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第九波「幻想逃避の処刑台」

 天佳は腕をさすりながら、ため息をつく。

「……どうりで触られる度に悪寒がすると思ったわ。そーいや、あんたが『ベリアル』だったわね。曲輪。ったく、一時でもあんたの薄っぺらい人間性を信じたのは、私にとって一生に一度きりの汚点ね」

「……っ!」


 ほぞを噛むように俯き、唇を固く結ぶ曲輪。

 己への自信、アイデンティティーを取り戻した天佳。


 エレベーターとその手前で対峙する二人の周囲で、店の中の客がざわめいていた。

「……なに、痴話ゲンカ?」

 冬休み中の部活帰りか、ジャージ姿の、中学生ぐらいの女の子が不思議そうに覗き込む。

 その少女を乱暴に突き飛ばし、二人の緊迫した空気を、囲む集団があった。


 金髪のツインテール。

 流れるような黒髪美人巫女。

 ショートカットの色黒いスポーツ娘。

 そしてお嬢様風に縦ロールした髪の、背の高い美女。


 皆、見知った、『キャラバン』の女性団員だった。

 『巫女』が手にした鉄扇に、妖精の刻印が宿る。

「ふっ!」

 かけ声をひとつ、投げつけられ、横にスピンするそれは、とても女性の細腕から投擲されたものではなかった。

 ブーメランのように大きく旋回しながら、コンクリートの壁をえぐり、柱を砕いて天佳に迫る。伏せてかわした所に、高らかに、『お嬢様』の歌声が響く。

 震える空気に翼の刻印が舞い散るように浮かび、それに呼応して風が荒ぶる。

 吹き飛ばされ、激突した天佳を指さし、曲輪が甲高く声を張り上げる。

「逃げろ!」

 と、女性の声が告げる。それを号令に、ワッ、とフロア内は恐慌状態に陥った。

 逃げる者が大半だが、中にはうずくまる人間、もみくちゃにされてその場に倒れ伏す男もいた。


「……ハッ、俺が単騎ノコノコ出張るかよ!」

 曲輪は、そんな彼らの様子をみじんも気にかけることなく、自慢げに語る。

 内心怒りを感じる天佳ではあったが、その感情を表面化させることは、彼女の流儀からしてみれば

「らしくない」

 痛みをこらえて、何事もないように立ち上がり、冷ややかな瞳で、民衆を嘲笑する敵の醜態を、白眼視する。

 

