降臨
俺とシャロはラフスン王国の南部のある侯爵の領土に来ていた。
この領土の中心の都市は城壁で囲まれており、その周りを網目状に農業をする家々が囲んでいるという構造を取っていた。人々が話しているのを聞いた限りでは領主の館もその城壁の中にあるらしい。
シャロの話によると更に南部の方にリオレ侯爵という人のところに行きたいらしい。取りあえずの目的はそこに行く事だそうだ。
なんでも、この国は6ヶ月前に謀反が起こり、現国王であるレイナルド・ローレンスが王家を絶えさせ、即位したらしい。
そのレイナルドとリオレ侯爵、そして、元国王アルドは王国の三武人と呼ばれていたらしい。その三人だけで強力な魔物…ファブニールを倒したとか何とか。
『その魔物は優に体長100mを超え、火を噴き、するどい牙と爪を持ち人々を切り裂いてあっという間に絶望に陥れた…。誰も彼もが倒す術が見出せず、希望を失い、立ち向かう者がいなくなった。そして、あわや国が滅ぶかと思われた』
『そんな時その三人が勇敢に立ち上がったの……レイナルドが囮になり、リオレが目をつぶし、アルド陛下が心臓を貫いて倒したそうよ!』
そう話すシャロはなんだか嬉しそうであった。自慢話でもするような感じを受けるほどだった。
その内の一人であるリオレ侯爵に会いにいくという事だそうだ。
何でそんな人と知り合いなのかと聞いたら『出資者なの』と彼女は応えた。侯爵が出資するほどの仕事とはいったい何なんだろうか。
ともかく目的地までは川を渡らなければいけないらしく、今日は荷物の用意とかの為にこの宿屋に泊まることになった。
この宿屋は1階が完全なる石造りで、二階の梁や窓等々を木で作り、その間を漆喰などで埋めた建物だった。外観から見ると木の部分が露出して四方八方に木による線があるように見える。
ここはかなり老朽化しているらしく壁は黒ずんで、床も汚い。
1階に酒場…というか食堂のような物があり、その奥に厨房がある。どうやら、この世界は魔物のせいで傭兵業が盛んらしく、傭兵相手の宿屋が町に一つはあるらしい。
それらを経営してるのは商人で、大体の貴族がお抱え商人に宿屋をやらせているらしい。
だが、俺たちが泊まっているのはそういったお抱え商人が作った上質な宿ではないらしく、城壁の外の町外れにある小さな宿屋だった。
先ほど晩の食事を取ったのだが…出てきたのは 硬さと色が所々違う雑穀パンと豆とカブらしき物のスープだった。
そのスープも味が無く、ただお湯で炊いただけのようなものだった。
彼女にどうしてこんなところに泊まるのか?と聞くと『目立ちたくないの…あまり』としか答えてくれなかった。目立ちたくない…いったい何故だろうか?
