第五節 1614年四月上旬 甲か乙か
半蔵に答えを突きつけ帰った信繁は江戸脱出を図朗と一度仲間の元へ。そして待っていたのは・・・。
第五節 1614年四月上旬 甲か乙か
信繁は、ゆっくりと目を覚ます。昨日一日、あまり眠れなかった。ここは江戸城の側。本来ならいつ殺されてもおかしくない敵の本拠地。しかも相手はこちらの位置まで指定している。殺そうと思えばいつでも殺せる。そう言う状況なのだ。だから、仮眠だった為、昨日や一昨日みたいな熟睡感はない。
「お早う。信繁~様。」
朝早く、眠そうな顔をしてしまが目を覚ます。
「はえーな。」
その声に顔を向けるとそこには、青海の姿があった。近くの柱に寄りかかり眠そうな顔で、ひょうたんに入った酒を煽っていた。
「お前。起きてたのかよ。いつもはもっと寝ているくせに。」
「口の利き方には気をつけな。せめて青海おじさんと言え。」
そう呆れると青海は近くの布団に潜り込む。
「どうだった?」
青海の少しいつもとは違う緊張した声が布団の中から聞こえる。
「これが結果だ・・・。」
「そっか。あと少し寝るから後は頼んだ。」
そう言うと青海は沈黙した。
「ん?何言ってるの?」
しまは不思議そうな顔をした。
「いいのさ。俺はもう少しここで庭でも見てる。お前は字でも習ってこい。」
「わかったよ。」
そう言ってしまは学堂に走っていく。向こうではいつも通り、寺の坊さん達が掃除をしている最中だった。
「お早うございます。あぁー。昨日の鍋旨かったですな。」
「そうだな。」
そう言うと内側を見ると筧が服を着替えている最中だった。
「頼みたい事がある。」
「はい?」
「半蔵の用件は終わった。だから、出立の準備だ。」
「は。」
その言葉に、着替え中でも筧は立て膝を付き、かしこまる。
「ここにいる内は大方天海殿を気使って来ないだろうから、準備ぐらいは出来る。そこで、2週間分の物資の調達を頼む。」
「!・・・。は。人数は3人ですね。」
筧は全てを理解したように頷くと覚悟を決めたような顔をした。
「いや・・・念のためだ。4で頼む。」
「了解しました。」
そう言うと、筧は持ってきた旅でもってきた道具を見渡し計算を始める。元々、筧を旅に連れてきたのは護衛の為ではなく、計算が得意な為だった。そのためこのような任務が得意なのだ。しばらく、道具の確認をすませるとそくささと着替え、筧は外に出て行ってしまった。
「おまえ・・・なに・・・あるんだ?」
気になったんだろう、筧の表情を横で見てしまは不安そうに遠目から覗き飲んでいた。
「ん?まだいたのか。」
「ああ。」
不安そうな顔をして信繁をのぞき込むがその表情はいつも通りだった。
「どうしたんだ。お前ら。何か・・こう・・・いつもと違うぞ。」
そのしまの顔は不安に満ちあふれていた。
「ま、いつもはこのぐらいの空気なんだが・・・。気にするな。お前は気にせず行ってこい。」
「え・・・信繁様・・・。」
「行ってこい。」
その信繁の少し強い押し切りに渋々学堂に歩いていった。信繁は立ち上がると、庭の縁を歩き始めた。これ以上ここにいればしまがまた泣きつきそうな気配だ。だが、そう遠くに離れるわけにはいかない。
「どうするか・・・。ん?」
ふと、庭を歩いていると、棒を振る少女の姿が見えた。当時、女性であっても護身用に剣を習わせる言えも多く、棒などを振るう少女自身は少なくはない。ただ、その場合でも父親とかの親と一緒な事が多い。しかも今は朝も早い。
