ボカロ廃的観点から音楽ゲームについて語る
ボーカロイドを知らない方向けのエッセイも書いている池田哲次です。
今回はもう一つの趣味である音楽ゲームについて語っていきたいと思います。
ボカロの音楽ゲームと言えば、やはりセガの「初音ミク Project DIVA」と、その派生作品である「初音ミク Project mirai」ですね。これは外せない。
音楽ゲームというよりはキャラゲーとしての側面が強いゲームです。3Dモデルのミクさんやリンちゃんが人気の楽曲を歌い、踊ってくれる。なんと着せかえも可能。それに魅力を感じられる人にとってはこれ以外の選択肢は無いと言っていいでしょう。
音楽ゲーム部分もシンプルです。リズムに合わせて○△□×のボタンを叩く。作品によっては長押しやスライドもあります。
今から始めるならPS4版一択ですね。ゲームセンターのアーケード筐体の内容をほぼそのまま移植、随時アップデートされる「初音ミク Project DIVA Future Tone」と、PSVRを使用することで実際にライブを体感できる「初音ミク -Project DIVA- X HD」。まあ、後者は問題も多いそうですが。
アーケード筐体は100円突っ込むだけなので手軽で良いんですが、三年前の基盤なのでPS4の方が高性能になってしまい……発売以降の追加楽曲も1500円でパック販売されちゃってるので初期投資の安さ以外の点ではPS4には勝てませんね。アーケードは時間制限があって忙しないですし、本腰を入れ始めると投資金額が青天井ですし。
欠点と呼べる欠点としては、クリプトンのライブラリを使用した楽曲しか収録されていないことですかね。GUMIやIAにも名曲はたくさんあるわけで、キャラクターよりも曲派の人には少々物足りないかもしれません。
曲の面から見れば同じくセガの「maimai」は理想的でしょう。ドラム型洗濯機と称される独特の形をしたアーケード筐体です。
流石にDIVAの曲数には負けますが「niconico & ボーカロイド」には十分な数の楽曲を取り揃えています。世代やライブラリの偏りも比較的少ないので知っている曲がないという事態にはなかなかならないと思います。他のジャンルの曲も変に偏らずちょうど良いバランスです。
ドラム型洗濯機の窓というか洗濯物を入れる場所、ここが円形のモニターになっていて、PVを見ながらプレーすることが可能です。地味に嬉しいポイント。初期の曲は踊ってみた動画だったりしますが、それはそれで悪くはないです。
モニターの周囲に等間隔に八個のボタンがついていて、画面中央から外側に流れるノーツに合わせてそのボタンを叩きます。青色の星が流れてきたら、画面に矢印が表示されるのでそれに合わせて画面をなぞります。手袋推奨です。
動画サイトとの連携機能があって、自分のプレイしている姿をネットにアップロードして動きを確かめることが可能です。初心者には縁のない話ですが。
欠点はあまり浮かびませんが、強いて言うならプレイしている姿がオタ芸に近い状態で、まあ、なんというか凄まじいです。基本的にゲームセンターには同好の士しか居ないのでそこまで気にする必要はないかもしれませんが、一応。
セガのタイトルと言えば近頃人気の「チュウニズム」も外せないでしょう。
特筆すべきはそのゲームデザイン。プレイ画面はDeemoやデレステといったスマホゲームを彷彿とさせるものですが、入力は画面をタッチするのではなく、スライダーと呼ばれる摩擦の少ないパネルで行います。スライダーは画面のすぐ下に置かれているのでスマホゲームとあまり変わらない感覚で、より快適にプレーできます。
擦ってもノーツがとれるので腕をわしゃわしゃしていればある程度スコアが得られる一方で、ハイスコアを狙う場合はしっかり指を独立させて動かさなければならない、初心者から上級者まで楽しめる仕様となっています。
また、手をスライダーから高く上げた場合に反応するセンサーもあり、手を立体的に動かすという新たな感覚を体感できます。言葉に直すとたったこれだけなんですが、これが意外と楽しいんですよ。
ボカロ曲は他機種で見覚えのある曲しかなくて面白みが無いんですが、ちゃんと有名な曲は揃っています。全体的に見るとBMSが過剰供給で、オリジナル曲にも力を入れている感じでしょうか。ボカロPの書き下ろし曲も何曲かありますよ。