それと、この町に着いたときに『共同浴場』という看板があったので、旅の汗を流すべきだと思って…そこに入りたいといったところ。
『えぇっと……ショータもそういうところに興味あるの?』と聞かれてしまった。通り過ぎた後で何故そんな事を聞いたのか問い質すと
『えっと……あそこは……ね。男女が……ね……。お金で交わるような……ね』と真っ赤になって俯きながら答えたので、これは悪い事をしたと謝ることとなった。
なので、ここ数日風呂に入れてない。普通の宿屋ならそういった設備があるらしいが……ここにはないそうである。折角町に着いたのに汗を流せないのは残念な気分だ。
月明かりと蜜蝋の蝋燭の二つの明かりしか無い中、ベットに座って考える。ずーっと使ってない頭を使うのだからやはり調子が出るまでに時間がかかる。
この数日、旅をしてきて思ったのだが、時折誰かに見られている気がする。
その視線の主は何をしてくる訳でもなく、ただ見ているだけだった。
まるで監視されてる気分だ。こっちとしてもあまり気分のよいものではない。
この状況をこのまま続けられても精神衛生上よろしくない。ある仮説を立てて鎌をかけてみたほうが気分的にすっきりするだろう。
恐らく視線の主はアレだろう。アレと言ってしまうと失礼に値するが…まぁ、いいか。
今も少し後方に視線を感じる。しかし、そんなことはありえない。この部屋にシャロはいない。
男女一緒の部屋というのは『いくら一緒に旅をすると言っても、それはさすがに……』と言う理由で俺とシャロは宿屋に泊まる時は別々の部屋で取ることなった。
なので、現在、ベットとちょっとした小物入れと窓の横に木のテーブルと椅子が置いてある石造りのこの部屋は俺しかいない。
にも関わらず、視線を感じるとしたならば…一つの事象しかありえない。
「ご覧になっているのでしょう?リサさん」
人のいない場所に視線を感じるのであれば、それは人でない何か…つまり、人よりも上位の存在であるとしかない。
「あら?気づいてたの?」
「づえ!?」
咄嗟に俺は声がした方に向く。陶器で花の描かれたティーカップで何かを飲んでいるリサさんが窓の傍の椅子に座っていた。その目の前のテーブルの上にはこれまた花の模様のあしらわれた陶器のお皿にケーキが乗っていた。
もし、当たっていたとしたら目の前に浮いて出てくるかと思ってたので、変な声が出てしまった。
「あの…何をしていらっしゃるので?」
「ケーキを食べて、お茶してる」
「いえ、それは解りますが……まぁ、いいか」
そこまで言ったところで止める。リサさんのマイペースに振り回されるとこっちが聞きようがなくなってしまう。しかし、どこからケーキを出したのだろうか…この辺りにはないというのに。
「それで?何で私だって気づいたの?」
紅茶を飲む手を止めてこちらに質問を投げかけてくる。話題を戻してくれて助かった。
「いえ、さすがにあれだけ見られていたら解りますよ」
「そう?普通に他人に見られてるだけじゃなかった?」
「そうですね、最初はそう思いましたが……簡単に言えば、人だと説明の付かない位置から見られてる気がしたので」
「ふ~ん」
俺の説明に相槌を打ち、フォークでケーキを小さく切り分け、それを口に運ぶリサさん。
いつも、先ほどの部屋の中で感じた視線のように後方の頭よりも高く、しかも近い位置から見られている感じがした。それは、壁に寄りかかっているときであろうと、後ろが建物であろうと平原であろうと関係なくその位置だった。
「他の魔法使いがあなたを監視してるって考えは無かったの?」
「それはないでしょう。まず、この世界に魔法使いはいません。教えてくれないおかげで随分恥を掻きましたよ。リサさん」
そうである。最初、シャロに魔法で一気にどこかにいけないのか?と質問したとき『魔法?なにそれ…魔物の炎とかのこと?』と純粋に聞き返されてしまって、とても恥ずかしかった。
それで俺はこの世界にも魔法がない事を知った。
