プロログ
初投稿です。
一応、主人公最強、俺TUEEE的な物語ですが、あくまで「一応」です。
頑張って書いて生きますので、これからどうなっていくのか楽しんで頂けたら嬉しいです。
=・=誤字、脱字などの指摘はメッセージの方にお願いします。
俺、黒伽揶晴稀は一つの世界を救った英雄だ。
英雄、気恥ずかしくって悶そうになる様な言葉だと思うが、誓って自称じゃない。
5年前、高校2年生だった俺は異世界の精霊王に召喚され、体の中に魔力炉を付与され、精霊王の依頼で、精霊たちを操ろうとして失敗し挙句の果てに暴走させた悪い宗教団体を潰して、精霊王の統制を失い暴走した精霊たちを元に戻す事になった。
精霊王自らやればいいのではないのかと聞いてみたが、精霊王は自分が産み落とした精霊を自らの手で殺すことは出来ないらしい。いくら暴走して統制を失ったとしても。だから異世界から暴走を止める可能性を持つ存在を呼び出したのが俺だったわけだ。
やりたくもなかったし、いきなり誘拐まじりなことされて精霊王を憎んだりもしたけど結局は「やってやるよ!」って威勢よく承諾した。
勿論、そんなことがいきなり出来るわけでもなく最初の3年ぐらいは自己鍛錬を兼ねて冒険者として活動し、特級冒険者になり、後の2年は死に物狂いで世界を巡り宗教団体とソレに同調する国々の思惑を潰し、暴走精霊を元に戻した。
後から知ったが精霊王の統制を失った暴走精霊が後少しでも増えたりしたら、精霊王は世界中の精霊たちと共に他の世界に移動するつもりだったらしい。そうなったら結果は一目瞭然。捨てられた世界は誰も止めることが出来ない暴走精霊達の手で滅ぼされてるはずだった。当に間一髪、ぎりぎりのタイミングだった。
その全てが終わった時には俺は世界中で英雄、もしくは勇者と呼ばれるようになっていた。冒険者として世界トップで滅びに直面した国を救ったのも8カ国に及ぶ偉業を成し遂げれば嫌でもそう呼ばれるようになるな。でも、幾ら英雄だと持て囃されても正直残ると言う選択は俺には出来なかった。
第一、魔法が有り、人外クラスの力を持ったといえ文化も政治も半端な中世並みの世界ってのはいろんな意味で’不便’だった。
権力者たちが持つ選民思想に基づく倫理観を変えることは俺には不可能そうだし、生活すらも容易でない人々に芸術などの文化を広めることも簡単な事じゃない。だからと世界を自分の手で支配し無理やり変えまくることほど野望に満ちた人間でもない。
俺が5年の間に出来たのは幾つかの料理を幾つかの地方に教えただけ。その料理すらも他の地方ではあまり好評を得れれなかった。それで慣れ馴染んだ味覚ってのは簡単には変えられない物だと理解できた。
兎に角、俺は地球が、日本が恋しかった。
白いご飯も、コーラも、タコ焼きも、漫画も、ネットも……そのあらゆる’現代日本’が堪らなく恋しかった。
え?家族は恋しくなかったのかって?
いや、俺の両親は俺が13歳の頃他界してるし、姉は……会いたかったけど、元々別々に暮らしていて召喚される前も2年近く会ってないし。そこまで仲良くもなかったし……まぁ、ソレは置いといて。
精霊王からの依頼を全てやりとけ、世界中からは暴走精霊から世界を守った英雄になった俺は精霊王から幾つかの褒美をもらい、故郷に帰る為の準備に取り掛かった。
俺の血と精霊王の力を持って【人造精霊】を生み出し、その精霊が持つ能力を利用し世界を渡る。
生み出された精霊は《フェーヤ》と名づけた。
そして俺はフェーヤと共に故郷へ帰還することになったのだが……
人の目を避ける為に誰もいない時間帯と場所のことを悩んだ俺が選んだ帰還場所は、俺の母校である『羽田川市立・桐青高校の屋上』。時間は深夜02時頃。
俺の考え通りに真っ暗な屋上には誰もいなかったのだが屋上から見える校内の至る所に大勢の人影があったのだった。
そして異世界で鍛錬された魔法による視力強化と夜間視のお陰でハッキリ確認できた人影の正体は……
『ねぇ。ハルキ。本当にここがハルキの故郷なの?』
「奇遇だな、フェーヤ。俺も今同じ疑問が頭に浮かんだよ。」
全て【ゾンビ】としか呼ぶことが出来ない存在だったのだ。