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悪役令嬢の現状2

君の言葉はいつだって、俺の感情を、心を揺さぶった

たとえそれが、存在しない遊びだとしても

君は主役になれない鏡として産まれた存在だとしても

俺は、君を幸せにする。それが俺の幸せなのだから


君を知って、知ろうとして

世界は君に優しくなかった事を知った


説明用プロフィールすら、無いのだから




俺の貴重なメルシアちゃん補給器が、姿を消した。

つまり、悪役令嬢がこの世界に現れるまで

手にしていたゲーム機が無くなっていた。


買えばいいじゃないとか言う無かれ。

いや、確かに買って新規でメルシアちゃんと思い出を育むのも悪くないし、むしろ有り。

馬鹿な俺はメルシアちゃん愛しさのあまりに即フルコンしてしまいデータが全て埋まっていたので、クリア後おまけコンテンツというメルシアちゃんの輝く場所を奪ってしまったのだ。

そう、いわゆるスチル閲覧の項目の「まだ見れないよ」なコメントだ。しかも、ネットの情報によるとヒントと共にランダムなコメントをするという親切機能つきとの噂だ。ああメルシアちゃんがただ優しくて俺は今日も幸せです!!絶対にすべて確認して俺のメルシアちゃんは全ての迷える子羊を愛する女神なんだという考えを世界に、彼女の存在を知らしめてあげたい。

ただですら顔の見えないメルシアちゃんの数少ない物語の外のコメントを見ることが出来なくなっていたなんて、なんたる悲劇っ!!!しかし、フルコンありがとう的なコメント、それを消すことはメルシアちゃんの幸せを消すのも同じ、そんなの俺の心が引きされかねない。

まっさらなデータで始めるということは貴重なメルシアちゃんの台詞を拝むことが出来る。しかもランダム。実に素晴らしい。よし決めた、スペアを買おう。しかし、問題はそうじゃない。




いつもの如く、メルシアちゃん語りが長くなってしまったが・・・この、目の前にいる悪役令嬢に現状を効率的に説明できる証拠アイテムが手元にないというのはリアル弱者でチワワで、コミュ症の俺的に非常に困った自体だったりするわけで・・・


困った俺は、ノートとペンを取り説明することにした。





ではおさらいしよう。


結ばれる約束のうた、通称むすうた。

重厚な中世風の世界観に則り、子女たちが世に出ても恥ずかしくない優秀な貴族になれるよう訓練する為の寄宿学園に通い、卒業を目指す。

中には魔力のある庶民も入学を許可されている。ベッタベタな設定と笑うなかれ。魔力を制御出来ず、命を落としたり等もありうるからちゃんと訓練し、安全にしっかりと生きていけるようにという優しい設定なんだから。実際、ゲームヒロインのメルシアちゃんは庶民の出。強盗に襲われた時、母を守ろうとして怪我をさせてしまったのが魔力の発現だ。誰も傷つけたくないという、しなやかで優しい決意で入学を決めた君は天使です、可愛い。


と、要は・・・なんやかんやで男に囲まれ、好感度を稼ぎ、現実には反映されずモテたりはしていないが、作品中では誰でもモテモテな夢を見せる乙女ゲームだ。


それなりにファンもいて、続編決定も夢ではない規模を誇る。

俺もメルシアちゃんグッズを探したりしたいが、人気キャラではないので、勿論存在してなかった。

もう溢れる俺の愛で作りだすしかねぇな。


で、俺の部屋で・・・悲しいことに両親の教育の賜物でそれなりに誰が来てもおもてなしできるように躾けられていた為、一人暮らしの男の割には一定水準を誇る快適空間であり、来客用の菓子もあったり、上等な紅茶があるのを発見すると、家主である俺に用意させ堂々と一息つく、ど派手な制服に身を包む偉そうな女は

・・・むすうたライバルキャラ

シャーリィ・ラヴァナ・ルナルティス


ここまでノートに書きだして、俺はふと疑問に思った。


あ、俺、こいつの事ライバルキャラってことだけしか知らねぇや


そして・・・お前はライバルキャラで、嫌な女で、主人公に嫌がらせをしまくったあげく、婚約を破棄され、学園を追放されると伝えたら・・ヤケを起こしてしまうのではないかと



もし、ゲームの世界にこいつを返したら

可愛いメルシアちゃんがよりイジメられるんじゃないかと




絶対に愛さない運命で、自分は捨てられると知ってしまったら


こいつは、どうなってしまうんだ・・・?




だから、俺は世界の説明だけに留めるべく

情報を限定して伝えることにした。

ノートは新しいページから書き直した。


だって、愛しいメルシアちゃんが

関わるかもしれない大きな事態だと自覚したのだから。





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