「どうした。」
信繁は声を掛ける。
「ん・・・。おじさん。」
眠そうな顔をしてこちらに顔を向けるとその顔に見覚えがあった。来た当初にいじめられていた子だ。
「あ・・・そうだ。おじさん。けん・・・おしえてくれよ。」
「それか。振ってみろ。」
そう言うと、近くの地面にどかっと腰を据える。その様子を見て少女は棒を振ってみせる。だがその様子は剣の素振りとは遠く、棒を振っているとしか感じられない振り方だった。
「・・・どうして・・・剣なんてやってみたいんだ?」
「いつも・・・みんなに・・・イヤな事されて、嫌なだけだ。だからなんか・・・できないかとおもった・・・だけだ。」
「そうか・・・。それは大切だぞ。」
そう言うと信繁は剣を向いた。業物の一つで村正の中でも傑作の4つ振りの一つ”四法院”と呼ばれる刀で、当時上客だった真田家に献上された物だった。むろん後でお代と、鉱物使用の権利を与えられている。その傑作の一降りは戦場を意識された一本で、その刃先は太く、どんな甲冑でも割ってみせる剛刀だった。それを少女の側で構えると、何もない外の方に向ける。
「見てろ。これが・・・武士の一振りって奴だ。」
そう言うと、刀を上段に構え、その場で一瞬身体をこわばらせた。次の瞬間足を半歩擂り出すと刀を高速で振り下ろす。
「ん!」
その衝撃で少女の髪が巻き上げられ、周囲の草が波を立てそのざわめきが周囲にとどろいた。あまりの刃風に少女は目をつぶってしまった。開けた次の瞬間には何事もないように見えた。だが、その空気の振動は周囲にまだ影響を与えている・・・ように見えた。
「す・・・ご・・・い・・・。」
ふと気になった少女は地面を見つめた。地面には刃風で出来たであろう刀傷が地面にくっきりとついていた。
「本気の素振りだとこんなもんだ。どうだ。分かったか。」
信繁のその言葉に少女は首を横に思いっきり振った。その顔はさすがに青くなっていた。
「・・・ま・・・そうだよな。」
ぼりぼりと信繁は頭をかく。
「まずは構えてみる。」
「は・・・はぃ。」
そう言うと少女は急いで立ち上がると手に持った木の棒を構える。
「ふーん。そっからいくか。」
そう言うと少女の肩を掴むと片方を無理矢理引きずり、身体を半分傾かせる。
「まずはそのの体制のまま、振ってみな。」
その言葉に頷くと少女は振ってみる。少しだけ力がこもっている・・・気がする。
「その感じを忘れるな。ただ、そのままだと、剣を振っても当たらん。」
そう言うと信繁はまた構える。その姿に少女はびくっと身体を強張らせた。
「見ていろ。」
その様子を無視しながら刀を納め、足のみを踏み込む。その踏み込みのあまりの強さに少女は唖然としてしまう。
「この踏み込みに力を入れられれば振った彼方に力がさらに入る。振ってみる。」
「は、はい。」
少女は慌てて構え、振ってみせる。その様子はぎこちないものの少しは様になっていた。
「もう少し踏み込みを。」
そう言うと少女の前に回り込むと肩をがっしりと掴む。
「よし、足裁きだけ、剣を振る感じでやってみろ。」
「は・・・はい。」
そう頷くと勢いつけて身体を前に押し出す。それを信繁は両手でがっしりと受け止めていた。少女にしては・・・女にしては・・・この年にしては・・・強い打ち込み。その熱い思いをひしひしと感じていた。
