すべて赤になる、その前に。
短っ!?
漏れでる息は白く、真っ青な澄み切った空へと溶けだしてゆく。
まだ十月だと言うのに、今日はやけに寒かった。
いくらインターホンを押したって、返事がないのは知っている。しかし、私は押し続けた。
「はぁ……」
仕方なく、家の中に入ることにした。
◇◆◇
「なんで……」
──赤に染まるリビング。
一体、何があったのか。遅れてしまった私には、分かる筈がなかった。
そこに、人がいたのか。血溜まりがある。
「不気味ですね……」
政宗が、そう呟いた。
私はそれに答えることなく、頭を働かせる。
と、そうしていたら。
「んん? 誰だぁ?」
おかしい。気配はしなかったはずなのに。
思いながら、私はすばやく後ろを向いた。
彼は──そこにいるのが当然、と言うような顔で、私たちを睨んでいる。
「勇者……だったりするのかな?」
学ラン姿を見ると、学生なのだろうか。
しかし、普通黒い筈の学ランは、赤に染まっていた。
このリビングと同じように、血、なのだろうか。
「名刀の勇者だけれど……あなたは?」
彼の問いに、私は静かに答える。
「まあ、似たようなものです」
言って、間を開けて。
「妖刀の勇者──名は青薔薇と申します。名刀の勇者、日和桜さん……」
「…………!?」
ゾッとした。背筋が凍りつく。
さっきまで、私に『誰?』と問うていた彼が、何故、私の名を知っているのか、もあるけれど、それよりも。
「青薔薇……!?」
その名には、聞き覚えがあった。
もし、彼が、千鶴火憐の言っていた『青薔薇』だとするのなら、もしそうなら……。
「どうした、ブルーローズ」
不意に、彼の後ろから、低い男の声がする。
向けば、黒いローブを着た、背が高くて、ガタイのいい男が立っていた。生憎、フードを頭から被っていて、顔を見ることはできない。
「いや、大したことじゃないよ、村正。ただ、仲間を見つけただけさ──」
言いながら、彼は私の手を取り。
「僕と一緒に、戦ってはくれないだろうか」
テストがあるので、二週間お休みさせていただきます。