「加えて、俺に興味のある……というより知っている者なんていません。正直、俺はこの世界にいきなり出てきた人間でしょうから」
「ふむふむ……で、他の神様とかが見てるとか考えなかったの?」
「それは考えませんでした。自分のことをそれほど興味のあるものとは自分でも思えませんから」
「ふぅーん…で…それで、なんで私だと?」
「それはあなたが『気まぐれ』で俺をこの世界に転生させたからです」
「……」
お茶を飲みながら横目でこちらを見据える。
「『気まぐれ』でわざわざ転生させたなら、それを見ながら退屈でも潰したいと思うのが普通でしょ?だからです」
「ふぅ~ん」
「ま、今回はだいたい合ってるからいいけど……外したらかなりカッコ悪いわね」
「特に空中に向かって話しかけるとか……他人に見られたら頭を疑われちゃうわよ?」
確かに、ほとんど賭けに近い行為であった。
「だからこそ自室でやったんですよ」
「まぁ、それでも誰かに見られたら恥ずかしすぎますが…ははは」
苦笑しながら続ける。
「ところで、一つ質問をしてもよろしいですか?」
「いいけど…何?」
「リサさんって……実は雇われ女神ですよね?」
「……どうして?」
最後の一欠けらをフォークに乗せ、そう思った理由を問いかけるリサさん。
「第一にこの世界の宗教において女神やリサという神様はいないそうです」
シャロから聞いた話ではこの世界に置いてはタルス教と言われる宗教が存在する。しかし、その宗教は唯一神信仰かつ万能神信仰で、神は大方男性的であると考えられるてるらしい。
「第二にあまりにも手を抜いていらっしゃるし、シャロ…シャーロットの内情を知らなかった。自分が作った世界なのにその世界のことを知らないなんて普通ありえません。この世界に伝わる神様なら万能であるのだから知らない訳が無い」
「また、あちらとこちらの二つがあるならば普通神様の内部では名前があってもおかしくないはず。しかし、あなたはこの世界の名前を知らない様子でした。ならば、どうして知らないのか?それは自分が作った物ではなく、他人が作った物だから」
「第三に労働者。つまり、雇われ人は基本的に自分のやっていることの意味を知らないことも多く、機械的過ぎてストレスのたまる業務が多い。それが一日中なら尚の事ストレスフルです。
なので、そういった人は自分の権限内で手を抜いたり、遊ぶ事が多い。つまり、ストレスフルなあなたにとっての『遊び』は誠に遺憾ながら俺だったんです」
「だから、最初に『気まぐれ』と答えたのでしょう?」
「……」
思っていた事、考えていたことをすべてぶちまける。これでどうにかなる訳でもないが…まぁ取り合えず視線の理由が知りたかったのでぶつける。
食事が終わり、口をハンカチで拭いたリサさんが人差し指を立てる。
「第一、人間がイメージする神様なんて適当でそれが実際にそうなのか信用に値する物ではない。名前だって私の真の名前がちゃんと伝わったかどうか解った物ではない。人間なんてすぐ歪んだ情報を作っちゃうのだから。
そして、私が知られてない宗教の……所謂、邪教の女神だって可能性もある」
「うぅむ……そんな悪いような物には見えなかったから……思いもしなかったです」
「あら、そう?それはありがとう……」
そうお礼を言葉にしてリサさんは続ける。
「第二に、そんなに人間に関心の無い神様なのかもしれない。加えて、神の間ではイメージの疎通ができる可能性もある。そもそも唯一神で他に伝える必要など無いのだから世界に名前など必要無い。更に私が嘘を付いてる可能性もあるわ」
「第三に労働者すべてが須らくそうではない。業務内容を完璧に把握してる者のほうが多いところもある。また、そういった業務を楽しんでいる者も存在する」
「ぐぅ…」
すべてを返される。
「そして、最後に。それらすべて人間に対して考えられる事象であって、私は人間より上位の存在であり、それらは当てはまらない可能性がある」
説明と共に立てた親指以外の4本を振り、意地悪そうな笑みを浮かべながら俺に止めを刺す。
