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きみと出会わぬ異世界  作者: めあり
第三章 巡り廻る景色の中で
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どうやっても見つからない、よし帰ろう。

サボり分です

「んで──どうやって見つけるんだ……?」


 威勢よく飛び出したアヴァロンに追いついて、街をあてもなくぶらぶらと歩く俺たち。

 如何せん、幼女ふたりに男ひとり、如何しようもないくらいに目立ってしまう。このへんは、現実世界でも異世界でも、たいした差はないということか。火憐ちょっと学習したよっ!


 まあそんな、詰まらなくてどうしようもない話はさて置き、とにかく、兎にも角にも、【願い玉(ホープ・アイテール)】を見つけなければいけない俺たちで、それを見つけなければ、話にならないわけで──かと言って、それがこの世界の、何処にあるのかさえわからない。ましてや、それがどういうものなのかさえもわからない俺たちは、探しようがなく、途方に暮れている最中であった。


「誰かに……訊きますか?」


 聖剣が提案する。

 悪い意味で目立っちゃってる俺たちの問いに、果たしてこの世界の一般人は答えてくれるのだろうか。


「…………」


 しかしまあ、やるしかないよな。


「あの、すみません」


 決まれば早い。

 聖剣は、早速近くにいたガタイのいい、逞しそうな男──もちろんエルフ──に話しかけていた。


「あ?」


 男はその尖った目を俺らに向けて、挑発するような、煽るような声を出した。反応してくれただけ、マシなほうなのだろうか……。


「ちょっとお尋ねしたいんですけど……【願い玉(ホープ・アイテール)】って、ご存知じゃないでしょうか……?」


 その目に圧倒されて、おどおどとしどろもどろになりながらも、恐る恐る、いつもの敬語を使って、訊いた。


「…………」


 男は数十秒間黙って俺らから目を逸らし、空を眺めていた。

 ──と、思うと。


「わりぃな、わかんねぇわ。力になれなくてすまん」


 言うと、俺らの返事も聞くことなく、何処かへ去っていってしまった。


「い、意外といい人……でしたね……」

「ああ、確かに……」


 第一印象とは打って変わって、何だかすごく接しやすい兄貴のような人──と言うかエルフであった。


「まあ、そりゃあそうだろうね。このへんの人達は、いや、このへんじゃくても、【願い玉(ホープ・アイテール)】を知っている人は数少ない。ましてや、その場所を知っている人なんて、もういないに等しいんじゃないか?」


 アヴァロンは言う。

 確かに、さっきのエルフみたいに、何にも知らないエルフが多いだろう。


「はあ……どうしたものか……」


 八方塞がり。

 万策尽きた。

 今なら、ムサニにいた制作デスクの気持ちがわからなくもない。

 絶望的だ。


「ねぇねぇ、勇者様」


 幼女ふたりと可愛く頭を抱えていると、俺の真後ろから、ショタショタしい声が聞こえてきた。

 向けば、ショタがいた。

 なあ、何でここまで小さいやつが出てくるんだよ、ここ。




「【願い玉(ホープ・アイテール)】の場所、知っているよ? 教えてほしいよね、勇者様?」




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