 少女のそうした態度に、まず曲輪は動揺を見せた。

 それから思い通りにいかない相手に対し、焦燥を見せ、それからようやく、激怒し、自分の四体の手駒に命じた。


「……やれっ!」


 その言葉を皮切りに、四人がさらに距離を、一気に詰めた。

 まず、『金髪』の掌から小刀の紋様の刻印が噴きこぼれ、集合離散、頭から肩までの刃渡りを持つ、刻印剣を形作る。

 横薙ぎに振りかざされた一撃を伏せてかわすと、頭上のポールが、紙細工のように両断される。

 あまりの威力に傾き歪み、それでもなお、なめらかな切断面が天佳の目にさらされた。

 そして、正面には黒々とした刃を手にした少女が、まるで主の悪意が乗り移ったかのような、邪悪な半笑いを浮かべていた。


「うおぉぉぉ!」


 荒々しい雄叫びと共に、第二波、右側から『スポーツ少女』が、右手の正拳突きを放つ。

 尋常ならば、絶対に当たらない距離。だが丸めた指先から、正面を向いた獅子の顔が、燃えるような画風で浮かび上がり、その口から、衝撃が放たれた。


「ふっ!」

「はぁ!」


 全てを切りつけ、傷つける扇が蛇行しながら、天佳を追う。歌声が羽根を渦巻かせて、進路を塞ぐ。


「……なるほど」


 ポンチョについた塵芥を払いながら、エレベーターの前に立つ曲輪行人を睨め付ける。

「自分に戦闘能力がないから、かすみも含めて、そーゆーので周り固めてたってわけね」

「あぁ。だが、力のないお前にとっても天敵だろ?」


 すっかり人気のなくなった二階。

 得意げにうそぶく彼に、天佳は「分かってないわね」と腰に手を当たる。


「んなこたぁね、あんたに指摘されるまでもなく分かってんのよ。で、この私が、弱点そのまま放置しておくと思ってんの?」


 天佳は浅く、唇を持ち上げた。軽くヒジから先の角度を上げて、瞑目する。

 細く、長く、空気を糸のようにして肺へと取り込んでいく。

 新鮮な酸素を少しずつ、内部のものと取り替えていき、頭も、身体も、清浄にさせていく。

 その異様な光景に呆気にとられ、またその裏にあるかもしれない奇策を警戒し、五人は、棒のように立っていた。

 そんな彼らをまるで意にも介せず、呼吸を整えた天佳は「よし」と目を開け、肩を軽く上下させる。


「……なんのつもりだ? 深呼吸すれば強くなれるとでも?」


「さぁ? 少なくともあんたに、もう一発お見舞いできるわよ」

 もう一発。

 その言葉を耳にした曲輪は、本人のプライドと関係なく、反射的にビクリと上半身を揺らした。

 そのことに対する羞恥で赫怒し、震える指先を天佳に突きつけた。

 不敵に笑う天佳は、彼らに背を向け走り出した。


「……っ! ハッタリだ! やれ、やれっ」


 そんな彼の怒声に揮発され、四人が追った。

「はぁっ!」

 獅子の拳が空気の砲弾を放つ。天佳はその鉢に、足をかけて飛んだ。

 作り物のヤシの樹をへし折り、プラスチックの葉の上空で、天佳は舞った。

 フードコートの中央に着地すると同時に、爪先で身近な椅子の脚を引き寄せ、引っかけ、浮かせる。そのまま回し蹴りで今まさに扇子を発射しようとする少女の顔面目がけて蹴りつける。

「くっ!」

 旋風が、その椅子を微塵に砕くと、その裂け目を縫うように、両手で剣を把手を掴む金髪が駆ける。

 天佳は股のガーターベルトからナイフを引き抜き、ダーツの要領で指先に挟んで射る。

「単調な攻撃……っ、バカにしないでくれるっ!?」

 剣刃に弾かれた。断たれた筒状のグリップだけが、中空に浮いた。

 鋭い気炎を発してなおも迫る少女に、天佳は己の右手の甲を優雅な手つきで、翻して見せる。

 真円の『トライバル』が浮き彫りになった、その手の甲を。

 少女剣士はハッと接近を中止し、天を、浮き上がった短刀の柄を仰ぐ。

 それが、天佳の狙いだった。


 『アリアンロッド』の遠隔操作により、柄が、爆ぜた。

 正確には、ナイフに取り付けられた、発煙筒が。

 茶色い煙が空間を満たし、むせ込む音が聞こえる中、天佳は煙幕を駆け抜ける。

 記憶している道、予測される敵の動き、それらを読んで的確なルートを頭の中で設定し、ただ一路、女に護衛された大将の位置へ。

 煙の薄れた先、そいつはいた。

 彼女の奇襲に、表情を凍り付かせて。


「く、のっ……!」

 曲輪行人は潰れた利き手でなく、逆の手を突きだし、飛びかかる。

 その敵の視覚を、天佳はまとったポンチョをたくし上げて覆い隠した。

 攻撃性と視力を奪った敵の懐に入り、

 上段、中段、下段。

 顔、腕、腰。

 右、右、右。

 各部位に、それぞれ三発ずつ、足の甲を叩きつけ、しまいに跳ぶ。

 小さな身体を旋回させて、大きく上段に回転蹴りを見舞った。


 敵に打撃を与えるまでの流れるような演武。

 それを終え、残心を忘れず、涼やかな顔で衣服の乱れを直す。


「曲輪!」

「曲輪サマ!」

「曲輪クン!」


 めいめいの呼称で彼の名を呼び、彼の道具が天佳の脇をすり抜け、彼に駆け寄る。

 そして彼にすり寄り、「大丈夫?」と声をかける。

 だが心細げな彼女たちの、伸ばした腕を、奇声をあげて乱暴に振り払い、振り払ったその手が、少女達の頬を打つ。それから蹴飛ばし、エレベーターの外に追いやる。


「お前らァ! ヒロインだろうがっ! 主人公を輝かせて、主人公に都合良く甘えて、主人公に忠実に尽くして、主人公のために強くあって、主人公のためなら死ぬことさえ厭わない! そういうもんだろうが! だったらこの主役のことちゃんと守りやがれってんだ! マジメにやれよォッ! お前ら、俺のこと愛してるんだろうが!」


「……つくづく見下げ果てた男ね」

 そしてあの輪の中に、足を踏み入れかけた自分がいることを思い出して、天佳は身の毛のよだつ思いだった。


 一歩踏み出した。

 鼻を潰して真っ赤になった男は、ボタンを連打し、エレベーターを閉めようとする。

「お、お前ら! 俺は傷の手当てをする! それまで、時間を稼いでろよ!」

「え、え、それで……曲輪サマは戻ってくる、んですのよね?」

「あ……当たり前だろうが。も、も、戻ってくるさ……絶対」

 不安げに振り返る少女たちから目をそらし、悪魔の姿は閉じられたドアの中に消えた。


「……あいつ、そのまま逃げるわよ」

 天佳がさらに一歩踏み出すと、少女達はおのおのの戦闘スタイルで構えをとった。

 あくまでしんがりとして、捨て駒として、彼を守り通すつもりらしかった。

 ……その、偽りの記憶のために。


 小鳥のさえずりにも似た、かすかな舌打ち。

 その天佳の四方を、血走った目で四人が塞ぐ。

 ガラスの破片の上を、裸足で歩くような緊張感。

 張り詰めた空気を肌に感じ、それでもまだ、天佳は己のスタンスを崩さない。

 腕組みし、息をつく。

 もはや彼女たちは、天佳にとってはもはや敵ではなく、憐れむべき対象だった。

 