「お前・・・変態か?」
その声に振り返るとしまが呆れた顔で立っていた。
「ん?」
「何か様子が変だったけど・・・恋人がいないのは分かるが、そこまで小さいのを手込めにするのは・・・。」
しまは何か汚いものを見る目で信繁を見ていた。
「手込めってなんだよ。ただ・・・。ま・・・だからな?」
「リッスン・・・?てごーめ?なに?」
「ま、いっか。関係ねーし。そうそう。天海様が呼んでたけど・・・。ま、ほどほどにな。」
そう言うと、しまは向き帰り、一目散に走っていった。
「何考えてるんだか。」
そう言うと改めて少女の方を見る。
「これで基本は終わりだ。後は・。・・がんばれよ。」
そう言うと信繁は肩のほこりを払うと、すたすたと宿坊の方へ歩いていった。
「昨日はどうでしたかな?」
天海は落ち着いた顔で茶を点てながら、信繁の顔を見つめた。
「ま、流石に私には家族がいてね。」
そう言うとじっと胸を張り老人を見つめた。
「・・・。そうですか。確かに家族がおられると色々充実してそうですな。」
天海はそう言うと茶を入れた器をそっと信繁の前につきだした。
「息子さんとかはおられますかな。」
「ああ。いる。ちょうど一歳になるかならないかだ。」
「そうですか。確かにかわいい盛りですな・・・。お飲みにならないので?」
そう言うと茶道具入れからそっと干し柿を取り出すと、先ほどの茶の横に器ごとやんわりと置いた。
「・・・ちょうど子供の事を思い出していまして・・・。」
天海はその一挙一頭足をじっと見つめていた。
「大丈夫。私はあなたの考えるような野暮な事は致しません。」
そう言うと天海は差し出した茶器を手に持つと少し口に含んで見せた。
「分かった。頂くとしよう。」
そう言うと覚悟を決めたように信繁は茶をぐっと飲み干した。
「どうですか?お味は。」
「なかなかのお手前で。」
そう言うとそっと茶器を天海の前に置いた。
「半蔵殿はどこまで言いましたかな?」
「・・・。浅井の方の事ぐらいは・・・。」
「それ・・・ですか・・・。」
そう言うと天海は遠い顔をした。
「まあ、このご時世です。どれが正しく、どれが間違いかはあなたが判断されるとよい。」
「・・・。」
その言葉に信繁は押し黙ってしまう。そう、少しおかしいところもあるのだ。
「あなたはもしかして・・・。」
「どうかされましたかな?」
「もしかして、あなた様はそれほど家康殿の事・・・。」
「それはどうか分かりません。ただ。私からすれば、お市の方の娘さん達は生きていて欲しいのです。ま、他愛もない願いですがね。」
「そういうもんかね。」
「私にとってはどちらも昔、大恩があるお方。その家族だけでもと願うのはやぶさかではありません。」
「そっか。」
「でもまあ・・・最近は本当の事に思えてなりません。」
「?」
「最近のあのお方は何故か様々な陰謀を・・・いやこれは他家の方であるあなたに言う事ではありませんな。」
そう言うと落ち着いて自分の分の茶器に茶を注ぐと、ぐっと飲み干した。
「私はある意味死人。いつ死んでも惜しくはありませんが・・・。」
「そう言うものか?」
「私はこういう局面の時ある言葉を覚えています。そのお方はこういう風に言っていました。」
”何も信用できない時はなぁ!感で行け!自分を信じて前に進め!何かが起きる!”
