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異聞 真田信繁伝  作者: どたぬき
第一節1614年二月
20/30

第十八節 ムガールと呼ばれた王朝

出航した信繁たち一行に立ちふさがるなぞの一隻のガレー船。それはなんと・・・。

第十八節 ムガールと呼ばれた王朝


「みんな・・・これ・・・書いて。」

 美井が手に持った木の板の一部を指さす。

「おう!」

 船員達の掛け声が聞こえる。それになぞり、地面に乾いた筆で、字をなぞり、声を上げている。

”あれは何をしている?”

 気になったのか、ゴノヴァンは不思議そうな顔で船員達を見つめる。その中に筧や信繁達が含まれていた。

「アー。」

「あー。」

”あれはみんな・・・イギリス語か、フランス語か、習っているんだと思いますよ。”

 幹花が答える。甲板から外を見つめるが、先導する船を追いかけて見える船の景色はあまり変わりない。後方にも船は見えており、この船も、オランダの船団の一員でもある。

”どうしてだ?”

”・・・多くの者は地元の国の言葉で手一杯でして、ああして教育することで、少しでも理解できればと・・・。”

”そなた・・・お前・・・あの者達と同じ国の者ではないのか?”

「ゼヴェリカーン。」

「ぜ・・・ぜ・・・。」

「ゼ・・・ヴェ・・・リカー・・・ン。」

 ゴノヴァンは通訳としてずっと着いてくるこの美女を見つめた。東洋的な臭さもあるが・・・それを超して美しい・・・。

”私は昔・・・習ったことがありまして。”

”誰に?”

”平戸の商館長ですわ。”

”ああ。あいつか・・・。”

「大体・・・分かった?」

 美井が不安そうな顔をして見つめている。船長が先頭に立ち頷く。それに合わせて頷く。現在船は出航して三日目。船は半分ずつの交代で船を動かしてはいるが、暇な人間もいる。そこで、仕事がある者以外は言語などの好きなことを聞いて学ぶことにしたのだ。特に号令をかけても重要視したのは、言語であった。言葉が通じねば向こうで好きなことはできないと聞かされた船員達は、熱心に学んでいる。美井は幼いながらも言語をある程度(向こうで言えば子供程度の言語であるが)知っている為、せめてそれだけでも学ぼうと必死に勉強していた。それ以外にも信繁達の武術や計算。船員達の風の読み方、船大工達による応急手当の仕方や木の扱い方など、多岐にわたっていた。だがその多くはゴノヴァンは聞いてはいなかった。言語が違うのだから当然である。

”あれはいつまでやっているのだね。船長まで混ざるとは・・・ここでは恥も外聞もないのか?”

 ゴノヴァンが呆れた目で、信繁達を見つめる。信繁達は木の板を食い入るように見つめていた。そして言葉を復唱するたびに大声を出していた。ゴノヴァンは向こうを見るとその様子を向こうの船の船員達の一部が見つめている。何か声が聞こえてくるので興味があるのだろう。

”言葉のいくつか分かりませんが・・・食事が出るまでですよ。”


「やっと終わった。」

 信繁はのびをして甲板に出る。船は順調に追いかけており、夜も高速で進んでいた。船長室でも良いが、狭い部屋はやはり気が落ち着かない。

「船長。」

「すっかりその名前だな。」

 信繁が見た先では幹花が甲板で空を見つめていた。

「はい。」

「あいつは?」

 信繁はあまり目を合わさないように空を見つめていた。

「あの方は・・・。もう船室でお休みです。」

「そうか・・・。・・・・・・・・少し聞いて良いか?」

「はい?」

「出航のあの時・・・本当は何を待っていた?」

 信繁は幹花の顔を見てはいないがその声は真剣だった。

「・・・何をと言いますと?」

「何か物資だけではなかった気がしてな。」

「・・・・・・・・・船を待っていました。」

 少し貯めて言うが、幹花の声もまた・・・真剣そのものだった。

「船を?」

「正確には江戸行きの船を探していました。」

「・・・半蔵に何か言われていたのか?」

「いえ。」

 風がすっと吹いてくる。潮風ではあるが、夜風は少し肌に涼しい。

「じゃあ、あの時・・・お前はお目付役か?」

「はい。」

 その言葉に少し唖然とした。こうもあっさり認めてくるとは。

「正確に言うなら・・・あなたと国の内情等を調査する者です。」

「・・・・・・・・・内情?」

「はい。確かにあなた様は立派です。ですが船長としての才覚や、海への耐性の有無。そしてどのような人物なのか・・・お伝えしなくてはなりません。」

「それで・・・どうだった?」

「十分合格点ですよ。」

「それは良かった。」

 信繁は胸をなで下ろす。

「後あはあのシャム王国の内情を送りました。あれを元に向こうで判断されます。」

「そうか・・・。」

 長政の言っていた香辛料貿易等やオランダなどの状況を伝え・・・向こうで判断する。確かに向こうに伝えるに必要な内容だ。

「でも良いのか、俺にしゃべって。」

「それは・・・あなたなら感ずいている頃かと思いました。」

「そうか。」

 幹花もまた信繁の顔を見ず空を見つめる。空は星が輝き、少し明るいが、船の明かりも一部は照らされている。ふと横を見た幹花の顔は少しゆるんでいるようにも思えた。

「お前はどうしてこの船に?」

 ある意味ずっと気になっていることだった。女性の船乗りは今まで見たことはないし、ましてやこの危険な旅について行くとは思えなかった。

「私、あなたが決定するまで。この船の艦長になる予定でした。」

 驚いて幹花の顔を見つめる。

「私は・・・半蔵様に拾われて以来・・・学問一筋でした。平戸に行き、向こうの言葉を習い、半蔵様について忍びの技を習い。それ以外にも様々な修練を重ねていきました。」

「拾われたのか?」

「はい。」

 戦争孤児は当時多く、一部の子供等は拾われて育てられる事も多かった。それは武家、忍者ともに多く、時として由来の分からぬ拾い子を連れてくることなぞ、日常茶飯事であった。

