きっと彼女らは、自然と意気投合するだろう。
こんばんは!風邪ひきました!うぅ、きつい…夏風邪かな?まぁ、とにかくきついです…
水曜日。
嫌いな曜日はなに?と聞かれれば、真っ先に答えるであろう曜日だ。まぁ、そもそもそんなこと聞かれないけどね、ぼっちだし。
ん?
あれ?
前も同じような事言ったような気がする…
はっ!これが、でじゃびゅ…おそろしやぁ。
といっても、もう授業も終わり、帰り道である。隣には、かわいいかわいい彼女がいる。それは天使…いや、女神…いや、赤城さんだ。
「ねぇ、千鶴くん」
「ん?どした?」
「今日、家に行っていいですか?」
「え、いいけど…なんで?」
「いえ、大した理由でもないのですが、たしか千鶴くんって、妹さんいましたよね?」
「あぁ、いるぞ」
「なので、妹さんに少しご挨拶を…と思いまして」
「あぁ、そんなことね。いいよ、おいで」
ということで、赤城さんが俺の家に来ることになりました。
◆◇◆
「おじゃましま〜す」
「は〜い、どうぞ〜」
悠莉には予め伝えてある。なので、ある程度のおもてなしができるように準備してある。お・も・て・な・しである。古いか。古いな。
「はじめまして、私は赤城南乃花といいます」
「こちらこそはじめまして。私、千鶴悠莉と申します」
挨拶もそこそこに、仲良くふたりで話していた。ナチュラルに俺をのけ者にしないでよぉ。
「ねぇ、ねぇ、お兄ちゃん」
急に悠莉が俺をよぶ。
「ん、どした?」
「二階行ってて」
「なぜに?」
「お兄ちゃんに聞かれたくないから」
俺に聞かれたくない話とはいったい…はっ!俺のことかっ!……………いや、さすがにそれは、自意識過剰だな。
そんなこんなで、結局夕食前まで俺が一階に降りることは許されなかった。どんな話してんだよ。
「南乃花さんもご飯食べます〜?」
「あ、じゃあ、いただきます」
リビングでふたりが話している。俺はキッチンで夕食作りである。だから、俺をのけ者にしないでよぉ。
「ていうか、赤城さ〜ん」
「ん?どうしました?」
「敬語使わなくていいんですよ?私の方が年下なんですから〜」
「いえ、この敬語は完全に癖なので…」
「癖?なんで?」
夕食をテーブルに運びながら聞く。
「それは…」
「お、お兄ちゃん!お茶ほしいな〜」
「え、あぁ、うん。わかった」
「いただきま〜す」
そんなやる気のない声のあと、皆が無言で食べ始める。なに?俺がいないと、皆会話しないの?それ割とマジで酷くない?
「え、なにこれ…」
「え?まずかったか?」
「いえ、とっても美味しいですっ!!」
どうやら無言だったのは俺の料理があまりにも美味しかったからみたいだ。ふっ!我ながら料理の腕はピカイチのようだ。
「ふっふ〜でしょ〜」
悠莉が自慢げに言う。
「いや、俺が作ったんだからな?」
「あ、おかわりください」
「えっ?はやっ!」
◆◇◆
「そろそろ帰りますね」
時刻は午後9時前。
「ちょっとおくってくるよ」
玄関の扉を開けると、そこは地獄だった。蒸し暑い…なにこれ?暑すぎない?うん、まぁ、もう夏だしな。
「今日はありがとうございました」
「いやいや。それより、悠莉とは仲良くできそう?」
「はい。というか、もう仲良くなってます」
「そっか。それはよかった」
「あ、もうここでいいです」
「え?いや、いいよ。家までおくってくよ?」
「いいえ、ほんとにいいんです!」
強く言われた。まぁ、本人がいいと言うならいいのだろう。
「あ、ごめんなさい」
「ううん、いいよ。じゃ、また明日」
「はい、おやすみなさい」
そうして俺は、踵を返した。
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