ヒーロー全力サポーター
「ママだいすき♡」
「あ~ん♡ ママも大好きよ~♡」
子供は天使だと聞いていたが正直、子供のどこが天使なのか疑問に思っていた。場所も考えずに叫びまくってとにかくうるさい、そしてわがまま。迷惑しかかけられたことがない。子供は『天使』というより『野猿』の間違いでは?
ところが結婚して実際に産んでみたら確かに『天使』だと自覚した。蝶よ花よとはいかない育児。ストレスと寝不足で、内も外もズタボロ。それでも子供の寝顔に癒される。この狭き世界に閉ざされた私に、君はまさに救世主。そしてヒーローだったのだ。
産後の栄養不足による白髪や抜け毛。お洒落をするなら寝かせてくれ! そう心で叫ぶ毎日。栄養を考えつつ、成長に合わせて食べやすい状態にする離乳食。その苦労が一瞬でキラキラと宙を舞う。
「・・・」
どんなに尽くしても子供が泣けば母親が悪く言われる。我慢、忍耐、まるで修行のような日々。時にその孤独さから鬼の形相になってしまうこともある。
「ママかわいい♡」
突然息子から『かわいい』宣言。こんなにズタボロなのに、鬼の形相なのに、上手く子育て出来ないのに?
子供の一言って凄い。一瞬で鬼から人に戻してくれる。感情の起伏が激しい育児、そんな中で時折みせる優しい世界。
「大きくなったらママと結婚する」
人生でこれほど満たされることがあるのだろうか。少なくとも私の人生にはなかった。全身全霊で自分を頼り、大好きだと言われる日々、なんて幸せなのだろう。
ある日、ちょっとしたことで旦那と喧嘩をした。普段ならムッとしつつも流せるものなのに、気持ちに余裕の無い私は、声を出して泣いてしまった。そんな私の腕をぎゅっと掴み、旦那との間に入る。勇敢なヒーロー。
ああ~♡ こんなことなら毎日旦那と喧嘩したい。あの頃は本気でそう思った。やらないけど。
* * *
「これだからオバサンは~」
「飯いらねー」
時は残酷だ。
あの可愛らしい王子はどこへ行った? 生意気な言動と見下すような発言。今の私は『姫』から『飯炊き掃除婦』へと成り下がっていた。
あれは狭い世界の夢の国だったのかもしれない。夢から覚めた現実はとても厳しいものだ。
なにせ『姫』には幸せの記憶がしっかりとあるけれど、好き好き大好きアピールをしていた『王子』には全くその記憶がないのです。ま、それはそれでいいのだけどね。
子供は生まれた時に一生分の親孝行をするという。確かにそうだ。どんなに生意気になろうとも、親より大切な人が出来ようとも、君は私のヒーローであることにかわりはない。これからも君の人生を全身全霊で応援するよ。
頑張れ、私のヒーロー!