「だから、一生懸命ついて行きました。」

 幹花の声が少し透き通っていく。半蔵といる時の声に近い。

「半蔵様は・・・私にこうおっしゃいました。」

「ほう?」

『お前のような才能のある者を埋もれさせるのはつらいが・・・今の日の本にそれを行かせるだけの場所はない。だから、外に活路を。』

 その言葉を語る幹花の声は恋する乙女そのものであった。

「とおっしゃったので。私は船の航海を学び・・・こうして船を統括することになりました。それがあなたが来る直前に変更になったことを聞き・・・」

 幹花の声が少し曇るのも分かるが・・・あえて無視した。

「最初はあなたを恨みました。」

「だろうな。」

 信繁は頷く。突然役目が変更されれば・・・しかもその準備に時を掛ければ掛けるほどその衝撃は大きい。しかも突然出てきたぽっと出の男だ。恨まないわけはないが・・・。

「ですが、半蔵様のご指名のお方です。早々粗相はできませんが。」

 流石にそこまでは分かってはいるようだ。

「そこで嫉妬に駆られるほど私は愚かではありません。」

 その声は少し怒りながらも凛としたものであった。

「そうだ。あのおっさんが下りた後で良いから頼みたいことがあるんだが良いかな?」

「はい?」

「しま。」

「はい。」

「あいつに半蔵仕込みの技の一部でも良いから教えてやってくれないか?」

「どうしてでしょうか?」

 その言葉にじっと信繁を見つめるが、信繁は空をずっと見つめていた。

「あいつ・・・。半蔵から技を教わってはいたんだけど途中みたくてな、練習しているみたいだから、できれば・・・な。」

 信繁の声に揺らぎがあった。幹花が振り向くと、信繁が幹花に手を合わせていた。

「・・・。」

 じっと見つめるが・・・信繁も微動だにしない。この気さくさが彼の魅力なのだろう。幹花は大きく息を吐く。

「分かりましたよ。ただ、暇にあったらです。」

 そう答えると、幹花は何かを思い出したように船室への扉に手を掛ける。

「ありがとな。」

 その言葉に何も応えるわけでもなく、幹花は船室へ向かっていった。


「おっ早う。」

 信繁の声が響く。船員の大半は暇時間にはこうして集められ、宿題等を見せ合っていた。

「おは・・・よう・・・ございます。船長。」

 船員達が寝ぼけた声で答えるが・・・暇と言うより・・・日が昇り始めた頃である。

「朝早いと・・・楽しいぞ!」

「いや・・・俺とかはもう少し寝かして欲しいが。」

 青海の声が聞こえる、眠い目をこすっている。当然ながら夜番が終わって寝始めた所を信繁に起こされている。

「今日ぐらい良いじゃないか。さみしいぞ。」

「信繁・・・今日も・・・あれやるの・・・?」

 美井の呆れた声が信繁の側で聞こえる。流石に連日会話教室で疲れたのだろう、声に出しただけでげんなりしている。

「今日は・・・良いよ。遊んでって言ってもな・・・。」

 周囲を見渡すが、子供が遊ぶだけのスペースはない。

「船長!」

 上から大声が聞こえる。

「なんだ!」

「向こうの船の様子がおかしいです!」

「何だと?」

「しかも、向こう側に船が見えます。」

 その言葉に全員に衝撃が走る。信繁は走って船首に向かう。向こうの船で何かどよめきが起こっており、船員達がどたばたしている。

「お前ら、幹花と筧を起こしてこい!」

「了解!」

 その言葉に船員の一人が全力で船室に走っていく。信繁が望遠鏡で向こうを覗くと向こうの船が向かい側に立っている。だが・・・帆の形や横からはみ出た棒・・・。オランダ船ともイギリス船、安宅船とも違う形だ。その時、幹花、筧、ドノヴァンの三人が船首にやってくる。

「どうしました?」

「前の船の様子がおかしい。」

 信繁の声に全員が船を見つめると、船尾に誰かが来て旗を振り始める。

”・・・ここに来て見つかるか!”

”何があったんです?”

 幹花が不安そうにどのヴァンに聞いてみる。彼は焦った顔で旗を見つめている。

”お前ら手旗・・・あ・・・そうだな。お前らはあれを知らなかったな。あれは手旗信号。通信手段だ。・・・あれによると、敵船遭遇。戦闘態勢をとれ・・・だそうだ。”

「船長。あれは敵船の模様です。戦闘態勢を取れとの事です。」

 前の船は方向を変え、広がろうとしており、前の船は敵船から逃げはじめ、後続の船は停止して、様子を見ていた。・・・前の船は・・・。旋回しつつ砲撃を加えるようだが・・・。敵の船は突撃する模様だ。なら!

「鐘鳴らせ!前の船の反対側から挟むぞ!」

「応!」

 信繁の掛け声の下見張り台の男は鐘を鳴らし、操舵士は前の船の反対側に陣取る。

相手は・・・一隻。各船員が戦闘態勢を取る中、信繁は船首から望遠鏡を見つめる。この船に積まれた鐘は、戦闘態勢を意味していた。どんなことがあろうとこの鐘が鳴る限り、戦闘は続いているのだ。

「砲撃部隊!砲門を開いたまま待機!」

「了解!」

 その言葉に船員の一人が船室に全速力で走っていく。その間にも向こうの船の砲撃は開始されてはいるが、敵の船の船足は速く・・・あの棒は艪か。

「船首に撃て!」

「了解!うてぇぇえぇぇえぇぇ!」

 その言葉に全員が大声を上げる。次の瞬間船の大砲がうなりを上げる。撃たれた大砲は船首近くの海に落ち・・・。水面を揺らす。一部は船に当たるが船側がゆるむことはなく、そのまま突撃する!前の船は揺らぎ大きく揺れる。どうも相手は複数相手でも戦い慣れているようだ。

「船室封鎖!戦ができるものは切り込むぞ!準備しろ!」

 向こうにつきあうのはしゃくに障るが、向こうが全滅するよりましだ。幹花もあのドノヴァンとか言う男に説明している。その言葉に顔を青ざめさせているが、向こうの船の船員が全滅するよりましだ。船員の一人が走ると戦に必要な切り込み部隊に声を掛ける。着く直前には船室に鍵を掛け、中への突入を防ぐ。表には甲板一杯の男達が構えている。

「お前ら。この様な突発なので悪いが・・・。俺に命を預けてくれ!」

「おおー!」

 信繁の声に声を上げる。全員戦専用の格好をしており・・・いや、ドノヴァンだけは普段の軍服のままだ。むしろその信繁達の様子に驚いている。その間にも向こうでの戦闘が始まっている・・・様だ。迫ってはいるものの肉眼では中々確認できない。

「船を体当たりさせろ!」

 信繁の掛け声に合わせ、敵船めがけ船を直進させる。向こう側では気が付いた複数の船員達が慌ててこちらを指させいているが、それはもう速度が乗り、勢いが付いた後であった。

「ときの声を上げろー!」

「おおぉぉぉぉぉぉぉおぉおおおおおぉおぉぉぉぉぉぉおおおおおぉぉぉおぉおおおお!」

 信繁の声が上がる。それに合わせ全員が雄叫びを上げる。ドノヴァンはその異様さと声の大きさに耳を塞ぐ。その直後体当たりするがお互いの船が揺れるが、信繁達の船の乗員達は足だけで踏みとどまり、もう一つの船の船員達の一部は船から揺り落とされる。衝撃から耐えた後すぐに船首から相手の船に飛び乗ると、手短にいる人間を太刀で切り裂く。

「人命優先だ!捕らえろ!」

 そう言い放つと船員達は信繁について船を飛び降り、次々に敵船に入っていく。

”・・・あれは・・・海賊かね・・・君たちは?”