「アレが守る価値のある男か、自分たちの頭で考えなさいよ」

「……黙れぇっ!」

 『スポーツ少女』の声は、裏返り、もはや悲鳴に近かった。

 両手の平に展開した獅子の『トライバル』。それに呼応して、『お嬢様』も口を開ける。

 挟撃。

 だが彼女たちは、冷静さを失っていた。

 天佳は、迷わず身を伏せる。

 相打ち、暴風が巻き起こる中、天佳は両脚のヒザで上半身を支えてクルリと回る。

 突き出した裏拳が、三人の足を叩いて崩す。

 だが、『金髪』は軽く跳躍してそれをかわしていた。

 振り下ろされる太刀筋を、天佳は身を伏せてかわし、二閃、三閃と地を転がり回避する。


 だが四閃目、ポンチョの端が、剣先に突かれて縫い付けられた。

「……っ」

 天佳の動きを止めた少女の、もう一方の手に、同型の剣が生まれる。

 その突きを靴底を揃えて蹴り外し、自らポンチョを脱ぎ捨てた。

 タートルネックのセーターと、身体のラインが露わになって、ようやく天佳は解放された。


 剣士の連撃はまだ、継続していた。

 双剣を手に、重力を無視したように壁を駆ける。

 九十度、天佳の周囲を巡ると、大鳥のように二つの刃を伸ばして飛びかかる。

 一撃、伏せる。

 二撃、身をよじって回転する。

 三撃、上から手刀を打ち下ろしていなす。

 そして最後の、刺突。一度叩いてそれを止め、丸めたネコの如き拳で横にそらし、次いでネコの手で腹を打った。

 そのうちの一本を、崩れる彼女の手ごと握って、主導権を奪い取り、開いた扇を弾いて奪取する。

 パチリ、と。

 音を立てて折りたたみ、その要の部分で天佳は、金色の房が両端から伸びる頭のてっぺんを痛打した。

 鈍い音。石のように硬い感触。

 握っていた剣は虚空に溶けて無と化して、握る少女の手からは、もはや抵抗する力さえなかった。


 勝負は、決した。

 いや、そもそも被害者相手に勝ち負けを競っても、仕方のないことだった。


「あ、あぁ……」


 武器も奪われ、残された『巫女』が、唇をわななかせて立ちすくむ。黒曜石の如き目からは、自ら愛している男を守ろうとする意志の輝きも、戦意も喪われていた。

 嘆息か、気疲れか、肉体的疲労か。

 天佳は一息つくと、彼女の武器を適当な場所に放り投げる。

 ヒラヒラと落ちてくる己の外套をつかみ取り、肩に担ぐ。

 天佳はその横を堂々と通り抜け、身体の中心線をブラさずエレベーターへ向かう。


 くずおれる黒髪の少女に、一瞥さえくれることなく、ただ己の道を進む。


~~~


「はぁ、はぁ、はぁ……っ!」

 敗走者は、一階の男子トイレに隠れていた。

 ドラッグコーナーでくすねてきた市販の医薬品で、最低限の処置を行ったところで、ようやく安堵の息を漏らした。

 もちろん、それだけではない。

 鏡に、壁に、便器に、ジェットタオルにさえ。

 排便施設のありとあらゆる部分に、彼の、曲輪行人の歯車は散らされている。


「……っ、もし、ここに入ってきたら一気に『ベリアル』の力全解放してやる……っ、もうマトモな人格なんて残してやるかよ……っ! 人格丸ごと……吹っ飛ばして、糞尿でも喜んで舐めるマゾ豚に『調教』してやるよ……っ!」


 ひ、ひひひひひ……と。

 くぐもった冷たい嗤いに、もはや将来展望を描いていた頃の品性はなく、彼の精神は半ば崩壊していた。


 だが、転瞬、暗転し、

 彼の視界は一気に闇に包まれてしまった。


「な、なんだ!? あいつ、電力供給でも断ったのか!?」

 だがトイレの外からも、灯りらしきものはなくなっている。

 これでは、相手が確認できない状態では、『ベリアル』は発動できない。

 『アリアンロッド』に、ここまで大規模な施設を停電させる力は、ないはずだ。

 とすれば、電力がフロア、いやこのセンター丸ごと落とされている。

 とすれば……そんなことのできる異能は……なんだったか。


「ひぃっ!?」

 彼は『それ』を視認した。暗闇で得られる数少ない情報が、『それ』だった。

 否が応にも、彼に危機が迫っていることを報せていた。


