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vol.39 四人目

「な、何言ってんのよ。私はダークエルフよ? そんなのと一緒にいたら、アンタらまで……」


「モンスターである私にそのセリフ言う?」



 クレハに苦笑しながら突っ込みを入れると、彼女は言いかけた言葉をグッと飲み込んだ。気まずそうにコホンと一つ咳払いをする。



「……ま、まぁそれはともかく。勝手に逃げ出したりなんてしたら、私は良くても部族のみんなに迷惑がかかっちゃうわよ。私が負担してた分、みんながレア素材を納めなきゃいけなくなるんだから」



 バカまじめだなと、少しばかり呆れてしまう。しかし、どこまでも真面目な彼女らしい答えだった。クレハは、自分の身を削ってでも現状をなんとかしようとするタイプらしい。学級委員長だったときも、から回りしていたとはいえ彼女なりに頑張っていたのだろうな。



「よし。分かった。……じゃあ、部族さえなんとかなれば良いわけだよね」



 私はクレハに提案をした。それを聞いたクレハはポカンとしていたが、マリンもアンズも同意見のようでしっかりと頷いてくれる。



「よし、決まり。じゃあこれからのことだけど――」


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」



 私は何事もなかったように話を進めようとしたが、慌てた様子でクレハが話を遮ってくる。もう何?



「何を勝手に決めてるのよ! そもそも私は返事も何もしてないし……」


「え、嫌なの? せっかく現状を変えられるチャンスなのに」


「そ、そうじゃないわよ! でも関係ないアンタらまで迷惑をかけるわけにはいかないじゃないの!」



 まくしたてるようにクレハは言う。あんまり興奮して言うもんだから唾が飛んでるよ、はしたないよ。



「……だってさ、マリン、アンズ。関係ないって言ってるよ」


「それはショックねぇ。元クラスメイトと知って、私としてはもう他人じゃないと思っていたのだけれど」


「むしろ、私はもう仲間だって思ってましたよ。仲間だったら、クレハさんのことを助けるのは普通のことですよね?」



 私達が思い思いに言うものだから、彼女は言葉に詰まってしまっている。



「うう、何よ! これじゃまるで私が悪者みたいじゃないの」


「で、どうするの?」


「あーもう! わかったわよ!」



 ブツブツと文句をつぶやきながらも、クレハは空中に文字を描くような動作をする。すると、すぐにいつものアナウンスが私の脳内に響いた。



『クレハさんからパーティ申請が来ています。申請を受諾しますか?』







 パーティが四人になり、私達はとにかく遺跡を脱出する必要があるとしてどんどん先へ進んでいた。ある程度休んだことにより、“疲労”の状態異常も消えたことだ。しばらく歩いてたどり着いたのは、下り階段だった。



「よし、じゃあ気をつけて降りていこうか」


「よし、じゃないわよ! ここ地下よね!? 何で脱出を目指してるのに降りちゃうのよ!」



 クレハが真っ直ぐに疑問をぶつけてくる。



「まぁまぁ。そんなに大きい声を出さなくてもみんな聞こえてるわよ? クレハちゃん」


「そうですよ。それに、コユキさんのことだからきっと考えがあってのことですよね?」



 マリンもアンズも、私の提案に一切反対意見を出さないのはおそらくその信頼感ゆえなんだろう。ちょっとプレッシャーだけど、これまでスムーズに進行できていたのは彼女たちのおかげだ。クレハが入ったことで、この意見がまとまらない感じ。久しぶりだ。



「この手のダンジョンはね。大抵一番底まで行ったらボスがいて、それを倒せば地上に戻る手段が用意されてるものだから」



 RPGゲームのお約束だ。そもそもが、ダンジョンというのはソロで挑むものではない。しっかり敵が配置されていて、パーティを組むことで程よい難易度。そして敵が強すぎない場合、最深部にはボスがいるはず。これまでのゲーム経験から考えれば、そういった結論に結びつくのだ。……この世界自体が、あまりにゲームに準拠しているからこそなんだけどね。



「……ふん。どうなっても知らないわよ」



 ぷい、とクレハはそっぽを向きつつも私達についてきていた。まぁ、彼女の反応の方が普通だと思うしあんまり気にしないことにしよう。階段を降りながら、パーティメンバーのステータスを確認していた私はあることに気がつく。



「あれ。……クレハ、やたらといっぱい魔法がつかえると思ったけど。各属性のレベル1までしかスキルとってないんだね?」



 炎、水、土、風、闇。ステータス上は光属性以外の魔法を全て網羅しているが、スキルレベルは全て1だった。私のつぶやきに、マリンが慌ててステータスウィンドウを確認している。



