その槍、異世界を貫いて。
最近短くてごめんなさい
「グングニル、それがボクの名前だよ──」
「…………」
聞いたことがある。
その槍。
グングニル。
伝説の槍云々。
あとは知らない。知らないし、知りたくもない。別に伝説の武器だとか、言い伝えだとか、伝説だとか、そんなものには一切合切興味が無い。
ただ、グングニルと言う名は、知っていた。
何となく、ゲームやらなんやらである名前だ。
逆に言えば、それ以外、つまり名前以外は知らない。
それがどんなものなのか、誰のものなのか、知らないし、やっぱり、知りたくもない。
もう正直、エクス・カリバーだけでお腹いっぱいだ、そんな、伝説何ちゃら云ちゃら。
だから、別に今までもこれからも、グングニルと言う名の槍のことを、知りたいとは思わないけれど、しかし、この目の前の、青髪の幼男については、別だ。別腹だ。
【願い玉】の居場所を知っている、と言うのだから、そりゃあ、名前以外にも、信用すると言う点については、知っておく必要があった。つまり、こいつのことを知っておかなければ、信用は出来ないと言うこと。たった、それだけのこと。
とにかく、兎にも角にも、名前以外にもこいつについて、何か知っておいたほうが良さそうだ。
「んー、そうだね」
と、まあそりゃあ突然に唐突に、青髪のグングニルは、口を開いた。
「何かボクについて、知っておきたいことはあるかい?」
まるで。
俺の心を読んだかのように、読んだ如く、訊いてきた。訊ねてきた。
じゃあ、何を訊こうか。
「お前は──何歳だ?」
しょうもなっ!
すごくしょうもないっ!
俺の質問があんまりにも可笑しかったのか、ゲラゲラゲラと笑い、そして満足したのか、急に真顔になって、答えた。
「まあざっと、数億年、生きているんじゃないかな……?」
「長っ!?」
長いっ! すごく長いっ!
地球と一緒に誕生したんじゃないかってくらい長いっ!
「まあそれはさすがに嘘だよね」
と、青髪。
「おいこらこの野郎、嘘だったのかよ」
にっと笑ったグングニル、それが何だか可愛くて、思わず頬の力が緩んでしまいそうになったけれど、違う、違うぞ。こいつは男だ、落ち着け俺……。
「んで、生まれたのはエクス・カリバーとたいして変わんないんだよねぇ……。あ、魔剣のほうね」
「ん?」
おい、今なんて言った?
「魔剣のほうのエクス・カリバーって、一体何なんだよ……?」