 壁のタイルに、イナズマの、『フルフル』の刻印の一部。


 暗がりの中でぼんやりと浮かび上がる無数の刻印の中で、ただそれだけが形の違うものだった。

 小山田かすみが撃破された今、それを使役できるのは、世界中、ただの一体だけだ。


『トライバル・X』


 とうとう、来た。いや、予定を大きく外れた最悪のタイミングで現れてしまった。

 鈴目天佳を拉致して欺いた、彼を処断するために。


「な、何してんだよ『マルコキアス』……っ! あいつさっきここに来てただろ!? 何で援護しないんだよっ……!?」


 得られる光源は、『ベリアル』と『フルフル』の『トライバル』が放つ輝きのみ。

 その中でうずくまり、彼は折れた己の右手を抱きかかえ、小刻みに震撼している。

 だが彼の前を、


 コツリ


 音が、よぎった。

 天佳の軽い足音とは違う。

 靴に鋼の板でもはめ込んだような、重厚な金属音。


「……っ!?」

 息を殺して、それが通り過ぎるのを待った。

 だが音はたった一度しただけで、すぐに静寂が訪れた。


 数十秒だろうか、数分だろうか。

 時間の間隔さえ測れない。もはや、彼の鼓動も、頭脳も、正常に時間を算出することさえできなかった。


 やがて、上の電灯が点滅した。浸食していた『フルフル』の刻印も、既に消えていた。

 完全に電灯は回復し、彼の心にも安心感がもたらされる。


 脱力し、肩から力が抜ける。

 だが、脚はまだ萎えていなかった。


 ――ともかくここから脱出しなければ。


 生存本能が、彼に立ち上がらせるだけの力をもたらしていた。

 まず曲輪行人は、今ある生に感謝した。腰を上げる。立ち上がり、鏡を見て、






 彼は、己の背後から赤銅の魔人が顔を覗き込んでいることを知った。






「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 彼はもはや、誰にはばかることなく精神の限界を訴えた。

 金切り声を絞り出す喉が伸びた片腕に締め上げられ、吊される。

 一八○近い長身に持ち上げられ、二メートルの高みにいながらもなお、彼は自己を助命するためだけに弁を振るう。


「ま、待て! おぉ……俺が悪かったよ……! もうオタクらに変なことはしない! 『キャラバン』だってどうせ裏切るつもりだったんだよっ! これからは手を組もう! な、な!? あんたが知らない副団長『マルコキアス』の正体だって教えてやるっ! だから! この手、放して……助けて……っ!」


 『マルコキアス』の正体、というところで咽喉への圧迫が緩まった。

 恥も外聞もない嘆願だったが、屈辱を忍んでしただけの効果はあった。

 ほくそ笑み、それとなく右手を伸ばす。


「……言えよ」


 低い声だったが、それは紛れもなく少年の声だった。

 その幼さを嗤い、彼は隠した右手を一気に伸ばした。


「そ……れ……はぁっ!」


 金属質なその頭部に触れ、一気に『ベリアル』の力を展開する。

 ぐあっとのけぞる頭部に、さらに追い打ちをかける。

 タコのように不自然に曲がる指に、言い知れない吐き気と激痛をもよおすが、そんなことが苦にならないほどに、曲輪は絶頂の中にいた。


「バーカ! 物質限定だとでも思ったのか!? 直打ちの方が効果あるんだよっ! これでお前は……俺の手駒だぁ!」

「……Mixing……No.4『ハルファス』×No.X『フルフル』」


~~~


 苦し紛れに、『X』は何かを唱えていた。

 それまでは、覚えている。

 というよりそれは、つい一秒も経たない出来事のはずだった。


 だが気がつくと、曲輪行人は拘束されていた。


 鉄の椅子に縫い付けられて、

 鉄の輪に縛られて。

 周囲は、古城の如き雰囲気だった。

 埃くさい石畳、グレーの石壁、その向こうからは、透き通るような青空と、白い雲と、生い茂る芝草が、地平いっぱいに広がっていた。


「へ? ……へ?」

 自分は狂ったわけではないはずだ。

 自分は負けたわけではないはずだった。


 ――なのにどうしてこうなった?