その言葉に弾けるように信繁は笑った。
「それ以来、人事を尽くしたその時は、私は何も考えず、勘で行くようにしました。」
その言葉に更に信繁は笑ってしまった。何を自分はしているのだろうか。
「私はあなたの事を気に入ったと申しました。私はただ、気に入った人間を失う事はないように・・・ただ・・・生きるばかりです。」
そう言うとじっとこちらを見つめた。
「分かった。」
そう頷くと立ち上がる信繁の顔は晴れやかだった。
「ありがとうございます。天海僧正。」
そう言って信繁は障子を開け放ち、足早に去っていった。
「・・・まだ伝えたい事が・・・。ま・・・この方があの方らしいのですが。」
そう言うと天海は立ち上がり戸棚を探り始めた。
「よ。」
朝焼けも近いとき、青海は眠そうな顔をして信繁を見つけた。
「よう。よく眠れたか?」
信繁は剣を一振りすると青海に向き返る。
「ん。大丈夫だが、お客さんとかは来たのか?」
「それはここにあの人がいる限りはな。」
「そっか。」
頷くと青海は近くの庭の石にどかっと腰を下ろす。
「結局どうなったんだ?」
「ん。断ってきた。」
明るく言うその言葉に後悔の文字は微塵もなかった。
「そうか。ま、予想通りだわな。で・・・どうするんだ。」
「ここに陣があると見積もっていたのだが、それはここにはないようだった。しかもあの様子では見せる気はない。」
「ならどうするよ。見に行くか?」
「大方偵察がばれないように各地の兵を集める手法をとると思う。偵察は大方無駄骨に終わる公算が高い。」
「ならどうするよ。」
「今それを考えている。一番簡単なのは北だと思うが、敵の数も多い上に山を最低2回も超えるのはきつい。」
「でも生きて出るのが、一番だぞ。」
「でも時間が間に合わない。予想が正しければいつでも出立できる準備を行っている。駿河(現在の静岡県静岡市周辺地域)周辺に部隊を展開しているなら、到着(大阪城に部隊展開終了)までに各地の部隊集合を合わせ、全部隊到着終了後一月はかかる。それまでにはつきたい。」
「その条件だと突っ切るしかないぞ。」
青海は髪はないものの頭をかきむしる。北に抜けて日本海まで出て、魚津に向かいそこから船に乗り、丹後につきそこから南下して今日に入り、そこから大阪に行けそうと言えば行けそうだが、そのためには徳川方に付いている上杉領を抜ける必要があり、それが難関でもあるが、駿河の本陣を抜けるよりは多少は楽だ。だがリスクが多いのもまた事実だ。
「だから考えている。ま、とりあえずは北だ。行ってから考えればいい。」
筧がそっと音を立てないように現れる。背中には背負子を背負い、一見すると修験僧にも見える。
「準備出来申した。とりあえず集められるだけの食糧とわらじなどの旅道具は集め申したが、これで足りるとは・・・。」
「一週間分ならどこかで調達すればいい。」
「で・・・今から出発か。だから・・・。」
「まあな。」
朝も薄暗く、大阪を出立した日を思い出してしまう。違いと言えば霧があるか無いかだ。
「あいつはどうする?」
そう言って部屋の中を見ると、しまが一人で寝相悪そうに寝ている。
「あいつもここにいればきっといい草になれる。それにきっとどっち向きでもあいつの出番は増えるさ。だから気にしないで置いていく。」
「了解。」
そう頷くと三人は立ち上がると正面に向かう。
「江戸はどうだった。青海?」
「まあ、悪い町ではないがこう・・・あの懐かしき大阪の雑多に比べれば、おとなしくて物足りんな。」
「青海にとってはだろ。私には・・・ま・・・ちょっと本が寂しいですな。昔いた京都とかに比べれば・・・まだまだですな。」
「俺は・・・まあ・・・好きには好きだが・・・いくか。」
そう言うと栓抜きを開け、門を開ける。
「・・・。」
目の前には天海と半蔵の姿があった。
「は?」
筧はあまりの事に唖然となってしまった。
「昨日・・・お伝えしませんでしたな。お見送りの為、しばらくはついて行こうかと思うと。ただ、急な出立なのは分かっていましたから、支度はしておきました。」
天海はにこりと焦る三人にほほえんだ。その姿は旅仕度らしく三度笠を持ち手荷物を抱えていた。
「でも・・・まあ・・・。半蔵殿は意外でしたな。」
「ふん。言ったはずだ。お主を殺す気はないとな。」
