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悪役令嬢のこれから2


「ニホン国は、災害が多いからこのような便利で美味な保存食があるのでしょうか?」

「さ、災害が多いのは否めないけど・・そういう訳では・ないかなあって思いますよ」

「まぁ・・ニホン国も難儀な国なのですわね。我がセインツローゼでは災害を未然に防ぐ為の結界魔術を常時張り巡らせ、災害を阻止していますのよ。魔物が絶対に入ってくることの無い完璧な防衛壁がありますわ」

「それは・・・外部から魔物とかが・・来るから自衛するって意味なら、日本もやってますよ」

「あら、魔物は存在しないと言ってましたわよね?」

「真に恐ろしいのは人です・・魔物なんかよりもずっと怖いです」

核兵器とか、戦争とかね。

乙女ゲームじゃ、あり得ないから知らないんだろうけどさ。


ズルズルとカップ麺を啜りながら、俺はそんな風に思う。

さて、どう話を進めたものか。

カップ麺を使い捨てフォークで攻略中の乙女ゲームからやってきた悪役令嬢に現実世界の常識を、叩き込まねば。


まず、文明が大幅に違うからなぁ。



パスタの要領で、フォークで巻き取りながらしげしげと麺を眺めるこちらのご令嬢のスペックを頑張って思い出してみようか。


シャーリィ・ラヴァナ・ルナルティス。

むすうたのライバルキャラ。頭脳明晰、人脈は広い。

プライドが高く、公爵の一人娘。

オリバー・リカルド・セインツローゼの婚約者。

王子ルート以外でもやたら絡んでくるメルシアちゃんを一方的に敵視する、性格の悪い娘。

理由は大の庶民嫌いだから。なんでまたそんな庶民を嫌うかは知らんが・・・さっきの態度は、知らない一面だった。

はっ・・まさか、こいつ男には媚を売るので俺には優しくし、女であるメルシアちゃんをイビリ倒す二重人格なのか?うわ絶対に騙されたくねえ、俺は頑張るよ。騙されないからねメルシアちゃん‼

それにゲーム中は一体、可愛いメルシアちゃんが何をしたんだ、何を!!!・・俺は、お前にどれだけイベントを邪魔されたと思ってるんだ、絶対許さんからな!!!


だいたいお前が婚約者だって言ってるオリバー王子はなぁ、性格のキツいシャーリィに嫌気がさしてゲーム中、ほぼ逃げ回ってたぞ。

宿命といえど、国の為に筆頭公爵家の、娘を娶るしかない。しかし、相性が悪い。逃げ出したくなるくらい辛かったってイベントで言ってたんだからな!!!罪悪感にかられる王子を救ったのが我らがヒロイン、メルシアちゃん。二人は運命的に惹かれ合い互いの存在があってこそ生きる喜びを、その意味を知る。そんな胸キュンストーリーなんだよ王子ルートは。許されぬ身分違いの恋になったのはお前の性格の悪さだって公式ホームページにも書いてあったぞ!!


ずずーっとカップ麺のスープを飲み干し、力任せにテーブルに置いた。やっぱりこの女はムカつく!!


「これ、美味しそうな香りだけではなく・・・口につけて飲むものでしたの?」

「・・あ、テーブルマナーとか気にしなくて、いいですけど・・」

「・・・ご、郷に入りては郷に従えと言う言葉は知っていますけど・・わ、わたくしは・・・」

どんだけマナーを気にする女なんだよ、お姫様か!!!

公爵家の一人娘で、厳しく育てられた、せいか?

あーもうめんどくせぇなぁっ!!!

ちょっと待ってろ、確か使い捨てスプーンあったから!!

わがままな悪役令嬢に先は思いやられるばかりだ。



「じゃー、改めまして。本当に改めましてっ!!!

これからのシャーリィさん帰還までの計画を練ろうと思います」

「ええ、よろしくってよ」

庶民飯とも言えるカップ麺を平らげた後に

汗を流したいですわだの、色々わがままをいいまくり

やっと、一段落したところで澄まし顔で、よろしくってよ、じゃねぇから‼

てめぇ当事者だろちゃんと考えろ!!!


ちなみにシャワーはまだ扱わせるのは危険とみなしたので

慌てて風呂を沸かし、その合間に一度コンビニに走った。

とりあえず、女性経験の無い俺を社員旅行時にこき使ってくれたお局様とその腰巾着な事務のおばさん、もといお姉さん方に今更ながら大感謝した。


クソ黒歴史でしかないが、コンビニには大抵のものがあり

下着だの、化粧落としだの、俺とは無縁のものが、いざという時に買えるという知識を授けていてくれたことに。


というわけで、ひとっ風呂浴びメイクオフでコンビニで購入した色々で誤魔化しながらのご令嬢と対面しながら、再び説明ノート片手に。俺は最低限を教えようとしている。

俺はメルシアちゃん以外には興味ないし、何より犯罪者にしかならないので全く持って興味はないが、今のご令嬢は非常にエロい。

コンビニで買ったのは、女性用ショーツとメイク落とし、サイズの小さいTシャツ。先程の制服と・・ぶ、ぶらとぱんつ、まとめて洗濯中だからな。仕方のない事なんだ!!!つまり・・・多分好きな人は好きなのだろう。日本男児の情けで、スウェットは貸してやったが、服がないんだよな。買いにいかなきゃいけないのかと思うと面倒くさい。通販でポチるか?対策を練らねば。



じゃなくてっ、明日の通常営業に向けて、決まりをいくつか作らないと安心して出かけられない。こんなことで有給を取りたくはないし、何か変なことしているんじゃないかと疑われるのはゴメンだからだ。


明日は平日。俺は仕事に行く。


攻略キャラに向かって労うメルシアちゃんの台詞を思い浮かべながら真っ当に働く社会人だからな。

こうやって悪役令嬢が出てきた事を考えるとメルシアちゃんが現れる可能性がゼロじゃない事が証明された。つまりメルシアちゃんに貢げる日が来るのかもしれないと思うと俺は休む訳にはいかない。


その為にも、この女に、色々と工夫して生活してもらわなきゃならないんだ。




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