されど痛みは消えて、強くなる。
暑い!
湿気がすごい!
目の前にいたのは紛れもなく妹だった。
これはどういう冗談だ?
目の前に血だらけの刀を持った着物美人がいて、実の妹が血だらけで倒れてて、まるで夢のようだ。
「……そうか」
これは夢だ。まったく俺も変な夢を見るな〜ハッハッハ……
あれ?
見えなくなった。あの着物美人が。
そして、
「…うそ…だ…ろ…?」
一瞬、何が起こったかわからなかった。
しかし、下を見てみたらすぐにわかった。
刺された。腹部を。思いっきり。刀で。
「うわあぁぁあぁ!!!!」
強烈な痛みが俺を襲う。
痛い。痛い。痛い。痛い。
「うわぁぁあぁあ!!!!」
血は溢れるばかりで、止まる気配がない。
「このままでは死んでしまうぞ!少年!!」
聖剣が言う。しかし、血を止めることができない。
「クソっ!寿命5年でその怪我を治してやる!!いいな?」
これを?たった5年で?
俺は必死に、何度も頷いた。
「よし、わかった!」
すると、聖剣は呪文のようなものを唱えだした。
「我、聖剣エクス・カリバー。聖剣の勇者、千鶴火憐と契約を結びし者なり。精霊よ、我に大いなる力をっ!」
そう聖剣が叫ぶと、目が眩むほどの光が彼女を包み込んでいった。
気づくと、腹部の傷はなくなって、痛みも消えていた。
「おい、聖剣!」
「ん、なんだ?」
「それ、悠莉にもできるか?」
さっきからピクリとも動かない悠莉を指さして言う。
「あぁ、あいつは大丈夫だ」
「え、なんで?」
「それを答えている暇なんてないと思うけど?」
聖剣は俺の後ろを指さした。え?
「殺す…殺す…殺す…殺す!?!!?」
うわ、怖ぇよ、まじ怖ぇ。刀を持ってやってくる彼女は、恐ろしい。しかし、美しい。
「あーもーわかった!聖剣、2年だ!!」
「了解」
そう言うと、もう一度彼女は聖剣になる。
一度深呼吸をする。
勝てるかわからない。
でも、やるしかない!!
「うおぉおぉぉおお!!」
走る。全速力で。体力なんてたくさんある。だから、もっと走る。
相手は刀を構える。
上等だ。
聖剣と刀がぶつかり合う。金属と金属の激しいぶつかり合いで、それ相応の音が出る。
相手は思っていた通り強い。たぶん、普通に戦ったら負けるだろう。でも、俺はこいつに勝てる方法を知っている。
「聖剣っ!」
「どうした?」
「両腕にもう2年だ!」
「了解」
すると、俺の両腕は光に包まれる。そして、出てきたのは鎧である。まぁ、腕だけなんだけどな。
その鎧は、白をベースとした鎧で、金色の線が入っていてとてもかっこいい。
前に聖剣に聞いた。もともと、聖剣エクス・カリバーは鎧とセットである。そして、その鎧を装備するとチート級の力を得れると。しかし、寿命の減りが速すぎるため、通常は剣だけだと。
今俺が装備した腕の鎧は、力が超絶アップ。さらに、腕の振りの速さを格段に速くなる。なにそれ、チート。
「は…やい…」
彼女は驚く。俺の速さに。
「聖剣の勇者なめんな!!」
ラストスパート!というところで、俺は肝心なところを見落としていた。
彼女は。着物美人は、二刀流だったのだ。
完全に死角だった。見えていなかった。
そうして、俺に本日2度目の腹部の痛みが訪れた。
残り寿命…151年
戦闘シーンとか難しすぎる。
もうちょっと勉強したいです…
あと、そして俺は勇者になった。というタイトルを変更したいけど、いい案が思い浮かばない…