「No.4『ハルファス』。ヤツの精神が作り出した仮想空間の城だ」


 聞き慣れた声が、耳元で、いや頭の中で響いてくる。

 『マルコキアス』。

 姿は見えないが、声だけが聞こえてくる。

 その理由を、問う前に一方的に説明される。


「わたしを誰だと思っている? 『トライバル』以外でも、異界に精神を送り込む術などいくらでも心得ている。もっとも、身体を転移させるには至らないが」


「そんな、そんなバカな!? 俺は確かに、あいつに『ベリアル』の暗示を叩き込んで……」

「逆だよ」

「逆?」


「お前があの瞬間、暗示をかけられたんだよ。他ならぬ、お前自身の『トライバル』でな」


 容易に認知することのできない、突き放すような非情な事実だった。

「そしてお前は、そのままこの城へと引きずり込まれた」

 それしか説明のしようがない。自分でも納得しているフシさえあるのに、

「それこそありえない!」

 ……と、曲輪行人はあくまでそう主張する。


「伯耆が持っていた写真にあいつは触れなかった! トイレでだって、何かを壊した形跡はなかった! あいつが『ベリアル』をコピーできる機会なんて、なかったはずだろう!?」

「あったんだよ。それらより、もっと前にな。……『フルフル』を撃破した、その瞬間に、な」

「…………っ、ま、まさか!?」

「そこは物わかりがよくて助かる」と、『マルコキアス』はまるで出来の良い教え子を褒め称えるように、ウキウキとした、実に楽しそうな調子で語る。


「そう。お前は、小山田かすみに『ベリアル』を仕掛けていたじゃないか。小山田かすみが撃破されたその瞬間、あいつの内部に残留していた『ベリアル』の影響もまた、『フルフル』と共にコピーされていたんだよ。つまりお前は、最初から、事の始めから、見当違いのバカをやらかした、それだけなんだよ」


 曲輪は、そこに至って「ありえない」という言葉を捨てざるをえなかった。

 認めるしかない。

 もうそこは、どうでも良いことだった。

 問題は、今、これから。

 曲輪行人自身がどうやって助かるか、だった。

「……おい、助けろよ! お前と俺は……そう、友人だったろ!?」


「あいにくと、そんな『記憶』はないのでな」

 それが、全ての答えだった。

 何故、あの時命令に従わなかったのか。

 何故、今、助けてくれないのか。


「……お前、お前も術を解けてたってのかよ!?」

「解けてた? 最初からかかってなかったんだよ。かけるタイミングが露骨過ぎるんだよ。ある程度の心構えさえ出来ていれば、お前程度の暗示などいくらでも破れる。戯れついでにちょっと茶番に付き合ってやっただけだ」


 頭の中が、あからさまな軽侮の吐息で満たされ、曲輪の思考能力を奪っていった。

「……所詮、お前の力量などその程度なのさ。常日頃お前は嘆いていたな? 『自分の実力を成績で判断される』『本当はもっとやれるはずなのに、誰もそれを正当に評価しない』……だがなぁ、曲輪よ」


 それは現実を突きつける、冷厳な言の刃だった。




「そもそも評価されようという努力さえしない人間を、一体誰が評価するんだ?」




「…………っ!?」

「世界も、社会も、国家も、法も人も、お前の都合に合わせて生きてるわけじゃない」


「……うるさい、うるさい、うるさいうるさいうるさいうるさい! なんだよお前、助けないなら、何しに来たってんだよ!?」

「そうだな、強いて言うのであれば、別れを告げに。それと……悪いがお前に頼まれていた仕事を、代理に頼むしかなくなった」

「なんだよ。なんだよっ、それっ!?」

 突き出る言葉の度に、彼は思わず身を乗り出した。


 本当は、わかっていた。

 副団長の言葉の意味も、

 これから自身に起こりうることも、

  