 船上から呆れて信繁達を・・・ドノヴァンは見つめていた。

”いえ・・・私たちは・・・輸送船ですよ。一応ね。”

 冷たく幹花があしらうが、戦闘している信繁達の姿をただじっと見ているだけであった。相手の機先を突くことができたらしく、戦闘具合は上々である、乗り込まれた船の船員達も勢いずいて攻勢を掛ける。その様子をじっと青海も船の上からじっと見つめる。

「あなた・・・。」

 幹花は呆然と見つめるドノヴァンを放置して、青海の側による。隊長である以上は敵船に乗り込む必要もあるが、彼はただじっと見下ろすばかりであった。

「まあな。あんたに治してもらったのは良いが、どうも腕力がまだ・・・もどらねえ。」

 腕を見つめると傷跡は完治しているようだが・・・。血が出てないだけかもしれない。

「そう。だったらせめて・・・あれぐらいは・・・どうにかしてもらえるかしら。」

「わ・・・分かった。」

 そう言って指さした先には根性でこちらの船の乗り込むべく、縄を引っかけ上ろうとしている兵士達が見える。急いで青海は走ると手に持った錫杖で兵士の横っ面をぶん殴る。

流石に腕力が衰えたとはいえ、これぐらいはできるようだ。


”お前達は生きて返すわけにはいかない。罪人を裁く権利は我々にある”

 敵の船上で縄で捕らえた船長以下数名がオランダ人船長の目の前にいた。ゴールディの船はもう少しで合流するそうだ。ドノヴァンが偉そうに彼らの顔を見定める。船員達が直立していることとからも、ドノヴァンが船員達よりも偉いことが分かる。

「あいつら何で船を襲ったんだ?」

 不思議そうに信繁は彼らの服装を見る。頭に布を巻き付けてはいるが鎧も立派で到底海賊するように見えない。

「さあ・・・私には。」

 となりで整列している筧達に聞いてみるが、分かるものはいなかった。

”お前達はオランダの法律にもとずき・・・処刑する。”

 船員達はさも当然のように彼らを見つめる。その異様さに全員が飲まれる中、ゴールディの小舟が到着する。

”ドノヴァン中将。遅れました。”

 ゴールディが船に上がるとドノヴァンに一礼する。

”遅かったな。彼らの処分だが。”

”はい、処刑が良いかと。”

 ドノヴァンも即座に頷く。

”ただ、斬首は船が汚れるので、追放がよろしいかと。”

 ゴールディの言葉に少なからず、幹花は驚いていた。

「どうした?」

 幹花の顔色を見ていた信繁は不安そうにのぞき込む。

「彼らは処刑されるようです。」

「だろうな。でも・・・お前も戦を知るなら・・・死傷者ぐらいは・・・。」

「私は・・・戦い中に人が死ぬのは構いませんが・・・こういうのは嫌いです。」

 この時、しま達は戦闘には参加させたものの、念のため、船内に戻してある。この場にいるのは青海、筧、幹花と信繁の四人だけだ。しばらくじっと見ると、海へ一本の木を突きだし、その側へ歩かせる。

「連中は捕虜を取らないんだな。」

 青海が目を伏せていた。

「だな。」

 筧が答えるがオランダ人の様子だけをみいていた。信繁も目を伏せる中、ぼちゃ、ぼちゃと水の音だけが定期的に聞こえ、音が無くなる頃にはもう人々はいなかった。

”感謝する”

 ゴールディが歩いてくると信繁にまたも手を突き出す。何を言われるまでもなく信繁は手を握った。

”君たちがいなければこの船は襲われて、略奪されていた。”

 信繁もこれが感謝であることだけは、最近の学習の結果分かってきた。

”当然のことをしたまでです。”

 幹花が答えた。

”あなたは?”

”私・・・も・・・通訳の一人です。”

 何かを思い出して幹花が答える。そう言えば先日行った時には別の人が通訳だと聞いていたが・・・。

”そうか・・・可愛いお嬢さんですね。”

”いえいえ。”

 軽く幹花は微笑んでみせる。

”戦利品は・・・無いから、この船は船員を乗せ、曳航する。”

”あれ・・・あれが船員の全てではないのですか?”

”ガレー船だから・・・漕ぎ手達をセイロンで解放する。”

 そう言うと、ゴールディが手を挙げると船員達は船室に入っていく。しばらくすると、不思議な模様の旗を下ろしていく。

”すまないが。コーディ。”

”なんでしょう。”

 ゴールディとの会話にドノヴァンが来る。その間も船員達は忙しく作業を始める。

”私はいささか船長室に椅子のない生活に飽きた。そっちに行って構わないかね。”

”・・・分かりました。すまないが君。”

 ゴールディは幹花の方を向く

”すまないが港はすぐそこなので、そこまでついてきてくれないか?ドノヴァン殿はこちらの船に行きたいとのことだから、すまないがよろしく頼む。”

”わ、分かりました”

「信繁様。どうもこのドノヴァン殿は、向こうの船にお帰りになり、近くの港に行くようです。後は付いてきてくれと。」

「分かった。よろしく頼む。では我々は船に戻る。」

”では我々は船に戻ります。”

 そう一礼すると、信繁達は船をさっていった。

”どうでした?社長。”

 ゴールディは去っていく信繁の姿をじっと見つめていた。ドノヴァンは苦い目で信繁達を見つめる。

”まあな・・・。流石に船長室に椅子がないのは斬新だったが・・・。”

”え・・・あれは冗談では?”

”一度こっそり覗いてみたが本当に椅子がないので・・・居座るのを諦めたよ。”

”変わってますな。”

”でも・・・連中は海賊みたいな連中だ。腕っ節が強い。あれならと言いたいが・・・野蛮な者は嫌いだ。”

”でもあれがあれば、本国まで物を持って帰れます。”

”確かに。本国に行きたいとか言っていたな連中は・・・。護衛にはあのような連中でも・・・後で、旗を渡しておけ。付いてこないならそのままだ。私はこっちで戦利品のチェックを行っておく。お前らは先行しろ。後でついて行く。”

”は。”

 ゴールディはお辞儀をすると小舟に戻っていった。

 

 船は追走を始め、夜になるまで、今日の勝利を祝して酒宴をしていた。今度は先行する二隻に着いていくことになっていた。ずいぶん楽になった気がした。

「今日は勝ち酒だ。しっかり飲んでくれ!」

 筧がそう言うまもなく皆は椰子酒に舌鼓を打っていた。今日ばかりは美井もしまも酒を無理矢理飲まされていた。(当時は大丈夫ですが、今は法律で子供に酒を飲ませるのは禁止です。)

「お前。」

 酒宴の席からはずれ青海は椰子酒を飲みながら空を見つめていた。この頃の空は美しく、星を見ているだけでも酒が飲めるほどに・・・輝いていた。

「どうした。信繁。」

「おめえ。」

 青海の腕を握ろうとするが、それを青海が突っぱねる。

「お前・・・あの時の怪我・・・。」

「気が付いたか。」

 青海はじっと見つめる。夜も深いが、見張り台の明かりで少しは顔が見える。何ともいえない顔で青海を見つめる。

「お前・・・いつから・・・。」

「まあな。船に乗る前に医者に行ったんだけどよ。」

 じっと信繁は青海を何ともいえない顔のまま見つめる。

「どうも治りが遅いらしい。」

 青海が傷を見つめる。実際ナイフの一撃を食らった時、相手を死に至らしめる毒を含んだナイフの一撃を食らい、更に傷口に破片が入りっぱなしだったことを考えると、相当運が良かった部類でもある。