「むむぅ…そうですね」
こうまでボロボロにいわれるとは思わなかった。やはり、引き篭もると思考力が低下するなぁ。
「ま、半分は合ってるけど…」
「と言うと?」
「簡単に言うと『押し付けられた』って感じね」
苦々しい顔をするリサさん。
「押し付けられた?」
とすると…やはり、リサさんより上位の存在がいるのだろうか。
「ま、そんなことはどうでもいいわ……じゃ、私、これからあなた達と一緒に行動するから」
「え?それはどういう……」
「だって、視線が気になるんでしょ?だったら一緒に付いていったほうがそんなこと気にしなくてすむだろうし。何よりその方が面白そうだから!」
満面の笑みでそう返される。一緒について行く方が面白そうってどういうことだよ。
「いや、急にそんなこといわれ…」
ギイッ
突然左にあるこの部屋の入り口の扉が開いて、ビックリして言葉を失う。上半身がビクンとしてしまった。
何事かと思って扉をみる。そこには俺の反応に驚いているシャロが立っていた。
「その……扉が開いてて……。その……驚かせてごめんなさい……ショータ」
彼女がたどたどしく素直に謝る。どうやら扉が開いていたらしい。何というミスだ……廊下に今までの会話が漏れてたかもしれないなぁ。
そうなると、俺はなんだか頭のおかしな人に思われてるのではないだろうか。いや、一応リサさんがいるからそこまでは無いか。
「ところで、その子……誰?」
彼女の視線がリサさんの方に向く。
「えっと……その……俺の……いや、彼女は……」
どうやって説明した物か困り、しどろもどろになってしまう。どうしたものか。
説明をし兼ねていると…急にリサさんが椅子から立ち上がり、俺のベッドの前を横切り彼女の正面で止まる。
何をする気なのか全く予想が付かず、ぽかんとしてしまう。
「初めまして!私、ショータお兄ちゃんの妹のリサ・オリオールと申します」
「ぶっ!!」
あまりにも唐突すぎて吹いてしまった。妹だって!?しかも、雰囲気をロリキャラっぽくまでして…。あれじゃぁ、外見も相まって12、3歳に位の子に見えるじゃないか。
「はぁ、初めまして…私はシャーロット・バレーヌよ」
藍色のエプロンドレスの端を持ってリサさんが挨拶をしたのでシャロも思わず頭を下げて挨拶をしたようだ。
「妹さんなの?」
「はい!いつも兄がお世話になっております!」
「それにしては……似てないような」
彼女のきつくてするどい目が交互に俺達を見る。それはそうだ親どころか、血のつながりすらないのだから。
「それは……その……」
「ぐすっ」
リサさんが俯きながら泣く真似をする。
「ぐす……私……お兄ちゃんとは……異母の子でして…。私の家が……魔物に襲われ……。わたし一人になってしまい。ぐすぐす…。
父の『いつかここをヤマガミ・ショータという男が訪れる。それはお前の兄だ』という遺言を頼りに…お兄ちゃんが訪れるのをずっと待っておりました」
「そうしたら、今日の昼間にヤマガミ・ショータという名の人が宿に泊まったということではありませんか!」
「私、もしやと思い、直接会って話をしてみたら…やはり私のお兄ちゃんだったので…つい嬉しくって私、お兄ちゃんと長話をしてしまいましたの」
あれ?もしやこれ、俺の親父が嫌なやつになってないか?俺の親父は割りと頑固でまともな筈なんだけどなぁ。なんだか元の世界が恋しくなるなぁ。まぁ、戻れないだろうけど。
「本当なの?」
彼女が俺に尋ねる。勿論嘘だが、場を収めるために思いっきり首を上下に振る。
「そう、それは…大変だったのね」
シャロが泣いてる振りをしているリサさんの頭に手を乗せて撫でる。優しく撫でるシャロの顔は暖かい笑顔だった。そんな穏やかな顔にまたも俺は魅了される。
「でも、明日には私達、また此処を離れなきゃいけないの……旅の途中だから」
「…え?そうなのお兄ちゃん?」
目を赤く晴らしたリサさんが知らない振りをして俺に尋ねる。取り合えずコクリと頷く。
「そんな……」