半蔵はそれらしい旅道具らしい手荷物は持っていた。だが三人に緊張は走っていた。
「ただで付いていく気はない。」
そう言うと、三人の目の前に書面を三つ投げつける。
「これは?」
「手形の書状だ。内府様直々だ。これでほとんど全ての関所は通れる。」
”え・・・。”
確かに信繁達は獣道を使い多めの日程で行く気はしていた。だが、これがあれば相当に短縮が出来る。街道を安全に通る事が出来て、しかも道は選び放題だ。
「これは?」
信繁は不思議そうに半蔵を見つめる。
「拙僧の分も・・・。」
「本来なら一条あれば全員通れる。気に召されるな。」
天海の言葉に半蔵は露骨に嫌そうな顔をしていた。
「どうして・・・。」
「言ったであろう。お主が帰るまでは攻めはせぬと。だから出立の日の朝に早馬をとばし、内府殿には、攻めぬように連絡はしてある。だから・・・。」
「は!?」
流石にこれに全員が絶句した。
「本来なら大阪城の工事後、すぐに攻める予定であった物を、お主の為だけに待ってもらっておる。」
「いや・・・。だから・・・ほんとうにしたのか?」
信繁すらもあまりの意外さに驚いていた。わざと意気込みを調べる為にやってもらっていた物を本等に真に受け行うとは思えなかった。
「それが”約束を守る事”だ。」
流石に全員が唖然とした。
「流石に拙僧でも・・・驚き申した。」
「まぁ・・・これぐらい出来なくては三河武士の名折れ・・・との言葉も頂戴してある。」
「流石に・・・それは・・・。」
筧達も驚いていた。今まであった武将の中でもこれだけスケールのでかい事は初めてでもあった。
「だから、せめて出て行くまでは見定めねばなるまい。」
半蔵はにやりとするとぐっと拳を握った。
「お主達の分は用意していいないぞ。」
筧は慌てていった。
「それは承知だ。」
半蔵はそう大きく頷いた。
「私はついて行ける範囲までと言う事で。」
そう言うと天海も頷いた。
「そうだ・・・この子も・・・一緒にいいですかな。旅の費用はこちらでお出ししますのでな。」
そう天海は言うと後ろに手を回す。そこから小さな女の子が一人、よろよろと出てくる。
「この子は・・・。」
信繁は見覚えがあった。朝練習につきあっていた子だ。
「この子は・・・いろいろな事を経験させたく思いまして。出来ればと。」
「お前・・・。もしかしたら山道とかいろんな事があってつらいかもしれないぜ。いいのかよ。」
わざと怖い顔をして青海は女の子を睨む。
「・・いい。・・・いい。私・・・もうあれ・・・以上怖い事なん・・・て・・・無い。」
少女はふるえながらもきっと青海を睨んでいた。信繁はその瞳に強い意志を感じていた。
”どおおおおぉぉおぉぉぉおぉおぉおぉお!りゃぁぁぁぁぁああぁぁぁ!”
その声が響くと信繁は後ろに腕を回すとその腕に勢いをつけた蹴りが刺さるが、それを軽くいなすとそのまま、全員の目の前に引きずりおろす。
「しま。どうして。」
「あんだけ騒いでいれば誰でも気付くぞ!」
しまはいつもの格好ながらも息を荒くし、じっとこちらを見ていた。
「お前ら、おれぇ、置いてくなんて・・・なんて薄情な!」
しまの顔を見ていると・・・うっすらと涙をにじませていた。
「お前はここで勉強しながら草を目指せばいい。俺たちはこれから・・・死ぬかもしれん。そんなのに付き合わせられるか。」
信繁の言葉にしまの顔は更に赤くなった。
「それは仕えるちゅー事には何ねえぞ?だかってそんなに信用出来ないか?」
「そうじゃないが。」
筧は慌てて否定する。
「なら・・・連れてけ。それが・・・俺が村長から受けた・・・任務だ。」
そこのしまの強張った顔の裏に頬をぷるぷると震わせ、ちらちらとこちらの表情を伺うしまの姿があった。
「分かった・・・なら付いてこい。お前ら・・・全員!」
そう言うと、信繁はひとかたまりの人々を押しのけ、北に向かって歩いていった。それを走って筧達が追いついてきた。
”もしかしてこれを予想してあれを・・・。”
筧は近づいて耳打ちした。
「なんとなくだ・・・なんとなく。」
そう言うと後ろを振り返る。そこには数多くの人間がいる。
”感で行け!感で!きっと何かが起きる!”
その言葉が頭の中をこだましていた。
少し短めでしたが、いかがでしょうか。只、不手際で、投稿が重なった事をここでお詫びします。