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きみと出会わぬ異世界  作者: めあり
第三章 巡り廻る景色の中で
34/45

子連れ勇者、異世界(のような星)にて。

33話!

幼女パンツ!

「私の名前は──聖剣エクス・カリバー。もちろん、あなたが使っていた聖剣ではありません。『本物の』聖剣エクス・カリバーです!」


 無い胸を張って、声高らかに、そう言った。


「…………」


 まあ、別に。

 驚かなかったと言えば嘘になるのだけれど。


 ──しかし。


「どういうこと……?」


 と。

 そう言うことしかできなかった。

 頭が追いつかなくて、目の前の幼女はいったい何を言っているのか、ということがわからなかった。

 わからなくて、困惑していた。

 だから、驚かなかったというわけではないのだが、しかし、驚いたというわけでもない。

 微妙、である。


 まあ。


「お前の名前は聖剣エクス・カリバーということに関しては、なんとかわかった」


 その辺もよくわからないのだけれど。

 あの彼女の発言の中で、なんとかわかったのはこれだけだから、とりあえずわかったことにしておくというだけだ。

 つまり、本質的にはなんにもわかっちゃあいない。


「えっと……じゃあ、どこがわからなかったんですか?」


 顎に手を当て、考える素振りをして、聖剣は問う。


「いやいや」


 むしろ、今の言葉を完全に理解した人がいるのなら、出てきてほしい。

 出てきてもらって、尊敬して、崇めて、サイン貰っちゃうレベル。


「お前、『本物の』聖剣って言っただろう? それの意味がまったくもって、どう考えてもわからないんだ」


 もし、こいつが本物だとしたのならば。

 俺が今まで使ってきた、一緒に戦ってきたのは、『偽物の』聖剣エクス・カリバーとでも言いたいのか?

 それは、たいへんふざけた話だ。ふざけすぎて、鼻血が出そう。


「あの、その前にいいですか……?」


 言って、小さく手をあげる。


「ん、どした?」


 このまま喋り続けるのもいいんですけれど、と。前置きを入れて。


「座っていいですか?」


「俺に訊くなっ!」


 なんかすげぇ深刻な顔だなって思ったら、そんなことかよ! 座れよ! 誰も止めねぇよ!


「ほら、私。立ってたら変かなって思いまして」


 だって、考えてみてください?

 なんて言って、幼女は話を続ける。


「路地裏に、立ったまま話をする幼女と、座ってそれを聞く男っ! どう考えてもおかしい!」


 どう考えてもおかしいわけではないのだけれど、彼女は彼女なりにプライドというか、意地があるのだろう。と、勝手に理解した俺であった。

 ていうかここ、路地裏だったんだな。まったく描写されてなかったから気づかなかったぜっ!


「まあ、座りますね」


 言って、その場に座る。体育座りだ。


「おいちょっと待て」


「…………ほにょ?」


 いや、なにそのかわいい声。これが幼女特有のかわいさっ! あぁ、だめだ。鼻血出そう。


「いやいや」


 そんな話じゃなかったな。

 一々仕草がかわいすぎて、忘れちゃうところだったぜ!


「パンツ見せんなや」


 聖剣でもパンツ履いてるんだなー、なんて、ちょっと関心してしまったじゃねぇか。どうしてくれよう、鼻血出ちまったよ。


「つか、なんだよそのしましまパンツ」


 まるで見せびらかしているように、パンツが見える。もう本物とか偽物とか、そんなもの吹っ飛んでしまいそうな、破壊力であった。

 なぜ、しましまチョイスなのか。是非選んだ人と握手したい。『いい趣味してますね〜』って。


「あぁ、見せてるんですよ」


 なんて、はにかみながら。

 その最高の笑顔は最強なんだけれど……


「ビッチかよ」


 素直に出た感想が、それだった。


 ◇◆◇


「で、なんの話だっけ?」


「しましまパンツはどこで手に入れたのかって話ですよ、忘れたんですか?」

「あぁ、そうかそうか。忘れてたよ……ってちっがうから!」


 なんでそうさらっと嘘ついちゃうかなぁ。妖怪の仕業かな? 古いか、古いな。


「まあ」


 しましまパンツ、どこで手に入れたのか、というのは気になるな。今度赤城さんに……………


「…………」


 忘れてた、と言えば嘘になるが、完全に頭からなかった。除外されていて、まるで無かったことにされていた。いや、それは忘れていたと言うのか。

 ここに来た理由で、忘れちゃいけないことなのに。忘れていた。


「はあ……」


 幼女は、ため息をつくと。


「なんてアホみたいな顔してるんですか。馬鹿なんですか? 死んじゃうんですか? なんのために私がいると思ってるのですか」


 言って、笑いながら。


りましょう、エルフを」


 忘れちゃいけない記憶だから。彼女と共に過ごした時間、それは、なくしちゃいけないものだから。

 だから、俺は、俺たちは戦うのだ。いくら無理な試練でも、なんとかなる。俺とこいつなら、世界だって変えられる。

 柄にもなく、そんなことを思ってしまった。

 本心で、まだ会って一日も経ってないというのに。


「まあ、本物とか偽物とかの話はまた今度ですね」


 お話は飽きましたし、と付け足す。


「飽きたって、早すぎだろ……」


 本当はもっと知りたいのだけれど、今日はしましまパンツが見れたしもう満足だ。これ以上話はしなくていいかな。


「じゃあ、行きましょうか」


 幼女は言い、立ち上がる。

 そうだな、と、俺も立ち上がり、歩こうとしたときだ。


 ツンツン。

 なにかが、俺の袖を引っ張った。


「ん?」


 向くと、そこには銀髪美幼女が!

 身長は聖剣より小さく、顔は幼いのだが、その特徴的なジト目によって、ちょっと大人びて見えた。

 まあ、あくまでもそう感じただけだから。別に、本当に大人びて見えるというわけでもない。


「どうしたの?」


 問うと、そのジト目を俺に向け、答えた。


「──私も連れてって」

これから週一投稿で、毎週水曜日、22時すぎごろ投稿いたします!


鼻血が出そうだったのは、これを書いていたときの私ですw

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