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悪役令嬢のこれから4


抓りねじり上げや、2回にも渡る武闘派淑女からの張り手から

耐え抜いた我が頬は、本当に優秀。拍手ものだ。


「では、日中の貴方は勤労に励み、普段通りに生活なさい。

わたくしはその間、学びたく思いますわ。わたくしはそもそも学生ですのよ、ルナルティス家として・・・そしてオリバー様の元に嫁ぐものとして、遊んでいる場合ではありませんもの。

この世界について、勉強したいですわ」


悪役令嬢は、張り手を食らわせた後

鳩尾に蹴りを入れ、俺の上体を突き崩し、倒れさせた。

その後、何度も連続で蹴り続けるという、ヤクザ屋さんのような所業を行い、怒りを鎮められたようだ。

こいつ、すぐ手が出るタイプなんだな、さすが悪役だななどと俺は、頭と腹を守るよう足を折りたたみ頭を抱え、亀の子防御に徹しながら折檻に耐えきった。はは学生時代の嫌な記憶まで蘇ってきたぜちくしょう。


悪役令嬢は床に丸まっている俺に腰かけて

女王のように振る舞っている。

所謂、人間椅子を現在進行形でやられてる訳なんだが・・・また蹴られて痛い思いをするのは嫌なので、無抵抗に甘んじている。俺の記憶が確かならこういう時は、相手を踊らせておいた方が被害は少ない。明日出勤だし、長引かせたくはないからな。可愛いメルシアちゃんが泣きだしてしまいそうな情けない図なのは分かってる。しかし、抵抗するのは時間の無駄だから、しない。


俺は、とりあえず悪役令嬢の真下から会話している。


「勉強っていったって・・・どうやってやる気ですか」

むすうたの世界の勉強法なんてたかが知れてる。

家庭教師やら教師による講義、書物を読む程度だ。

魔法は使えないのは露呈したし、パソコンなんて存在しないから使い方を教えない限り、理解は出来ないだろうし。


「そうですわね・・・書物は、ありませんの?」

「俺の仕事に関するものと、漫画くらいしか」


仕事の専門書もそれなりにはあるが、それよりもメインを占めているのはパワハラからの逃亡のやり方だの、コミュ症を治すための自己啓発だのそういう・・乙女ゲームキャラには見せたくない本ばかりしか置いてない。


「で、では・・・ノガミの、庶民の娯楽はありますでしょう?

異国の庶民の生活の娯楽を知りたいですわ」


いやいや、乙女ゲームは見せられんって。

第一、行方不明になってる奴だし。


と、行方不明の乙女ゲームの話が浮上した所で

凄まじい名案が浮かんだ。


悪役令嬢に、移転原因かもしれない重要アイテムで

現在、行方不明ゲーム機を探してもらう。

そうしたら彼女にも暇つぶしが出来るようになり

外の世界に興味を持たない。


俺は安心して、出掛けられる。

エサと水と、最低限さえ教えれば、大丈夫なんじゃないかと


「あの、シャーリィさん」

「なんでしょう、ノガミ」


考えろ、考えろ俺。

悪役令嬢を都合よく転がすには、どの言葉が相応しいんだ。


「と、とりあえず・・・」

「・・・・」

「ちゃんと話がしたいので、降りてもらえますか?」

「・・いいでしょう。ですか、また何か隠し事をしているようでしたらこんなものでは済ませないので、そのおつもりで」


悪役令嬢は、お怒りを鎮められたと思っていたが

そうでも無いようだ。


隠し事に強く怒ってらっしゃるようなので

なるべく、情報を開示したほうがいいんだろうな。


俺はメルシアちゃんの幸せを願っているから

悪役令嬢に話してはいけない話を知っている


けっして、悪役令嬢に好意があるわけではない。

けれど・・・俺は


自信を持てと言われて、嬉しかった。


だから、すごく苦しい。


悪役令嬢にほだされた訳じゃないのに


俺は・・隠すしかない現状を、苦しく思う


だから、俺は感傷的になっている部分を切り取り

考えないようにすることにした。


俺は、ズルい。




話の展開が思っていた以上に遅筆で、困っています。


いつの間にか悪役令嬢は武闘派になっていました

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