「何で・・・。」

 青海は椰子酒を煽ると海を見つめる。前の船でも宴会らしく、騒がしい声がこちらにも聞こえる。

「ん・・・。俺だって足で・・・。」

 その瞬間青海の体が吹っ飛ぶ。

「て!てめえ!」

 青海が立ち上がると殴りつけた格好のまま・・・信繁が立ち止まっていた。

「何で・・・。」

 つぶやくような信繁の声が・・・酒宴の声に混ざって聞こえてきた。青海はじっと見つめる。しばらくすると鼻をすする音も聞こえてきた。

「おめえさ。」

・・・。

「何もしていない怪我人の俺が普通は泣きたいぐらいだが・・・。聞いて・・・。」

 青海は立ち上がり信繁に近づく。ポチャ。水滴がしたたり落ちる音が聞こえる。

「おめえの様な泣き虫の・・・。」

 ポチャ。

「そう言うのを・・・。」

 ボチャ。ボチャ。

「見た・・・。」

 そう言う瞬間青海は信繁を抱きしめる。信繁の体が小刻みに震えているのが分かる。

「くないからだ。な。」 

「でも・・・。」

 信繁は青海の顔をじっと見つめる。あの時の怪我は自分を庇ってできたものだ。

「本当ならこれが見つかったら・・・船を下りるつもりだったが・・・。」

「・・・。」

 じっと青海を信繁は見つめる。青海の頬にも涙の跡がくっきり見える。

「一緒にいてや・・・。」

 その言葉の最後も言いきらぬうちに信繁にぎゅっと抱きしめられる。最初はとまどったが、しばらくして青海は信繁を突き放す。

「青海・・・。」

 青海は片膝を付くと頭を下げた。

「俺は、あんたについて行く。」

「青海・・・。」

「いいな。」

 青海の震えながらもしっかりとした声が聞こえる。

「分かったよ。頭を上げろ。」

 信繁の声に青海が立ち上がるとまた、ぎゅっと信繁が抱きしめる。

「飲もう。・・・今日は・・・飲もう。」

 そう言うと信繁は、青海の手を引いていた。お互いの何ともいえない顔がその全てを物語っていた。


 戦闘が起きた四日後には一部小競り合いが起きたものの、無事にセイロンの町に到着する。当時この辺一体の一部はオランダによって港が築かれ、食料などの輸出を行っていたが、当時の役割は東南貿易での中継点である。当時のムガール朝は北部などの利権あさりに夢中で南海の防衛をイギリスの東インド会社などに委託していた。だからかインド南西部ではセイロン以外の都市では寄港できず、インドの南岸を越したこの町にしか止まることはできなかった。

”君たちには感謝する。”

 全ての船が寄港した後に信繁の船をゴールディとアルフレッドが訪れていた。

”それは・・・。”

 ゴールディは手に持った旗を信繁に差し出す。

”これか。まあ・・・。オランダの縁者であるという印の旗だ。これがあれば、オランダの力が及ぶ港で、補給ができる。感謝の印だ。受け取ってくれ。”

”ありがとうございます。”

 幹花が代表で受け取る。

”我らはしばらくここで数年ぶりの再会を祝っているつもりだ。君たちも良ければせっかくのインドだ。滞在していってくれ。”

 そう言うとゴールディは去っていった。

”あなたは?”

”せっかくだから、一緒にいようと思ってね。この子のこともあるし。”

 そう言うと甲板に走って子供がやってくる。ソラだ。

”あそぼ。”

”うん。”

「俺・・・行ってくる。」

 しまも嬉しそうにソラ達と遊びに行った。

”良いですな。子供は。”

”ですね。”

 信繁が答える。

”あんた・・・しゃべれるのか?”

 驚いた顔でアルフレッドは信繁の顔をみつめる。

”ええ・・・まあ・・・少しは学んでいる所です。”

 少し・・・幹花はにやけてみせる。

”そうか、通訳もいるもんな。”

”はい。”

「何て言ってるんだ?」

「なんか・・・その旗があれば、オランダの港で補給が受けられるようになるそうです。後・・・数年ぶりにこの港に寄ったとか・・・。」

 幹花に言われて旗を見つめる。みっつの文字が組み合わされた旗で、オランダ東インド会社の旗印である。

「少し聞きたいことがある。

 その言葉に信繁は真剣にアルフレッドを見つめる。

「数年ぶりとは・・・。どうしてこの港に来れなかった?」

 幹花は不思議に思いながらもそのまま約して伝える。

”勘の良い。話が長くなるので、夜の食事をしながらでもお伝えしましょう。”

「夜に食事をしながら、どうでしょうかとのことですが。」

「了解したと伝えてくれ。」

”分かりました。夜にでも。”

 そうお辞儀するとアルフレッドは立ち去っていった。

「何か・・・立ち入った理由がありそうだな。」

「はい。」

 頷く二人であったが初めての地に驚きを隠せなかった。


「でもまあ・・・建物が白いな。」

 珍しそうに青海や、筧達を連れて散歩をしている。インド特有の建物で白壁が用いられている。しばらくして移植者達が茶を広め、そしてここは紅茶の産地となるのだが・・・それはまだ先の話でもある。この頃はただ人々が住んでいるだけで、産地としては機能していないが・・・港町と言うこともあり、町の外に外出しなければオランダ語での会話は可能である。

「ですな。こうも異国というのは建物が変わりますかな。」

「酒はあるのかよ。」

 青海も見渡すが、それらしい物はない。しまと、美井は船でソラと遊んでいる。船員達に見張らせているし・・・早々危険はない・・・と思う。

「そう言えばこれ。」

 幹花は手に持った銀貨を見せる。

「それは?」

「どうもオランダのお金のようです。」

 そう言って手を広げた先に人の顔が描かれた銀貨がある。

「それは?」

「アルフレッド殿が、これで遊んでこればと、別れ際に頂きました。」

「それがこのあたりの貨幣のようだな。」

「変わっていますな。」

 信繁は不思議そうに貨幣を見ると、口で噛んでみる。

「これは・・・銀だ。」

「それは・・・でもまあ・・・・ほんと屋根に烏帽子がついたり・・・。本当に変わっていますな。」

 筧は見渡すとイスラム建築が幾つか見える。

「飯はどうする?」

”すいません。食事できる場所はありませんか?”

