いままでも、これからも。
結局、未来は変えることができなかった。
どれだけ繰り返しても、どれだけやり直しても、僕には君を救うことができなかった。
命が散りゆく君が最期に言う。
「君が生きていてくれて、よかった。今まで、ありがとう。」
この言葉を何回聞いたことだろう。100回、200回?
もう覚えていない。
聞きたくない、聞きたくない。
もうその言葉を聞きたくない。
でも毎回毎回毎回聞く。繰り返し、繰り返し。
どうしたらこの未来を変えることができるのだろうか。
絶対に決まっているこの未来を。
色々なことを試してきた。
彼女を違う場所に呼び出してみたり、そもそも呼び出さなかったり。連絡を取らなかったり、逆にずっとその日一日中電話をしてみたり、うんと遠くに連れ出してみたり、ホテルに立てこもってみたり。
それでも変わらなかった。
もうこれ以上何を試せば彼女を救うことができるのだろう。
思考を巡らせる。
あ、一つだけ試していないことがあった。
彼女が生きていてくれるなら僕はどうなってもいい。
これが僕が思いつく唯一試してない方法だ。うまくいくといいけれど。失敗したらそのあとはもう僕にはどうすることもできないけれど。これしか最期に思いつかなかったんだ。
さよなら。愛してる。今までも、これからも。