ボカロを入り口に音楽ゲームを始めたいなら、この機種が敷居の低さと応用しやすさを兼ね備えていてオススメです。
最近「オンゲキ」という機種も増えたみたいですが、収録曲はチュウニズムの下位互換、操作は複雑で初心者にはとっつきにくい印象です。
お次はタイトーの「グルーヴコースター」、VOCALOID版権曲の数がDIVAの次に多いアーケードゲームです。タブレット版から発展していったゲームですが、今は完全にアーケード主体になっています。
曲数が多いものの、選曲に癖がありますね。タブレット版のパック販売を見越してか特定のボカロPの楽曲を四曲単位で入れたがったり、コラボだからといってカゲロウプロジェクトの楽曲を十二曲も入れたり、再生数二万程度の超マイナー曲を入れたり……
押さえるべきポイントはちゃんと押さえているので強くは言えませんけどね。ピンとこない人にはダメそうですが、ハマる人にはとことんハマる選曲です。自分は大好きです。
操作も元がタブレットアプリなだけあってかなり単純です。ブースターと呼ばれるデバイスが右と左に一つずつあって、リズムに合わせてボタンを押すか指定の方向にブースターを傾けると曲にあった音が鳴る。ただそれだけです。手をホームポジションから全く動かさなくて良い音楽ゲームはかなり珍しいので、その点では初心者オススメですね。
ただ、プレー画面の方は選曲同様、個人差大爆発な代物です。ノーツが並べられたコースをアバターが辿っていくんですが、コースがカクカク曲がるのは当たり前、ノーツが画面外から飛んできたり、そもそも画面に表示されないノーツがあったり、コースが立体的な挙動を描いたり、移動速度がものすごく速かったり……
背景と同期した演出のためなんですが、慣れがいります。最近はマシになったんですが、初期の曲はカメラワークも相まって本当に酷い。人と曲によっては見ただけで吐きかねないレベル。
楽曲の世界観を体感することにかけてはこの機種の右に出るものはありません。ただ、人を選びすぎるんです。
書き下ろし曲も含めると、コナミの「SOUND VOLTEX」もかなりの曲数になります。クラウド版もあるらしいですが、収録曲は少ないのに課金形態は一切替わらないのでアーケード筐体でのプレイをお勧めします。ゲームセンターに行きましょう。
音楽ゲーム部分は音楽ゲームの元祖であるコナミ製だけあって堅実な作りです。六つのボタンと二つのツマミと呼ばれるデバイスを操作するんですが、タイミング良く操作すると曲にエフェクトがかかります。これはこの機種にしか無い感覚です。
ただ、曲が偏っているのが少し気にかかりますね。疾走感を売りにした機種なので高速でガチャガチャした曲が多く、初心者は入門曲が少ないことに悩まされるかもしれません。書き下ろし曲なら低難易度曲の数がやや増えますが、初心者に向けて全く知らない曲に手を伸ばせと言うのも酷な話です。
出典が2010年から2013年までのEXIT TUNESのCDへの収録曲が圧倒的多数を占めるので、該当する世代の人にはかなりハマりますが、外れるとピンとこないどころか全く分からない可能性も高いです。
あと、選曲時間が割と短いのが精神的に来ます。このことを頭の片隅においておかないと、上記二点と圧倒的な曲数が合わさって目当ての曲が見つけられないなんてことも。気をつけてください。
コナミでボカロ曲と言えばSOUND VOLTEXの次は「BeatStream」だったんですが、サービス終了が決定しちゃったんですよね。ムービーを大画面で見れることを売りにしておきながら、判定ラインが中央にあるため映像がほぼ見えないのはアホだと思いました。まあ、少し寂しいです。
BeatStreamの筐体は「ノスタルジア」という新機種にコンバートされて、こっちはまあまあ元気にやっています。ピアノをモチーフにした機種で、ピアノを演奏している気分になれます。
曲数は少ないものの確かにこの曲はピアノで演奏してみたかったと思わせる絶妙な選曲が一部の人達の心をつかんで離しません。