 幹花が聞くと、通りすがりの人に指を指される。その先にはいくつものテーブルが並んでいる。その場所に行くと発破に何かをのせて食事をしている人々がいた。

「これが・・・食事か?」

 青海が露骨に嫌そうな顔をする。米を手で掴み香辛料と混ぜて口に入れる姿は・・・いくら戦国時代の男子たれど・・・少し気味悪がってしまった。

「まあ・・・なあ・・・。」

「たべましょう。」

 そう言い幹花は席に着くとそれに合わせて男達も席に着く。それを見て店の男が席に着く。

”これで食べれるだけ頂戴”

 そう言って一枚の銀貨を除いてテーブルの上に置く。それを店の男が持ち去るとしばらくして、米といろいろな粉がおかれた葉っぱが各自の前に置かれた。

「これがここの食事か。」

「・・・ですな。」

 青海達が呆れる中、信繁も不思議そうにさわってみると・・・。

「炊いてはあるが・・・乾いているな。乾し飯だ(当時の戦国での保存食で、水につければある程度米に戻る。よく兵士達はこれで食事をしていた。)。これ。で・・・これを混ぜるのか。」

 そう言って手で粉を混ぜて口にする。

「何かこれ・・・。」

 信繁か食べたのを見て各自口にする。

「これは・・・。苦い。酒もないし。」

「何か・・・薬飲まされているような。」

「これは・・・。漢方・・・ですよね。」

 最後の幹花の声に全員が注目する。

「よく・・・兵糧丸(忍者が用いる簡易栄養剤。漢方などが配合され様々な効果の物が製作されている。日本の医薬品の原点の一つでもある。)とか作らされていた時に・・・良く似たものをなめたことがあります。」

「そうなのか・・・。」

 じっと信繁は粉状の物を見つめる。もし漢方なら何の効果の薬かよく分からないが・・・。

「でも大丈夫でしょう。」

 そう言うと幹花は更に一口食事を口にする。

「そうか。」

 そう言うと各自黙って食事を始める。これを食べながら・・・何か話をする気は起きなかった。肉や魚を食べていたあの頃が懐かしい。それが全員の考えたことでもあった。

「でもまあ・・・こんな国とかに、いくつも行けると思えば旅も冥利に尽きるな。」

 青海は周囲を見渡し口にする。量はは少ない物の、それなりに満足はしたようだ。

「でもさ・・・あれ・・・なんか旗・・・多いよな。」

「出し物の旗とかではないのか?」

「あんな小さな旗・・・出し物ではあるまい?」

 指を指した先には少し大きな奇妙ないくつもの四足歩行の何かが書かれた文様が見える。確かに旗は小柄であるが、入り口に衛兵がいる為、それなりの場所なのだろう。頭に巻かれた布が変わってはいるがそれがこの土地の物なのだろう。でもあの旗・・・。

「ま、食べたら行くか。めぼしい所もないしな。」

「はい。」

 粗相信繁にせかされると、急いで残りをかき込み、足早に船に戻ってくのだった。


”よくおいでくださいました。”

 信繁は教わった言葉をたどたどしく言うと、手を差し出す。ソラは暗く全員が帰ってきていたが、ソラも久しぶりに一緒と言う事で、ソラとアルフレッドはこちらに泊まることになっている。

”お迎え感謝するよ。”

 そう言ってアルフレッドは握手を返す。

”でもまあ・・・船を助けていただいたのは感謝するが・・・食事をするのかい?”

 不思議そうに見渡すと幹花が手招きをする。しばらくすると船長室にアルフレッドは呼ばれた。

”茶にご招待いたします。まあ・・・儀式みたいな物だと思って。”

 そう船長室に三人が入る頃には月が空に上る中・・・船長室は照らされていた。先にワラジを脱いで、信繁は脇にあった座布団をそっと前に出す。

”くつは・・・。”

”ここでは脱いでください。”

 滅多に靴を脱がない彼も紐をほどき、無理矢理脱いだ。

”この上に。”

”はい。”

 アルフレッドは座布団を指さす。気に入った来客をもてなす為に幾つか持ち込ませた物の一つで絹と木綿で作られており、高級品である。半蔵は好きではなく、、信繁自身も木の皮を編んだ物の方が好みではあるが、偉い人はこういう柔らかい物が好みと聞き、あえて用意してみた。ちょうど船室に月明かりが差し、窓から見える月は鮮やかだった。

”少しお待ちを。”

 そう言うと不作法ながらも固定台座から安物茶器を取り出し、抹茶の粉を入れ始めた。幾つか半蔵に頼んで高級品を持ち出そうとしたが・・・流石に予算が足りなかったのだ。

”なにをするんだね。私は食事を・・・。”

”歓迎の証です。”

 幹花はじっと正座して見つめていた。作法には慣れていないが、とりあえず目の前に茶を出して見せた。

”これは。”

”お飲みください。”

 そう言われて慌てて抹茶を一口飲んでみる。

”これは・・・。”

”この地の食事はあまり・・・口に合わないかもしれないので、それでこれを。”

”そう言えば日本ではこういうのが流行りだと、聞いたことがある。”

 そう言い、月明かりに照らされた茶を一口すすってみる。意外とこくがあり・・・苦い中にも旨みがある。

”おいしいですか?”

 信繁はじっとアルフレッドを見つめる。

”まあね。感謝するが・・・もう少し腹の満たせる物を。”

 フランクながらも笑ってアルフレッドは茶器を側に置いた。

”分かっていますよ。”

 そう言うと幹花は船室のそばに頼んでおいて置かせた食事を三人分用意する。地元の魚を用いた香辛料を使った焼き魚と日本風の米の飯。そして地元の香草を軽く醤油で浸した物だ。信繁はあえて先に箸を付けてみせる。アルフレッドは清にも行ったことがある為か、箸の使い方は知っていった為、即座に箸で魚をほぐし始める。軽い味付けの為か、あっさりとした味だ。

”これは・・・。”

 驚いた顔で魚をアルフレッドは見つめる。今まで食べた食事の中でも珍しく・・・。質素ではあるが、臭みはなく、おいしい。

”どうですか?”

 信繁は驚いた顔に、内心にやけながらもアルフレッドの顔を見つめる。下の船室でも焼き魚とかを使った食事が振る舞われている。

”これは・・・うまいな。”

 そう言いながらも、不慣れな箸でちょこちょこ食べていた。

”さて、本題にしようか。”

 食事も一段落した後、じっと信繁を見つめる。

”はい。”

 幹花が頷く。

”確か、何で数年ここに到着するのにかかったのかだったよね。”

”はい。”

 じっと窓を見つめる。

”君は先日戦っていた相手・・・なんだと思う?”

「船長。先日の敵はなんだと思うだそうです。」

 小さな声で幹花が耳打ちする。確かに幹花もまた相手が何なのか、あの様子では理解できなかった。

「ここの地元の部隊であろう。」

”地元の者でしょうか?”

”・・・凄いな。半分あっている。”

”え?”

”このムガール朝は今、数多くの国の利権が乱立している。その中でも一歩上手なのが、イギリスだ。”

”イギリス・・・。”

 流石に信繁もこの言葉には聞き覚えがあった。

”イギリスは近年この辺一体に通るイギリス以外の船へ拿捕の命令を出している。そのため、他国籍の船がインド洋を通ることはできなかった。しかもムガール朝の船が私掠船を出す為、海賊が横行するよりもたちの悪いことになっている。”

”しりゃく・・・せん?”