少し顔を落として考える振りをするリサさん。大方付いてくると言ったのだから答えは予想が付いている。
「……それなら私も付いて行きます!」
「それはダメ!危険すぎる!」
反射的にそれを強く否定するシャロ。当然である。
「嫌です!折角お兄ちゃんと会えたのに、また会えなくなるなんて…」
「でもね……」
「嫌!もう一人は嫌!」
リサさんの必死の演技である。どうなるのだろうか……これ……。
「う~ん、どうしよう……この子」
眉を寄せた彼女がチラリとこちらを見る。助け舟をくれということなのだろうが……生憎と俺はその人(神?)に逆らえない……。両手を横でクイと上げてお手上げのポーズをする。
「はぁ……」
大きく溜息を吐く彼女。どう考えても荷物になるから連れて行きたくはないのだろう。しかし、彼女は目の前の少女は聞き分けてくれないだろうと判断した。
「解った…でも、自分の身は自分で守るのよ?じゃないと連れて行かない」
「うん解りました!」
折れてくれた彼女に屈託のない笑みでリサさんは答える。おおぅ……まぁ、こうなるよな。
「でも、今日はお姉さんと一緒に寝ましょ?」
「え?なんで?」
「ほら、お兄ちゃんも男の子だから……ね?」
「それでいいでしょ?」
俺に同意を求めるシャロ。
「うん、それでいいよ」
というより、そうしてくれないとこっちが持たないな。うん。隣に自分の管理者がいるというのは気持ちのいい物ではない。
「うぅ~、お兄ちゃんがそう言うなら……」
「でも、もうちょっとお話がしたいからそっちの部屋に行くのは後でいい?」
上目遣いでお願いするリサさん。これ以上何を話す必要があるのだろうか。嫌な気分だ。
「解った。じゃぁ…お姉さん待ってるからね?」
子供に言い聞かせる様にするシャロ。見た目に騙されてるけど、その子あなたの何倍も生きてるらしいんですがねぇ。見た目は本当に子供なのに。
「それじゃぁ、私の部屋はこの部屋の三つ右隣だから…また後でね?」
「うん!ありがとうお姉ちゃん!」
ヒラヒラと互いに手を振る二人。シャロは笑顔を向けたまま扉をパタリと閉める。その笑顔は何だかいつになく柔らかく暖かい物だった。
可愛い妹分でもできた気分なんだろうか?良い笑顔だった気がしないでもない。
少しドキりとしたのは内緒だ。
コツコツ……パタン
「ふぅ……」
シャロが自室に入って行く音を聞くなり、リサさんが溜息と共に振っていた手を下げ力を抜く。
「さてと……」
こちらに向き直すリサさん。
「それじゃぁ…これからよろしくね、お兄ちゃん?」
ニコニコと人の悪い笑みを浮かべながらこちらに挨拶する自称妹ことリサさん。
「あぁ…うん…よろしく」
なんか傍に俺の生殺与奪の権利を持ち、監視する者がいるというのはいい気分はしない。薮蛇を突いたとでも言うべきかもしれないな……これは。
まぁ、貰った命だ……仕方ない。彼女が楽しめるように必死になるしかないか。しかし、どういうものが楽しいのか解らないが。
しかし、業務を押し付けられたらしい、いたずらっこのような笑みを浮かべた閻魔様がなんだか悪魔に見えてしまうのは俺だけだろうか。
とはいえこの神様がいれば、所々旅も楽になるだろう……強敵とか現れてもお願いすれば手を貸してくれるだろうし。
「あぁ、ちなみに……私、本当に自分の身しか守らないわよ?お荷物には成れど、手出しなんて全くするつもりないから」
「えぇぇぇ~~~!」
期待していたので声に出して落胆する。
「当たり前でしょ?私はただ横で見てるだけに決まってるじゃない!あなた達が頑張って苦しんで、もがいてる様を見てるのが楽しいんだから!」
満面の笑みを浮かべるリサさん。
どう考えても悪魔だった。今日、俺達は地獄の使者に取り付かれてしまったらしい。この先どうなることやら。はぁ…。
「それに……少し心配だもの」
「え?」
「うぅん、なんでもない」
「さぁ、いっぱい苦しんで、私を存分に楽しませるのよ!」
「はぁ……」
リサさんの言葉に溜め息をつかざるを得ないのだった。