物分かりが悪い熱血と良いヤンデレ
「どこって…あの大きさだから多分森で解体をして…」
「痕跡の処理は?」
「処理…?解体班はちゃんとやってる…かな?」
「疑問形なんですね」
「ごめんね、あまり詳しくは知らないの…」
「緊急です!フレイムテイルが何匹も村付近にいます!」
「ちょっ!フレイムテイルはC級の魔獣よ!そんなに数がいるはず…」
「俺…見てきます!」
ミリアさんが静止するのも聞かずに走り出した。
うん、しまったな。こいつがいた。
ってか俺の魔獣知識が役に立ち過ぎな辺り、この世界は俺が死んだ世界と同じっぽい。
燃え盛るキツネ、フレイムテイル。こいつらは任意で体を燃やしたりできるのだ。
基本的に焼いた獲物を食べるのがこいつらの習性ではあるのだが…
「エルダーボアはお前の獲物だったか?」
もしかしたらこいつが追い立ててたのかもしれない。
目の前には数匹のフレイムテイルのまがいものがいる。
火分身だったかな、今目の前にいるフレイムテイルの親玉だ。
こいつはフレイムテイルではない。スリーテイルだ。
何故かこのフレイムテイルという種族は種族進化をする。
こいつらは尾が増えれば増える程、2倍ぐらい強くなるのだ。
「まぁスリーテイルなら全然余裕だわ」
こちとらナインテイルまで戦ったことがあるんだぞ…
あれはおかしい。なんていうか人型になってたし、狐火なんて太陽みたいになってたしな。
どうやって勝ったかって?太陽光線を扇形に反射して焦点作ってやべー温度にして倒した。
まぁ殺せはしなかったんだがなぁ…
「おっと!」
狐火を飛ばしてくる。まぁこの程度ならなんとでもなるな。
火分身もいっしょに襲ってくるが、ラウンドシールドで叩きつけたり、剣でいなす。
木でできてるラウンドシールドだが、防炎加工もされているし、炎に強いサマーウッドで出来ている。本当にいい装備だなオイ
剣は耐魔加工がされているな、刃もきちんと研いでるし申し分ない。これは多分オツベルくんがマメなんだな。
「スノーウインド!」
手から吹雪を出す。風と氷の初級複合魔法だ。
こいつの火分身は極わずかでもいいダメージを与えれば消える。
ちょっとした雪でもダメージを与えれるのでこの魔法は消すのにうってつけなのだ。
「よし、消えたな、アイスソード!」
剣に氷を纏う。正直そのまま切ったら剣が溶ける可能性があるからな。さすがに氷を一瞬で気化させるのは無理だろう。
燃えているキツネを切り裂いた。
「あれ?これも分身?」
キツネは消えてしまった。スリーテイルの分身って初めて見た…いや…
一度だけ見たことがある。
「ナイン…テイル…?」
そう、ナインテイルの火分身はスリーテイルの形になっていたのだ。
やっば!これ親玉来るんじゃねーの?
「儂のかわいいかわいい分身が消されたと来てみれば…ずいぶんと地味なオノコがおるのう…」
火移り…炎をから炎へワープするナインテイルの魔術だ。
スリーテイルのもえかすがものすごい勢いで燃え上がる。
「そちは少し面白いにおいがするのう…」
炎から現れるのは獣娘。キツネの耳、9つのキツネのしっぽを持つ美女だ。
まさかこいつは…
「キュウ…?」
「何故その名を知っている!!」
一瞬で間合いを詰められた。ちょっと早すぎない?
「くそっ!おちつけ!」
やばいやばい、じゃれられただけで消滅しちまうぞ!何かないか!
そうだよ、こいつの天敵を呼べば!
「アイスメイル!脱皮!アイスメイル!脱皮!」
一瞬で蒸発するが、欲しいのはその一瞬だ!
アイスメイルに紛れて砕けた氷を用意する!
「氷移り!?この魔法の多様性…お主!」
「落ち着けよ、多分落ち着かないと何言っても納得しないだろ?」
「一体、何者だ!」
「まずは知ってる友達と会っておけよ」
詠唱を開始する。氷から氷へ、そして隙をみて炎から炎へ移る。
「雪よ輝け、輝きを永久に繋げ、永遠の円環よ、下ろせ」
「我は求めたり永遠の輝きを、我は求めたり永遠の友よ」
「永久の同胞、永久の恋人、永遠の絆を求めた者よ」
「ちょっとそこの狐を冷やしてくれ!フィヨルド!」