュシアの友人のエカテリーナ=ハブリアス伯爵夫人に尋ねると目を吊り上げて怒って説明してくれた。


そうか…サリュシアが噂をされてそれでも心根を腐らせずにいれたのは、家族、そして友人…皆が理解し支えてくれていたからなのか…


「それにしてもサリュシア、だったらもっと早く社交界に復帰すればよかったんじゃないか?」


俺がそう聞くと、サリュシアは真っ赤になって俯いて、ハブリアス夫人はニヤニヤと笑っている。


なんだ?どうしたんだ?


「だって……私っダンスを踊るのがすごく苦手なんですよ!」


「……え?」


そんな理由?サリュシアの顔を覗き込むとサリュシアは益々顔を赤くした。


「本当に下手なんですよっ!?」


それほど言うなら…と、ごねて渋るサリュシアの手を引いてダンスを踊った。


確かにサリュシアはお世辞にも上手いとはいえなかった。


美人で気立てがよく、そして真面目で治療術師としても有能なサリュシア=アノバテートは踊りが苦手…確かにこう言ってはアレだが、サリュシアは見た目だけだと踊りが上手そうな雰囲気をしている。


「ごっ…ごめんなさい、足踏んじゃって…やだっ…また…」


なるほど…サリュシアは踊る前から、ステップの踏み間違えを恐れて足元ばかりを見てしまう。そして焦って踏み間違える…更に焦る、の繰り返しだ。


「サリュシア…落ち着いて。俺がリードするから足元は見なくていい。俺の顔を見て…」


「…っはい」


サリュシアは潤んだ瞳を俺に向けてきた。今っっその目で俺を見てはいけない!!


サリュシアは俺にリードしてもらおうと、俺に体を密着させてきた。柔らかく良い匂いが……


「……ふぅ…んっ……サリュシア俺に任せて…」


「っ…はい!」


なんとかやっと一曲踊り終えた。


俺はフラフラだった…色々限界だった…


「どこか休憩出来る所へ……」


「まあっ!?すみません、ルドガー様…私の踊りが下手なせいでお疲れになったのね?」


俺を支えるようにしてサリュシアが寄り添ってくれる。


すまないっ!踊りで疲れた訳ではないのだっ…サリュシアァァ…早く二人きりに…




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