 聞き慣れない言葉に幹花もまた怪しそうな顔をしている。

”単純に言えば、国公認の海賊だ。”

”国が認めた海賊・・・ですか。”

「戦闘。あれは国が認めた海賊だと・・・。おっしゃってます。」

 その言葉に信繁の顔もゆがむ。

「国自身が海賊するのか、この国は!」

”だから、ある程度の武力のある部隊が強行突破しないと航行さえままならない。”

 この時、イスパニア艦隊がイギリス海軍に敗れた後(30年ほど前)である為、イギリス海軍をおそれて、オランダ船の船員達がセイロンに向かおうとしなかったのが現実であっても、それを伝える義理はアルフレッドにはない。

「じゃあ・・・俺たちの船が必要なのは・・・そう言うことか・・・。」

 最初は強く言おうと思ったが、考えがまとまるに連れ声が小さくなる。確かに国が認めている海賊なぞが海にいる限り、安全とはいえない。あの時兵士達を殺していたのは・・・そう言うことか。

”でもこれで、帰りまではどうにかなる。難所は多いが、とりあえず一つは超えた。”

「難所を越えたとか言っています。」

「難所か・・・確かに。」

 信繁はじっと考えていた。確かに難所ではあるが、この先の国もこうである可能性は高い。それにこの話なら報復さえあり得る。

”よけれ場で良いが、君たちは本国に向かうのだろう。”

「オランダへ向かうのかと聞いています。」

”ああ。”

”なら、一隻だけでよいから一緒に同行させてもらえないか。”

「一隻だけ、追走するそうです。」

「どうしてだ?他の船団もいよう。」

 不思議そうにアルフレッドを見つめる。

”どうして・・・一隻しか付いてこないの?”

”これは出発まで明かして欲しくないが・・・。他の船はすぐにアユタヤに引き返す。”

”え・・・。”

”このセイロン・・・アユタヤ間以外は航路がつながっている為、荷物は運べる。ただ、このセイロン-アユタヤは間にイギリスがいる為、その前が数年ぶりというように恥ずかしい話だが、航路が成り立ってはいなかった。だから、本国に送る荷物を一気に今回の分で運びきったのだ。だから、後は必要のない船は引き帰らせる。”

「どうも、こことアユタヤ間はほとんど通行がないらしく、今回の出航は我々がいたから強行突破したとのことです。ですから、この先は安全なので、他の船は向こうの作業に戻すそうです。」

 信繁はじっと考えている。それはそうだが・・・そこまで危険なら何で講和などを結ばないのか・・・。ただこの先・・・この海域が安全なら・・・。オランダまではすんなり行きそうだ。

”後は先行して帰国が必要な人員以外はアユタヤに返し、本国へ帰る必要がある人間は一隻に乗り・・・荷物はここに置いて、後続部隊に任せる。”

 アルフレッドの言葉に顔を険しくしながらかみ砕いて幹花は伝える。

「後から付いてくる予定の船は人員のみが乗り・・・荷物はほとんどここにおいておくそうです。」

「囮か?」

”餌・・・ですか?”

”餌・・・。かもしれないが、ここにある荷物だけでさえ、我々が一生遊ぶだけの金額がある。慎重にもなろう。”

「だそうです。」

「なら・・・この周辺一帯の海域の地図をこちらに頂けぬか?」

 その言葉に幹花は内心驚く。

”行くなら・・・この辺一体の海域の地図をいただけないかとのことです。”

”・・・。”

 じっとアルフレッドは信繁の顔を見つめる。月明かりから伺える顔は・・・じっとこちらを見ていた。こちらの考えは見抜かれているようだ。しかもどちらを向こうが狙うのか・・・考え抜いてのことだろう。ドノヴァンの考えなら、商用船三隻を囮にして、こちらを通すとのことだが・・・向こうに戻るゴールディは別のことを考えていた。それは向こうは数が少ない方を狙うかもしれないとのことだった。それを読んでのことだろう・・・。

”すまないが個人的な事になるが・・・頼まれてくれないか?”

”なんでしょうか?”

”ソラを日本に連れて行ってくれないか?”

”え・・・息子さんですよね。”

 幹花は驚いてアルフレッドの顔を見る。

”確かに息子ではあるが・・・。今のオランダの状況を考えれば・・・危険な橋を渡らせたくない。それに・・・。”

”それに?”

”平戸の商館長のヤックスから良い所と聞かされてな。”

”ああ。あのお方ですか。”

 幹花が頷く。通訳などの言語の勉強の為、ヤックスと謁見し、彼の部下と付きっきりで言語を教わっていた。ある意味恩人でもある。

”知っているのか?”

 アルフレッドは意外な顔をしていた。主計長の彼は仕事だけの関係に止まらず数多くの便宜を図ってきた仲である。親友と言うほどではないがかなり親しい。

”はい。日本ではお世話になりました。”

”そうか。”

 アルフレッドの気が軽くなる。

”なら、私の独断で紹介状を書いておきましょう。手紙を書くのに少し時間をいただけますか。”

”了解した。”

”なら先程の件は・・・。”

”分かった。私が持ってこれる範囲で持ってこよう。”

”ありがとうございます。”

 幹花は微笑んでアルフレッドを見つめる。つい微笑んでァフルレッドも見てしまう。この月明かりの中・・・端麗な顔つきは更一層美しく見える。

「さて・・・話がまとまったなら・・・もう少し行きましょうか。」

”もう少し飲みませんか・・・。”

”いや・・・明日には第一弾が発つ。誠に惜しいがこれで失礼させてもらう。”