「えっ! それはおかしいわ。だって、クレハちゃんが使ってた“フレイムタン”は<炎魔法>がレベル3から使える魔法のはずよ」



 どういうことなの? と彼女はクレハに尋ねた。まぁ、魔法メインで戦っている者からすれば由々しき事態だろう。スキルレベルを上げる意味がなくなってしまうのだから。



「それはダークエルフの特権……と言いたいところだけど。仕組みさえ分かっちゃえば、もしかしたら誰にでもできることかもしれないわね。“魔粒子”って聞いたことはあるかしら?」



 全員が首を横に振る。



「まぁそうでしょうね。この世界では、空気中にそれが漂っているみたいなのよ。元の世界の酸素とか窒素とかと同じ理屈。魔法っていうのは、それを元に発動しているものなの。細かい話は端折るけど……とにかく。その術式さえ分かってしまえば、基礎の属性が発動できていれば強化も弱化も自由自在って理屈ね」 



 得意げにクレハが説明してくれるが、すげーや全然何言ってるかわかんないわ。マリンだけがふむふむと頷いているが、きっと彼女は自頭が良いんだろうな。アンズに至っては頭から煙が出ているし。いいんだよ無理して理解しようとしなくても。




『種族名:スライムガール Lv.31 固有名:コユキ 性別:女 状態:正常

HP 351/351

MP 217/217

筋力 250(275)

敏捷 300

器用 216(259)

知性 142

精神 144(158)

SP 11

LB 20

魔法  <麻痺魔法>Lv.3

スキル <捕食>Lv.2 <形態変化>Lv.5 <早熟>Lv.2 <HP自動回復>Lv.4 <MP自動回復>Lv.4 <回転移動>Lv.4 <危機感知>Lv.2 <ST閲覧>Lv.3 <ST閲覧防御>Lv.3 <道具入れ>Lv.1 <忍び足>Lv.2 <跳躍>Lv.1 <策略家>Lv.1 <無謀な挑戦者>Lv.1 <水泳>Lv.1 <念話>Lv.1 <ネスト言語>Lv.1 <酸攻撃>Lv.5 <酸耐性>Lv.5 <酔耐性>Lv.1 <斬耐性>Lv.1 <ステルス>Lv.1』


『種族名:猫又 Lv.29 固有名:マリン 性別:女 状態:正常

HP 201/201

MP 247/247

筋力 108

敏捷 145

器用 100

知性 200

精神 196

SP 10

LB 0

魔法  <幻惑魔法>Lv.4 <炎魔法>Lv.4 <聖魔法>Lv.4 

スキル <变化>Lv.4 <爪強化>Lv.1 <忍び足>Lv.2 <料理>Lv.2 <HP自動回復>Lv.1 <MP自動回復>Lv.2 <念話>Lv.1 <道具入れ>Lv.1 <ネスト言語>Lv.1 <跳躍>Lv.1 <ステルス>Lv.2 <落下ダメージ軽減>Lv.1 <ST閲覧>Lv.2 <ST閲覧防御>Lv.2 <夜目>Lv.2』


『種族名:獣人 Lv.23 固有名:アンズ 性別:女 状態:正常

HP 243/243(E343/343)

MP 188/188(E238/238)

筋力 240(E270)

敏捷 200(E230)

器用 150(E180)

知性 102

精神 111

SP 8

LB 9

魔法  なし 

スキル <近接格闘>Lv.5 <身体強化>Lv.3 <皮膚強化>Lv.2 <HP自動回復>Lv.3 <念話>Lv.1 <道具入れ>Lv.1 <ネスト言語>Lv.1 <跳躍>Lv.2 <ST閲覧>Lv.2 <ST閲覧防御>Lv.2 

装備 純白の忍装束 武闘家の籠手』


『種族名:ダークエルフ Lv.25 固有名:クレハ 性別:女 状態:正常

HP 180/180(E210/210)

MP 292/292(E372/372)

筋力 89(E99)

敏捷 167(E187)

器用 188(E218)

知性 252(E282)

精神 255(E285)

SP 13

LB 13

魔法  <炎魔法>Lv.1 <水魔法>Lv.1 <風魔法>Lv.1 <土魔法>Lv.1 <闇魔法>Lv.1

スキル <魔法付与>Lv.5 <サポーター>Lv.1 <MP自動回復>Lv.2 <念話>Lv.1 <道具入れ>Lv.1 <ネスト言語>Lv.1 <弓術>Lv.2 <ST閲覧>Lv.3 <ST閲覧防御>Lv.3 

装備 鋼の大弓 弓使いの服 魔法のグローブ』

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