第十章
おい、これどうなってんだよ。フォーの全身が真っ赤だ。これは血か?
「大丈夫かフォーこれどうなってんだ」
返事は無い。まさかフォーはもう・・・・・
俺は店長の助言を忘れて大声で叫んだ。
「出てこいよ。真っ黒男お前がフォーをこんなことにしたんだろ。隠れてないで出て来いお前もフォーと同じ痛みを味わしてやる」
しかし店内にはまったく気配が無い。外に逃げられたか。
俺がやつを追いかけようと立ち上がったとき後ろから声が聞こえた。
「私は大丈夫これくらいでは死なない」
それは紛れも無くフォーの声だった。
「おっお前大丈夫なのか?」
「私たちの体の自然治癒力は人間の十倍近くある。これくらいの傷では死なない。一日も休めば回復する。だからあいつは放っておいて」
「でもそれじゃあ俺の気がすまない。絶対あいつもフォーと同じ目に合わしてやるからな」
「無理、裕也ではあいつには勝てない」
「そんなのやってみなきゃわかんねぇよ」
「分かる。だってあいつは人間じゃないもんの」
それってつまりやつも宇宙人ということか?
息を切らしながら話を続けるフォー。
「私たちの組織は現在二つの勢力に分かれている。一つは私の所属する出来れば地球人と共存したいと思っている勢力、もう一つは地球人など存在に値しない今すぐ殲滅すべきだと考える勢力。やつらはごくまれに地球に侵入して地球人の数を減らして回っている」
「ということはさっきのやつはその勢力のやつだったというわけか」
「うん」
悔しいが宇宙人の仕業と分かった以上俺にはどうすることも出来ない。俺はフォーを背負いコンビニを出ることにした。
仕方が無いんだ。俺はフォー達宇宙人の力を知っている。だから戦っても一瞬で粉々にされてしまうことも知っている。
トボトボとフォーを背負い自動ドアまで歩く。
「おい、ちょっと待ってくれさっきに話し詳しく聞かせてくれ」
自動ドアの前にはいつの間にか店長が立っていた。
「すいませんそれは出来ません」
「頼むよ、教えてくれ」
土下座をして頼み込む店長。なぜこの人はこんなにも必死なのだろう?
「フォーどうする?」
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「あなたがこのことを絶対に世間に郊外し無いと誓うなら教えてもいい」
「絶対に言わないだから」
俺はフォーに変わって説明してやった。フォーが宇宙人であることと人類殲滅計画について。
しかしこんな話をしたところで到底信じてもらえるとは思えない。きっと店長は話し終わった後「でたらめ言うな」と怒ってくるだろう。
これはしかたがないこと、もしも俺が店長の立場なら信じなかっただろう。それに俺だってこれを信じたのはついこの前の話。
「教えてくれてありがとう」
えっ。
「店長俺たちの話信じてくれるんですか?」
「ああ信じるよ」
「何故、俺だったら絶対信じないのに」
「僕は自分で見たことは信じることにしてるんだ。僕は見たんだやつの正体を、だからやつはこの店によく現れる。やつの狙いは僕だったんだ」
「それはどういうことですか?」
「この話は少し長くなるからね。とりあえず近くに僕の住んでるアパートがあるからそこで話をしないか?そこでフォーちゃんの怪我の手当てもしてあげるよ」
正直俺たちはすごく疲れていて早く家に帰りたかったのだが、そのときの店長の顔は何かとても悲しい顔で、断ることが出来ず話だけならということで俺たちは店長の住むアパートに行くことにした。
アパートははコンビニから50メートルくらい行ったところで本当に近かった。
こんなことを思うのは悪いのだが、店長の住むアパートはむちゃくちゃボロいアパートだった。それこそ地震なんかが来たら真っ先に壊れてしまいそうなほど。
店長の部屋は一階の一番奥だった。
ふと気がつくと背負っていたフォーはもうぐっすり寝てしまっていた。
どうやら話は店長と俺の二人きりですることになりそうだ。
「失礼しま〜す」
ドアを開ける。