「お前に頼まれていた『ゴミの始末』だがな……触れるのも汚らわしいので、別の人間に頼むことにした。すまんな」


 プッツリと、そこで『マルコキアス』との魂の通信は途絶えた。


 残されたのは、曲輪と、彼自身を縛る、それ。

 椅子のような形だったが、それは座った人間に安寧と休息を与えるためのものではなかった。

 そういう機能ではなかった。

 上を見上げる。

 タンクがあった。そこに繋がる細い管が、そのまま手足の輪や、背もたれに直結していた。

 タンクには、両角を生やした牡鹿の刻印が描かれている。

 燃えるようなタッチは、自分に対し激しい怒りの感情を示しているようにさえ見えた。

 やがてタンクに紫電が渦巻き、ビリビリと、椅子全体が不安になる振動を始める。


 ――その電気椅子は、あと数秒で出力を始めるだろう。


「は、ハハハハハハ……」


 枯れた笑いしか、生まれてはこなかった。


「これは……これは何かの夢だ。何かの幻なんだ……こんなのが、こんなのに、俺が……この俺がこんな目に遭う、はずが……」


 次の瞬間、彼は絶叫し、悶絶するだけの機械へと生まれ変わった。

 そしてその顛末を見届ける者は、この城を主を含め、誰一人として存在しなかった。


~~~


 その断末魔は、間違いなくあの男、曲輪行人のものだった。

 異変に気がついた天佳は、暗闇の中、ボロ布になったポンチョを投げ捨て、声のした方角へと急いだ。

 やがて電力が回復し、天佳を導くように道を照らし出した。


 だがトイレの前を横切ろうとした時、一つの影が飛び出してきた。

 曲輪行人。

 微細に痙攣し、皮膚を焦がしてもなお、それでも生かされる様は、いかにこの男の末路と言えども、目を覆いたくなるほどであった。

 だが、


 ――電気?


 薄汚れた車輪の刻印の上から、大きく『X』が打たれている。

 その周囲を、紫電が巡っているのだ。


 次いで、のっそりと、

 大きな影が天佳の前に立ちはだかった。


 ――ついに会っちゃった。


 『X』。

 『キャラバン』が求めてやまなかった、異質の『保管者』。

 その異形の姿は資料で見たことがあったものの、実際目にしてみると、そのあまりのおぞましさに身震いし、言葉も失われる。


 すっ、と。

 無事はないかと、赤銅の右手が伸びる。

 天佳は、反射的に後ずさってしまった。


 ビクリ、と。

 その彼の手もまた、反応を示した。

 やがて広げられた五指は折りたたまれて、力なく右腕は垂れた。


 遠ざかる背は意外なほど華奢で、伸ばしかけた手の表情と同じで、どこか傷心の少年じみた、精細さを滲ませていた。


「……っ待ちなさいよ!」

 ――恐怖がなんだ。

 ――危険がなんだ。


 自分を無事を喜び差し出されたその手を掴まない鈴目天佳など、彼女の中ではありえなかった。


 追いすがり、捕まえたその手の感触は、初めてだった。焼ける鉄の如き体温をも覚悟したが、そんなことはなかった。

 なのに、心が熱くなる。久々に見た故郷の夕焼けのような、震えるような感動が、懐かしさがあった。

 それが偽りでも気のせいでもないと、確信している自分がいた。


「……あれ、あんたがやったんでしょ」

 肩越しに振り向いた顔のない頭部が、そうだとかすかに頷いた。

 対話はできる。

 当たり前のことながら天佳は今その事実を知り、ふっと、表情をほころばせた。


「……『フルフル』の力をあえて使って、かすみの仇をとってくれたの?」


 交錯する赤銅の仮面の向こうで、かすかに息を呑む声がした。

 ひょっとすると、涙ぐんでいるかもしれない。

 どこかの誰かの像が重なり、ふと、そんな風に直感した。


「あいつに代わって、お礼を言うわ。……ありがとう」

 『X』の肩が、荒く上下する。


 ――本当に、泣いてるのかもしれないわね。


 天佳は苦笑し、その肩の動きを見つめていた。

 それでも誰何の問いを投げる無粋なマネはしなかった。


 ――まぁ、今ならこいつの正体、なんとなく分かったかもしれない。


 そうしているうちに、繋がるその手はそっとほどかれた。

 呼び止める間もなく、今度は本当に、一目散に駆け出していく。

 天佳は数十秒間、その場に留まった。

 ただそれだけの行為なのに、まるで鬼ごっこで、鬼が相手を逃げ散るのを待っているかのような、そんな子どもじみた楽しさがあった。


 出口に向かって歩き出す。

 だがその途中、

 二束三文で買いたたかれる靴下専門のワゴン車から、

 長い両脚がまっすぐ伸びていた。

 上半身は、中に埋まっている。

 来栖切絵の変態的行動は今に始まったことではなかっが、今回のは特に極めつけだった。


「…………何やってんの?」


 本当なら無視するなり、金的攻撃を仕掛けるなりすべきところだったが、あいにく心身ともに疲弊しきった天佳にはどちらもする気にはなれなかった。


「くつした、おいしいです」


「…………だったら晩ご飯はそれステーキにでもしてもらいなよ」

「いや、気にしてくれよ!? 色々と!」

 切絵は、上半身を引っ張り出して突っかかった。

「ふーん、で、どうしたの? 今日は?」

「いや、だってお前がフラフラいなくなるから連れ戻しにきたんだけどさ。で、ここに来たら猛然と突っ込んでくる『X』がいてさ。そいつに突き飛ばされて、この中にボッシュート、ってわけだべさ」

 と、わざらしく、腫れた様子もない額を撫ぜる。

「……あんたさ、そのテの話……だんだん無理が出てきてるってか……もっとマシな言い訳考えられるでしょうよ」

 傷む前頭葉の辺りを指で押さえ、天佳は脱力を隠さなかった。


「なんのことなんだか、全然、サッパリ、わかんないんだけど、そろそろここ出ないとヤバくないか?」

 切絵に指摘され、ふと入り口の方を見るとパトカーが店の前に駐車するのが確認できた。

 話題を逸らされたことに対する忌々しさを感じつつも、天佳は切絵の提案が妥当なものだと分かっている。


 承諾するよりも先に、切絵が天佳の手を掴む。

 汗ばむ手。緊張に震える腕の筋肉。それを努めて見せまいとする切絵の立ち振る舞い。

 それらすべてに、覚えがあった。どうだって良いことのはずなのに、強烈に、掌の記憶に残っている。

 ため息をついて天佳はうつむく。

 あまりのおかしさに緩む表情を見せるのは、とにかく来栖切絵相手には、シャクだった。


