探してみよう、こんな世界で。
ごめんなさい、色々あって投稿遅れました。今回もたいして進みません。いつも通り、ゆっくり行きます。
「エルフをみな、人間にするのさ──」
「…………ふぁ?」
…………?
「日本語でおけ?」
何言ってるんだってばよこの娘。
エルフを、人間に?
馬鹿馬鹿しいにもほどがある、そんなこと、どうやってすると言うのだ。どうやっても、そんなことは出来ない、断言できる。
──しかし。
「悪くは無い……」
もし。
それが出来たのならば、『エルフを全滅させる』と言う女神アルザナティからの依頼、と言うか命令みたいなもんだが、とにかく、その命令はこなすことが出来る。あくまで、殺すのではなく、無くす。聖剣の考えであるそれは、何となく、本当に何となく、叶いそうではあった。
「でも、そんなことどうやってやんだよ。エルフを人間に、って、そんなこと、果たして俺たちで出来んのか?」
チッチッチ、甘いな君はー。
とでも言いたげな顔で俺を一瞥したアヴァロン。
「簡単なことさ。と言っても、今さっき来たばっかりのお前にはわからないだろうけれど……、何でも願いを叶えてくれるものがあるんだよ、この世界には」
なんて言うと、着ていたドレスのようなものをひらりと翻し、フッと不敵に笑った。
「何でも……、願いを……?」
何だかかんだか、何処かで聞いたことのあるセリフだ。
『何でも願いを叶える』
そう言った彼女は、今いったい何処で何をやっているのだろうか、なんて、少し考えていると。
「それってもしかして、【願いの玉】のことですかっ!?」
さっきまで涙目であった聖剣だったが、いつの間にか目を輝かせながら、アヴァロンに問う。いや何故に目を輝かせてんだよ。
「あぁそうそう、それそれ。【願い玉】だよ、思い出した思い出した」
聖剣が言った、【願い玉】と言うのが、『何でも願いを叶えてくれるもの』なのだろうか。
「なぁ、その、【願い玉】と言うのは、どういうやつなんだ?」
「うーん……。神話上のもので、私も詳しくは知らないんですけれど、さっきアヴァロンさんが言った通り『何でも願いを叶えてくれるもの』なんですよ。確か、水晶みたいなやつです。ほら、地球でもよくやりますよね? 占いのときとか」
「…………ん、あー…………」
何となく、想像はついたんだけれど。
「ちょっと待て、神話上のものって、それ、本当にあんのかよ?」
訊くが、聖剣は顔を渋らせる。
「さ、さぁ……? わかりません、この私でも、見たことないですし……」
言って、アヴァロンに救いを求めるような眼差しを向ける。
「…………ま、まあ、そのへんの人に訊けばいいんじゃないっ?」
と威勢よく言ったかと思うと、すばやく、その小さな頭から伸びたツインテールを揺らしながら、路地裏を出て行った。
「だ、大丈夫かな……?」
聖剣。それは俺のセリフだ。




