ショタはショタらしく、家に引き篭ればいいのに。
サボり分です
「【願い玉】の場所、知っているよ? 教えてほしいよね、勇者様?」
誰だ、こいつ。
急に現れたと思ったら、【願い玉】の場所を知っている?
ふざけんな、こんな小さな子が?
見る限り六歳くらいだろ。
「…………それ、本当ですか?」
隣にいた聖剣が、恐る恐る、訊いてみる。見れば、年下っぽいためか、敬語を使っているのは少し滑稽に見えてしまう。金髪幼女に、青髪幼男。すごい光景だな、これ。
「あぁ、本当だよ。本当じゃないわけ、ないだろう? 本当に、本当の本当に、ボクは【願い玉】、まあボクはドラ〇ンボールって呼んでるんだけど、とにかく、兎にも角にも、ドラゴ〇ボールのある場所を、知っている──」
「…………」
にわかに信じ難いことである。
ただ。
もし。
IF。
こいつが聖剣や、シルバーブレットと同じような、武器としての存在だとしたら。
そういう可能性も、あるのかもしれない。
「わかった、本当にお前が知っているんだな? それなら、教えてくれ。いや、それよりも前に、お前が誰なのか、それも教えてくれ」
さっき会ったばかりのショタに、幼男に、信用を全て預けると言うような、馬鹿な真似はしない。
しかし、名前くらいは知っておいてもいいのかもしれない、思い、訊いてみた。
もしかしたら、武器かもしれないから。
武器の名前を、発するかもしれないから。
訊いてみた。
「うーん、そうだね、勇者様。教えてあげようか、教えてあげなきゃね、教えない必要がない、教える必要がある、よし、教えてあげる」
もったいぶるのか、なかなか『教える』と言っておきながら、教えない。さっさと言えばいいのに、面倒くさいやつだ、本当に。
「ボクの名前は──」
そこで一旦間を開けて、くくっと小さく笑うと。
「グングニル、それがボクの名前だよ──」
案の定、と言うべきなのだろうか、よく知っている名前を、口にしたのだった……。