~~~


 少年少女が去った後、その男は二階で目覚めた。

 突っ伏した床の上から起き上がり、ハンチング帽とサングラスを着け直す。

 激しい戦闘の痕跡残る場、その場に倒れ伏す少女達をつまらなさそうに見回し、再起動したエスカレーターで一階へ。

 上着のポケットから端末を取り出すと、


「私だ」


 そう、名乗る。

 通り過ぎた横では、救急隊員と警察官が困惑した様子で顔を上げていた。


「……それで、彼が感電した原因は分かっていないと?」

「……はい。加えて言えば酷い怯えようでして、一度目を覚ましたのですが、狂ったように悲鳴をあげてそのまま昏睡状態に……。しばらくは、とても状況説明できる状態には」


 長めの一呼吸を置いて、彼は小声で電話の相手に報告した。

「『ベリアル』は再起不能だ。ヤツに相応しい結末だがな。……『助けられなかったのか?』って……お前、私にあいつを助ける義理があると思うのか?」


 苦笑する男は、出口から堂々と出た。

 太陽をサングラス越しに睨みつけながら、噛みつくような、挑発的な口調で言った。


「まぁすぐに団員に施された精神操作が解けるわけじゃない。きっかけは『ベリアル』だが、その記憶や人格を形成したのは他ならぬ本人たちだ。……混乱と動揺と崩壊は、ゆっくりと、着実にやってくる。もう『キャラバン』に残された時間はないぞ? どうする?」