 そう言うとあぐらをかいていたアルフレッドは立ち上がり、一礼をし、その場を去っていった。


「でもどうして・・・海図なんかを要求したんです。」

 幹花は不思議そうに聞いていた。アルフレッドを入り口まで送っていった後、青海達が船長室に、酒を飲みに押しかけていた。

「海図?」

 部屋に押しかけて落ち着いた時の第一声がこれの為、流石の筧も不思議そうに信繁を見つめる。

「ま・・それは後で説明する。とりあえず・・・。皆・・・。この先も本国まではオランダの船に先導してもらえることになった。」

「おおー。」

 全員の感嘆の声が響く。

「だが・・・問題もある。先日戦闘した船。」

「ああ。」

 青海は大きく頷く。

「あれ・・・どうもこの国の船らしい。」

「へ?」

 筧が驚いた顔でじっと信繁を見つめる。

「そりゃあ・・・海賊といえど・・・。国ぐらいは・・・。」

「いや・・・どうもあれ・・・この国の海軍の者らしい。ま。俺たちと立場は似てるがな。」

「と言うことは・・・警備隊ですかな?」

 筧の顔が青ざめるのが暗い中でもよく分かる。

「いや、国自身が認めた・・・海賊らしい。」

「何か・・・たちの悪い話だな。」

 青海が嫌そうな顔をして、椰子酒を煽る。青海自身、清酒は向こうに無いと諦め、日本酒はしばらく保存しておくそうだ。

「だが・・・大方向こうではあの装備だ。それなりの地位があろう。だと知ればメンツを傷つけられた連中は・・・。」

 信繁はぐるりと周囲を見渡す。緊張した顔になっていた。

「仕返しに来る。」

 幹花が答える。そこから先は予想が付く。

「しかも、この先先導する船は一隻で後は帰還する。」

「へ?」

 今までは5隻以上の大軍だが、これからは二隻で進むことになる。

「でも向こうの方が弱ければ・・・。」

「漏れ伝うなら、戦闘で海に落ちた者か、処刑で海に落ちたか・・・船員以外の生存者かだ。だとすると船の数は戦闘した数を伝える。強さなど気にはしないだろう。」

 よく考えれば最初の船とこちらの船以外は遠巻きに待機していただけだった。遠くにいれば視界に写らない可能性が高い。

「と言うことは・・・。」

「次の港にはたどり着く前にいずれかで戦闘があると判断して良い。」

「ですな・・・。」

 オランダ方の事情も分かるが、こちらとしては・・・巻き込まれた形だ。

「で・・・海図ですか。」

「少しでも有利にしなくてはなるまい。」

 じっと海を見つめる。

「でもまあ・・・大砲戦には俺らは慣れてはおらんぞ。」

 青海は船を見つめる。月光に照らされ淡い輝きが船を照らす。

「だとしても・・・向こうはこの船を戦力としてみている。大方この船の装備からして目的の中に強行突破は含まれているのだろう。」

「だとすれは・・・こちらを盾にするつもりか・・・今度こそ。」

「だろうな。」

 青海のつぶやきに信繁は頷いた。

「あんにゃろー!」

 青海が怒りで畳を叩く。

「それぐらいせねば、相手方は信頼しないだろうよ。」

 信繁はくいっと椰子酒をお猪口で飲み込む。

「だとすれば・・・どんな戦闘に。」

「数によるが・・・大抵は数で押し込むだろうよ。」

 その言葉に全員が押し黙る。

「国の規模は分からないが、俺が海軍なら二倍は用意する。でなければ取り逃がす公算が高い。」

「だが・・・。」

「だとすれば数を消す動きで行けばいいのだろうが・・・この船の力がどれぐらいか・・・。試す時が来たようだな。」

 じっと床を見つめる信繁の真意は誰も・・・分からなかった。


「うみーはひろいーなー。」

「何。」

 青海が海を見つめ、歌っている。

「お主もこの年になってこんなに海を見つめるとは思わなかっただろうが。」

 じっと筧もまた海を見つめている。本当なら、しまがこの見張り台にいるはずなのだが。先日のソラとの別れにしまが泣いていていた為、青海と筧が見張りを変わっている。出発して二日が経過し、海を南下していた。今度はアルフレッドがこの船にいて、下でオランダ語講座を幹花と二人で行っている。流石にオランダ語の詳しい所はオランダ人に聞いた報が早いので、今度は美井も習う立場だ。この方が美井にとっても気が楽らしく明るく返事をしている。

「まあな。海を見て最初は感動していたが・・・こうも同じ色合いだと・・・飽きる。」

 そう言いながら、見張り台に備え付けの望遠鏡で前の船の角度と周囲の警戒を行っている。

「酒・・・あるか?」

 青海がつぶやく。半眼で筧が青海を見つめる。

「昼から飲むな。こんな高い所で酔えば死ぬぞ。」

「そっか・・・。」

 青海のつぶやきが寂しく響く。

「ヌヴェヲルト!」

「おおう!」

 筧の突然の声に青海がびっくりする。

「なんだそれ?」

「いやあ、下からの声があるだろ、どこで使うか分からないが、一応、しゃべれば紛れるのではないかと・・・。」

「どこで使うか分からねば、使いようもあるまい。」

「だな。でも覚えておけばほら・・・どうにかなるだろうに・・・。おい・・・どうした・・・。」

 あまりに無反応な青海筧がいらだって青海の所をむくと、青海が望遠鏡を見たまま、硬直していた。

「なんだ?」

「あれ・・・味方じゃねえだろうな・・・。」

「いや・・・味方は後で出発だが・・・敵・・・だろうな。」

 二人で船を双眼鏡で見つめる。

「ならすぞ。」

「おう。」

 カーンカーンカーン。・・・。カーンカーンカーン。 

 この合図は敵船・・・又は危険を知らせる合図である。その音に全員が立ち上がり周囲を見渡す。

「後方から舟影!」

 青海の声が船内に響き渡る。前の船も鐘の音に騒然となっているようだ。

「何隻だ!」

「4です!」

 筧の声に全員が騒然とする。前回みたいに数で上回る戦闘ではない。アルフレッドも覚悟していたらしく、船首に走っていく。大方前回と一緒の手旗信号で連絡を取るのだろう。腰に差していた旗を取り出し、前を見つめる・・・。その間に信繁は船長室に入り、海図を広げる。現在はセイロン-ゴールドコースト間の為・・・。障害物らしい障害物はない・・・。その間にアルフレッドは必死に旗を振っている。予想は付く。信繁は指をなめ、天に突き出す。

「風は南南西・・・。」

 アルフレッドの旗振りの真剣さが増していく。その間に船員達が戦闘態勢を取り、青海は縄ばしごを伝い・・・見張り台を下りてくる。船尾に周り信繁は望遠鏡を見つめる。やはり、包囲してくるつもりだ。敵の隊列が戦闘のそれになっている。

”すまない!”

”どうした?”

 アルフレッドの力なく・・・絶望に満ちたそれでいて大きな声が響く。

”ここでゴールドコーストまで分かれる・・・だと・・・。”

”だろうな。”

 信繁が思ったとおりに頷く。流石にそのつもりだったのだろうが・・・。我々も死ぬわけにはいかない。

”知っていたのか!!”

 アルフレッドの怒号が響く。

”思っただけだ。落ち着け。”

”ああ。”

 この頃には簡単な言語による疎通ができる所まで来ているが・・・それでもまだ足りない所もある。だがそれと経験は関係ない・・・。前の船はゴールドコーストに一直線に向かうらしいが・・・。元から風通りに行ったとしても・・・。じっと考えている間にもこちらの船は全速力で・・・いや・・・相手の船に合わせ・・・。少し遅らせていた。それは最初のあたりから分かっていたことだ。一隻は先頭の船に泡さえ、最初はやはりこちらに来るみたいだ。3隻は南側と正面の二手で追うらしい。後詰め付きでいやらしいが・・・。まずは追いにくい・・・下から行くか。

「南だ!」

「おう!」

 向こうの船は・・・方角を変えた為に徐々に接近してくる。・・・これは・・・艪付きが南・・・そしてもう一つの艪付きが西。帆船は、中央か。かなり慎重・・・だな。

「砲撃準備!」

「おおー!」

 その間に青海が船室まで走っていく。

「狙いは!」

 信繁の声を全員が斉唱する。訓練のたまものではあるが、こうすることによって砲撃隊への伝達を聞き逃さなくする役割もある。

「外側!前方側面!!」

 その掛け声にアルフレッドはは驚いていた。当然である。今まで乗ったり戦ってきた船でこんな事は行われてはいない。その間に砲撃用の扉が開き、砲撃準備は行われる。

「おおおぉぉおぉぉぉおおおおお!」

 下の方から青海の叫び声が聞こえる。

「弾込め!完了!方角修正完了!」

 青海の声が響く。だが次の瞬間・・・少しの間の静寂が船内を包む。信繁は船尾でじっと望遠鏡をのぞき込む。

「撃てぇ!」

 その声とともに船内一杯に轟音が響く。アルフレッドは縁にしがみつき、じっと敵船を見つめる。大砲にやられ、船がぐらついている。舵をやられたわけではないが、浸水はしているみたいだ。初撃の一撃だけで・・・敵船を行動不能にした。相手の砲撃が来ていないことから・・・。この大砲・・・相当射程が長い!