「GITADORA」も楽器を演奏している気分になれるタイプの筐体ですね。元々はギターとドラムは別のゲームだったんですが、いつしか抱き合わせでの販売になったみたいです。
ギターは微妙ですが、ドラムはほとんど楽器そのままなのでかなり高めの演奏感が得られそうですね。曲もバンドスタイルの曲がそれなりに。
この機種では曲によってはロングバージョンも演奏できるんですよね。他の筐体では聴けない二番の歌詞が聴けたりします。
次は「jubeat」ですかね。アーケード筐体とタブレット版があって、片方にのみ収録されてる楽曲が結構多いのでどちらが良い、というのは言いづらいですね。個人的にはアーケード筐体のボタンを押したときの感覚が好きなんですけど、タブレットの方が精神的な敷居は低いでしょうし。
コナミの音楽ゲームのボカロ曲の選び方は先に述べたEXIT TUNESの影響が強いんですが、jubeatはちょっと哲学が違うみたいです。
操作も4×4の16ボタンに現れるマーカーをリズムに合わせてタッチするというシンプルなもので、かなり初心者向けです。
コナミは他にも幾つか機種がありますが、ボカロ廃的には見るべきポイントが少ないので駆け足で紹介します。
「Reflecbeat」はjubeatの下位互換のような印象です。最近はアーケード版の評判が不安定なので、いつサービス終了してもおかしくない怖さがありますね。今始めるならタブレット版をオススメします。こっちならダウンロードしておけば遊べなくなるということはないはず……
「MUSECA」は新しい機種であるせいか選曲にコナミ臭さが無くて結構好印象です。ボタンが妙に固いし無反応が出るしで、ゲーム性が最悪なのであまりプレイしてませんが。とか言ってたらサービス終了してあっという間にゲーセンから消えました。ゲームとして楽しくなかったから擁護できない……
「DanceDanceRevolution」はリズムに合わせて足元のパネルを踏むという操作がやや上級者向け。数は少ないですがボカロ曲ぐらいの難易度なら程よい全身運動になりそうなので、気になるなら触れてみるのも十分有りじゃないでしょうか。PVが見やすいのも地味に好印象。
ダンスゲームなら「DANCERUSH STARDOM」の方がとっつきやすいですが、こっちにはボカロはほぼ無いです。稼働時に収録されてた一曲だけで以後全く増える気配がない。
「beatmania IIDX」と「pop'n music」は……ボカロ曲が無いことはないですけど、オリジナル曲をやるための機種ですよ。画面を見ながら手元の鍵盤を叩くという動作は慣れなければ厳しいですし、上級者向けですね。
やっとこの機種の紹介ができますね。バンダイナムコの「太鼓の達人」。
説明不要ですよね。ゲームセンターどころかショッピングモールに置いてあるところもよく見かけますし、家庭用ゲーム機版が現在でも出続けていますし。
ボカロ曲はそれほど多くはありませんが、少なくもないです。入れるべき曲をちゃんと入れてくれます。安心感はありますが、面白味はありません。
他の機種がボカロ曲に注いでいる熱量を、太鼓の達人はJ-POPに注いでいるんじゃないでしょうか。対象とする層が他のゲームとは明らかに違うので、仕方ないことだと思います。
えーっと、一応「シンクロニカ」の話もしておきましょうか。
筐体の置いてあるゲームセンターが少なくて、更新頻度も少なくて、曲数も少ないです。稼働を初めてからずっとDIVAと同程度の末期感を漂わせています。DIVAと違って更新はしてるはずなのに。
ゲーム性はタッチパネルになって制限の無くなったjubeatといったところで、擦っても良いというのが初心者向けかな?
背景で流れる譜面と連動した綺麗な映像が唯一の売りですが、そこに魅力を感じることができる人が何人居るか……
致命的な欠点は無いものの、セールスポイントも皆無なんですよね。自分は好きなのでだいぶ尺をとりましたけど。
ここまでだいたいアーケード筐体の話でしたね。まあ、家庭用ゲーム機やアプリではあまりボカロ曲のある音楽ゲームは見ないので仕方のないことなんですが。
家庭用ゲーム機向け作品だとDIVAと太鼓を除くとPS Vitaの「IA -VT-」ぐらいでしたっけ。意外と無いですね。
2019/4/26 現状に合わせて一部書き換えました