 返ってくる答えは、分かり切ったものだった。

「……あぁ、お前ならそう言うと思ったよ」

 露骨にため息をつき、男は、己の左手甲宿る狼を見下ろした。


「『セエレ』を呼んでくれ。次は、私が出る」


~~~


 草を踏む。

 店舗の前に広がる公園から、騒ぎが大きくなっていくのを、遊具に腰掛け、天佳たちは対岸の火事と言った感覚で見ていた。


 ――もっとも、その火種はすでに消されてるんだけど。


 今更騒ぎが大きくなるってのも妙な話だ。

 切絵に買ってもらった自販機のホットココアを飲みながら、ぼんやりと思った。


「あとは、警察の仕事だな」

「そうね」

「……お疲れ」

「あんたもね」

 お互いの苦労は知らないはずなのに、自然、ねぎらいの言葉が互いにこぼれた。


「それで結局どうするんだよ。初恋探し」

「別に初恋じゃないって」

「でも、気になるんだろ? 宙ぶらりんなまんまじゃ、また『ベリアル』みたいに利用してこようってヤツが出てくるべ? それが予想を裏切るものだったといても、最低限のケジメはつけとけよ」

「って言ってもね」

 自分がそこにいて、彼がそこにいたのだという、その痕跡はもはやどこにもない。

 胸の下で腕組みし、嘆息した時だった。


 ごぉ……ぉん

 ごぉ……ぉん


 と、鐘が鳴った。

 動物のうなり声にも似た、重い音色を聞いた瞬間、天佳の頭の中で何かが弾けた。

 今まで薄らいで、色あせていたイメージが、奔流の如く蘇る。

 反射的に、立ち上がっていた。

 あと東の方を見れば、西洋風の鐘楼で、銅色の大きな鐘が前後に揺れている。

「あ、おい! 天佳!?」

 飲みかけの缶を地面に起き、身体が命じるままに突き動かされる天佳は、その音源を追っていった。


 ――確かに覚えている。


 鐘楼の根本に立ったとき、天佳は確信をもって口の中で呟いた。

「どうしたんだ? また走り出して」

「これ……」

「あぁ、それな。昔地元の幼稚園にあったヤツ。つか、ここが元々幼稚園」

「幼稚園……?」

 その言葉に、天佳は心の引っかかりを感じた。

 周りを見渡す。

 使い込まれた滑り台、

 成長したクヌギの樹、

 わずかに当時の面影を残す、通り道。


「……っ!」


 たまらず、鐘楼の漆喰の壁にかじりつくように抱きついた。

 その由来を記すスチール製のプレートに、その名前はあった。


『児童養護施設 であいの家』


「…………見つけた」

「は? え?」

「あいつと出会った場所、ここ」


 短く、区切るようにして天佳は言った。切絵もまた、首を傾げてそのプレートを天佳の頭の上から覗き込む。

「だって、ここ幼稚園のはずじゃ……あ、ホントだ」

 間の抜けた調子の彼をジロリと見返し、恨み言をぶつける。

「……あんたがヘンな勘違いしてなきゃ、さっさと済んだ話だったってのに」


「し、仕方ねーだろ! 試しに連れて行こうとしたらお前、消えてるし……大体、今の今までそう教えられてたんだから、気づかなかったんだよ!」

「教えられてたって、誰に?」

「俺のとーちゃん。ここの出資者でさ、時々連れて行ってもらってたんだ。……ま、今考えると、俺に余計な気遣いさせないためのウソだったんかな」


 ……と、切絵は聞き捨てならないことを言った。

 ――時々、連れて行ってもらってた……?


 それは、それではまるで……

 記憶が今、完全に繋がる。

 人好きのしそうな笑み、柔らかい物腰と、垢抜けていない独特の雰囲気。


「そーそー。そこにカワイイ子がいてさ。かわいがってたもんなんだが」

 ――あぁ、そうか。


 天佳は目を細め、心いっぱいに広がる幸福を噛みしめる。

 ――ウソじゃなかった。

 あの時少年が存在していたことも。

 あの時少年が口にした言葉も。

 あの時少年の心も。


「いやー、かわいかったな。あのゴールデンレトリバー」


 間違いじゃ、な、か……


「……は?」

 いま、こいつ、なんて言った?


「いや、ゴールデンレトリバーの子犬だよ。ある日女の子が抱きかかえてたんでな。思わず『カワイイな!』って言ったんだよ。……でも、レトリバーにしちゃ珍しく、懐かないヤツだったのか、それともその女の子の抱き方がよっぽどヘタクソだったのかしらないけど、すんげぇ吠えまくって……さ…………あ」

 撫でるような手つきのジェスチャーが、ピタリと停止する。



「でも、きっと泣き止めば、もっと可愛くなる」

「でも、きっとなき止めば、もっと可愛くなるのに」

「でも、きっと鳴き止めば、もっと可愛がれるのになぁ」



「……」

「……」


 気がついた。

 お互いに。

 真実に。


「……あー、そーいや、あの時はオヤジの姓だったな。俺」

 切絵の額に、一瞬で脂汗が湧いた。それとなく目をそらし、気がつかないフリをする。

 

 天佳としても理解はしたが、この()()では納得はできなかった。


「……くく」


 この数年間、こらえにこらえていたものが、胸を突き破り一気に逆流する。

 震える喉からは、笑いがこみ上げて、やがてそれは肩を揺らし、全身を震わせる。


「く、くくく……ははは、あっはははははは!」


 ここまで大笑いしたのは実にいつぶりだろうか。

 少なくとも、彼女の短い人生においては、おそらく記憶しないほどに遠い過去のことだろう。


 だが、そんな反応でしか、自分でも訳の分からないこの感傷の落としどころがわからなかった。


 ひとしきり笑った後は、言い知れない脱力感に襲われて、天佳はその場に手をついた。

「はぁー……なんか、百年の恋も冷めるって、このことを言うのね」

「……やっぱり恋、してたんじゃん」

「物の例えだっつの。まっ、でも確かに過去がガッカリなものだとしても、今ある私の美しさに影響があるわけじゃなかったわね」

「……ブレねーなーこの人……」

 真顔で言い切る天佳に、切絵は目尻を下げて苦笑する。

 だがそんな頬の緩みを、天佳は許せなかった。ジロリと睨み、萎縮させると、右手を突き出してグイグイ近寄る。


「慰謝料渡しなさい」

「詐欺扱い!?」

「宙ぶらりんだった気持ちの延滞料金、弁償してね」

「ラブソングの一節か!?」

「あんたの命で」

「ストレート☆殺人宣言!?」


 右手をそのまま握り固め、切絵に獣のように飛びかかった。

 切絵は高らかに助けを呼びながら、公園中を逃げ惑う。

 鐘楼を挟んで睨み合ったり、緑の上を駆けてじゃれ合う二人の間には、掛け値無しの、満面の笑みが浮かんでいる。


 二人がその事実に気がつくのは、まだほんの少し先の話。

この作品はフィクションです。

登場人物ウンタラカンタラ。


はい繰り返します。瀬戸内です。


気がついたらノリにノってしまい、思ったより長くなってしまいました。

前話含めて短めで済ませるつもりだったのですが、難しいものです。


それでも描写的にまだ自分でも納得できない部分も多いので、ひょっとしたら書き直すかもです。

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