悪役令嬢の転移
なんなんでしょう・・この世界は・・
あんなに露出過多な服で歩く、娼婦のような女性に・・
カラフルに動く、化け物・・・
品の無い、言葉を知らぬ動物のような殿方・・・
訳のわからない雑音がひっきりなしに鳴る、空間・・
無礼者、わたくしは、栄えあるセインツローゼ大国次期后妃になる
シャーリィ・ラヴァナ・ルナルティスですのよ、さっさと学園に護送なさい!!!
あああやっぱり、これは異世界転移で、よりにもよって貴様か悪役令嬢がああああ!!!
なんでお前がこっちの世界に来てるんだよーーーーっ!!!!
俺の名前は、野上圭太。
人生で初めて出来た彼女に振られ、生粋のヲタで腐女子だった彼女と同棲にまでこぎつけたのだが・・自由奔放に二次元を愛する彼女は・・レベルが異次元だった。
デートに誘えば「推しに貢ぎたいから、今月は家で布教アニメを一緒に見よ?」
抱き寄せてみれば「ごめん、あんたの声が推しと似ているから居たいだけで基本的にお触りNGで」
ならばと甘えてみれば「・・・・・・三次元とか、萌えないから無理にキャラ作らなくていいよ」
と・・まあ・・上手くいかなかった訳で・・・喧嘩別れし、出ていかれました。
今なら彼女の言った意味が分かる。師匠、すみませんでした。師匠がいてくれてヲタの俺が生まれました。ありがとう、師匠。俺のメルシア(デフォルト名)ちゃんと出会わせてくれて。
で、そんな彼女の忘れ物の乙女ゲーム「結ばれる約束の歌」略してむすうたに手を出してしまったのが、華麗なる俺のヲタデビューだったわけで・・・
言っておくが、俺は師匠や世に無数におられる腐女子の皆様のお望みのBのLじゃなくて
物語に出てくる癖に全く顔を出さずに、スチルでまれにちらつく顔無き君のメルシアちゃんを幸せにしたくて乙女ゲームにドはまりした。尊い。可愛い。守りたい。特殊性癖なのは分かっているし、恥ずかしいなどと思ってない!!両親泣かせてしまったが、俺はもう戻れない。メルシアちゃん以外萌えないんだ!!
で、隠しイベントまで全踏破し、今日も今日とてメルシアちゃんの見る景色の馬鹿どもの好感度を上げ、ときめくメルシアちゃんに俺もときめく、そんな素晴らしいサイクルの休日だったのに・・・・突如、ゲームから異音がしたんだ。やりすぎの故障かと、いったん止めようとしたらゲーム機から閃光が溢れ、思わず目をつぶり、ゲームを手放すと、それはいた。
ど派手な縦ロール。現実じゃあり得ないキラッキラな色合いの学生服。
そう、俺のメルシアちゃんをさんざんいじめやがった、俺の敵。
うたむすの悪役令嬢。シャーリィ・ラヴァナ・ルナルティス。