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きみと出会わぬ異世界  作者: めあり
第二章 いつかあなたと見た世界
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そして彼らは、一歩を踏み出そうとする。

はいはーい、こんばんは。天りあです。

ついに、イチャイチャ終了です!

「うぅ…吐きそう…」


と、左手で口を抑える。


「どんだけ人ごみが嫌いなんですか…大丈夫です?」


「わりと大丈夫じゃない」


「なら……帰ります?」


──いや、


「それはない」


 まだ──まだ彼女の、心からの笑顔を見ていない。


「まだなにも食べてないしな」


「あなた食いしん坊キャラじゃないでしょうに…」


 ◆◇◆


「あ」


「どうしました?」


「りんご飴」


「はぁ…食べるんです?」


「だから言ったろ。まだなにも食べてないって」


「本当に食べるんですね…」


「当たり前だ。俺は嘘はつかないからな」


「いや、ついこの前だって嘘つきましたよね?」


「え」


「ミスドのフレンチクルーラー」


「いや、あれはただ単に間違えただけだ」


「だからと言って、なんでポンデリングなんですか?普通間違えます?」


「あぁ、もう、わかった!りんご飴奢ってやるから!」


「え、うそ?やった!」


 赤城さんチョロすぎ。チョロインかよ。



「あざーしたー」


「おいしいですねりんご飴」


「う、うん」


 りんご飴、はじめて食べたが、なんか思ってたのと違う。たしかに、おいしいのはおいしいが…まぁ、いいか。




「あ、射的やってますよ」


「お、ほんとだ」


「あ、このクマさんかわいい〜」


 もしかして、これって…


「千鶴くん」


「え、あ、はい」


「取って?」


と、上目遣いで言う。くっ!かわいい!天使だ!いや、女神だ!いや、赤城さんだ!


「任せておけ」


 だから、そんな赤城さんの頼みだから。こんなに自信満々に言う。だがしかし、射的は未経験である。




「よっしゃ!」


 結局、当たったのは15回目。下手すぎだろ。


「わ〜い、やった〜!」


と、くまのぬいぐるみを抱く赤城さん。まぁ、かわいいしいいか。


結論。かわいいは正義。


 ◆◇◆


「あぁ〜もう、お腹いっぱいですぅ」


「そりゃあれだけ食べればな」


 俺より食ってるからな。


「そういえば千鶴くん」


「ん?」


「あと30分で花火が上がるんですよ」


「ん、あ、まぁ、そうか。こんな大きな祭りだったら花火も上がるか」


「だから、見やすいところに移動したいんですけど」


「あぁ、別に構わないぞ」


「じゃあっ!行きましょうっ!」


と、無邪気に笑う彼女。やっぱり、かわいい。




「へぇ〜よくこんなところ見つけたな」


 まったく人がいないところに来た。もし、これで花火がよく見れたら最高だ。


「まぁ、下見しましたから」


「なにもそこまで…」


「いえ、しなくちゃいけないんです」


「え?なんで?」



「それは……………」


───ヒュ〜〜……ドォンッ



「え?なんて?」


 彼女はなにか言った。しかし、ちょうど上がった花火の音で聞こえなかった。


「あぁ!もう!」


と、彼女は言うと、


「え」


 胸ぐらを掴まれた。そのまま引っ張られる。え?なに?カツアゲ?


 そして彼女は、俺に顔を近づけた。


「なにしてっ…ん!」


 驚くほど柔らかな感触が伝わってくる。キスをされた。ファーストキスである。いままで誰も俺にしてくれなかったキスを、赤城さんはしてくれた。そんなことを思うと、自然と涙が出てくる。


「んっ!えっ!どうしたんですかっ!?」


 驚いたのか、唇を離し、心配そうに聞いてくる。


「いや、ごめん。なんでもないんだ。でも、」


───この人は、こんな俺のことを特別だと思ってくれた。だから、


「ありがとう」


 俺は笑顔でそう言った。




「ほんとになんで急に泣くんですか〜」


 花火もすべて終わり、近くにあったベンチに座る。


「いや、まぁ、嬉しくて…」


「本当に涙もろいですね、火憐くんって」


 え?


「火憐?」


「あ、いえ…キスしたし、もういいかなって」


「まぁ、そうだな。南乃花…さん?ちゃん?」


「普通に南乃花でいいんじゃないですか?」


「そうだな、南乃花」


「ふふ、なんだか照れますね」


「キスもしたし、その先もヤっちゃう?」


「私としてはウェルカムなんですが」


「あ、いや、ごめん。またの機会に」


「はぁ、まったく…相変わらずヘタレですね」


「人間、そう簡単には変わらないだろ」


「まぁ、それもそうですね」



 こうして、俺と彼女の最高の夏休みは終わった。いや、リア充すぎだろ、俺。


いや、だから、こんな彼女欲しい。


次回、このシリーズで1番書きたかったところです。乞うご期待!あ、やっぱ、そんな期待しないでください!

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