「舵!東北東!船を少しずつ寄せろ!」

「了解!」

 それとともに行動不能になった船を盾にするように船は動き始める。これに慌てたのが・・・敵帆船である。確かに帆船は向かい風でも少し横風があれば走れるようにはなっているが、向かい風が天敵である。それを行うとは・・。自身も持っている望遠鏡でアルフレッドは敵船を覗く。あれは・・・イギリス・・・東インド貿易社だ。しかもあれは・・・旗艦!本気できやがった!アルフレッドの汗は止まらなかった・・・。日本の連中は何を考えている。

「甲板狙いだ!準備しろ!」

 ・・・。

「砲撃準備完了!」

「撃て!」

 信繁の大声が響き渡る。流石にアルフレッドも、日本語を教えている時に簡単な言葉が分かる為か、大体の意味は分かるが・・・。次の瞬間、近寄ったガレー船の甲板に少し勢いが落ちた大砲の弾が降り注ぐ。

「鉄砲隊!構えろ!」

 信繁の掛け声で徐々に戦術が理解できる。敵船を盾にすることで、後の敵船からの砲撃をかわし、こちら側が隙間から砲撃するのだろう。確かにガレー船の方が足が遅い為、帆船しか敵はいない状況だが・・・。その間にも船員達が鉄砲を持って環境から敵に銃を一列に構える。後ろには数人の兵士が・・・あれ?鉄砲を抱えて持っている。舵を切っている人間は少しずつ船を甲板に近づける。その頃にはガレー船はすぐ側に来ていた。

「撃て!」

 その言葉に鉄砲隊が船の上からガレー船を撃ち下ろした!そのため、海戦準備で構えていた部隊を直撃した。あまりのことに・・・アルフレッドは・・・ただただ見ているしかなかった。その間にも撃った鉄砲を後ろの人間が交換していく。

「撃ちまくれ!」

 向こうもうとうと考えているが・・・まさか鉄砲を使った近接戦闘なぞ考えもしなかっただろう・・・。ここまで一隻でも戦闘力が違うのか。その間にも、無慈悲にも鉄砲で蹂躙されていった。その頃にも西に行ったガレー船が慌てて南側から、こちら側に攻撃を試みるが、急な方向転換で更に逆風の為早々早くは来れない。しばらくすると船がそのまま通り過ぎようとしている・・・。

「抜けるぞ!舵を西へ!」

 その掛け声で帆の向きを切り替える。何を!

”何を考えている!”

 アルフレッドはどなりつける。その間にも船は敵船後方から船体を横に傾ける。

”逃げる。”

 信繁のシンプルな答えにアルフレッドは唖然としてしまう。

「お前ら。行くぞ!」

「応!」

 その言葉とともに、船が加速を始める。今度は向こうの帆船が・・・、・・・戦闘意欲をなくしたようだ。何をするわけでもなく・・・。相手は見送っていった。そのまま船は加速を付け、この海域を離脱していった・・・。


”凄いな・・・。”

 あれから半日・・・。もう追走してくる船はいない・・・。アルフレッドは早くも普通通りの船員達を横目で見ながら船長室の扉を叩く。扉を開けてみると、筧と幹花、信繁の三人が海図をにらみ考えていた。

”船長・・・良いかな?”

 アルフレッドは改めて言葉を口にする。

”まずは靴を脱いでいただけませんか?”

 幹花の言葉に慌ててアルフレッドは靴を脱ぐ。

”なんでしょうか。”

 信繁が優しく聞いてくる。

”聞きたいことがある。どうして・・・勝ち寸前の船から逃げた?”

「なんで・・・。」

 流石に聞き取れない言葉があり、信繁は幹花を見つめる。

「はい。どうも・・・どうして逃げたんだと。」

「・・・あれか・・・。長くなるが訳せるか。」

 信繁が聞いてくる。

「はい。」

 その言葉に二人とも耳を傾ける。

「理由は三つある。一つは、物取りが仕事ではないこと。」

”理由は三つあります。一つは盗賊でないこと。”

「二つめは、あのまま乱戦に入れば帆船が砲撃可能範囲に入り、砲撃を敵船を巻き込むながら打ち込む可能性があったこと。」

”二つめはのこの船を・・・他の敵船が味方ごと打ち抜く可能性があったこと。”

”まあ・・・。”

「三つ目は、大砲を撃たないにしても、後数負けするのと、相手をあれだけ痛めつけておけば、修理に手間取り、追ってこられないことだ。それ以上は必要ではない。」

”三つ目は数の上では不利なことと、あれだけ敵船を痛めつけておけば修理に手間取り、時間が稼げます。”

”でも惜しくないのか?戦利品があるのやもしれんのだぞ?”

 アルフレッドはじっと信繁を見つめる。幹花が訳そうと口を開くのを信繁は手で制する。

”目的は・・・進むこと。”

 信繁は落ち着いてじっとアルフレッドを見据えて言った。

”わかった。すまない。”

 そうお辞儀するとアルフレッドはお辞儀をして、立ち去っていった。

「大丈夫でしょうか・・・。」

 筧はアルフレッドを見ていた。

「大丈夫だろう。あそこで欲をかけば死んでいたのはこっちだろう。この船に傷が付く方が今後の目的に支障が出る。」

「ですね。我々は賊ではありません。でも・・・納得しますかね。」

 幹花はじっと地図を見つめる。

「命があってめっけものさ。」

 信繁のつぶやきに筧達は納得してしまっていた。


”お前ら・・・よく生きていたな。”

 ドノヴァンが驚いた顔でこちらの船に乗り込んだ第一声がこれであった。戦闘が行われてから、三日目の夕方のことであった。

”よくもまあ・・・見捨ててくれましたよね。社長。”

”まあ・・・我々の威光に平伏して逃亡しただろうから、感謝するがよい!”

 流石に戯れ言だとわかっていても、見捨てられた傷は中々癒えないのが当然である。許せる気がしない。

”でも・・・。”

 そう言って先行した船を見つめると、ぼろぼろで、各所に砲撃の後があるが・・・ここまで保ったのが不思議なぐらいである。

”これで・・・次・・・行けますかね?”

 隣に停泊する自分たちが乗ってきた船を見つめる。こちらには傷一つ無い。差が・・・ありありと出ている。

”修理に二週間はかかる。”

”でもまあ・・・。”

”でもお前ら・・・どうやって逃げれたんだ?”

 珍しそうにドノヴァンが無傷の船を見つめる。その間に信繁達は船員達を酒場に連れて行くべく、港の男に交渉をしていた。

”それは・・・。”

 じっとアルフレッドは考える・・・。

”欲張らないことですね。”

”は?”

 よくわからない顔をするドノヴァン社長を尻目にアルフレッドは一人、前の船に戻っていく。何となく、先日と言い・・・彼らはとてつもない何かを秘めている。アルフレッドにはそう感じずにいられなかった。












これ以降、オランダ語等の日本語以外の言葉も普通のカッコになります。よろしくお願いします。

又、一分都市名を勘違いしていたため、違っていた事をここに謝罪し、ここに修正いたします。


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