第56話 金の納入と、式場と、神様
Side:フィンチィ
くっくっくっ、スパロが金貨1万枚を納めた。
馬鹿な奴だ。
これで大幅に軍備が増強出来るぞ。
あとはスパロのありもしない謀反の証拠をでっち上げて攻め込むだけだ。
他の貴族からも結婚祝い金は集まっている。
10万人ぐらいの軍隊が編制できそうだ。
口実は、精霊の国で閲覧できる貴族と王族の情報だな。
禁書指定されている。
精霊の国はスパロの領地にあるのだから、スパロがやった事にしよう。
実際は精霊がやったかも知れないが、そんなのは構わない。
証拠などいくらでも捏造できる。
スパロの奴、いまに見てろよ。
Side:スパロ
そろそろ、ベルベルと結婚式を挙げようと思う。
「ナノ、良い式場知らない? 領地にはそんな建物がなくってさ」
『うーん、そうだ。精霊の国で結婚式を上げちゃいなよ。それなら豪奢な式場を用意できる』
「良いかも」
『ドレスのデザインが無いんだよな。精霊の国にドレス職人を呼べないか。実際に作らなくて良いんだ。イメージさえあれば』
「王都の職人に声を掛けてみる」
『料理は任せてくれ』
「ナノが出す料理はどれも美味しいから期待してる」
『ベルベルちゃんにも要望を聞かないと』
「うっかりしてたよ。ベルベル!」
「なあに」
「ナノが俺達の結婚式を主催してくれるんだって」
「嬉しい」
「聞いて驚け精霊の国でだぞ」
「やった。遠くの人も呼べるね。精霊の国の入口は至る所にあるから」
「まあね。ベルベルは何かやってほしい事がある?」
「笑わない?」
「笑わないよ」
「見渡す限りの一面の花畑で結婚式をやりたいの。でね、空には虹が掛かっているの。式のクライマックスで小鳥が一斉に羽ばたくの」
ベルベルが夢見る少女になったようだ。
「ナノ、出来る?」
『お安い御用だ。任せとけ』
「できるって」
『誓いの場面はそれでいいとして、披露宴は大ホールでやろう』
「いいね。ナノがさ、披露宴は大ホールだって」
「シャンデリアが欲しい」
『簡単さ』
「簡単だって」
「庭には噴水があって、キラキラした何かが流れているの」
『ダイヤモンド入りの噴水ね。承知した』
「もっと言って」
「デザートはイチゴケーキ。あれ好きなの」
『分かった』
「それとね。天使がすそを持ってくれるの」
『孤児の子供達に天使役をやってもらおう。背中に羽を生やして、ふわふわ飛ぶぐらいわけないさ』
「それから、純白の馬車に乗って現れたい。もちろん馬は純白ね」
『出来るよ』
「全部できるみたい」
ベルベルは案外少女趣味なんだな。
でもベルベルらしくて良い。
Side:ハイチック8000
ついにベルベルちゃんが人妻か。
人妻物もたぎるんだけどね。
初夜は覗けないだろうな。
【プライバシーは保護されます】
ですよね。
分かってた。
くそう。
羨ましい。
血の涙が流せるのなら、きっと流しているに違いない。
イユンティちゃんに慰めてもらおう。
「ちょっとショックな事があってさ」
精霊の畑で今日も祈りを奉げているイユンティちゃんに話し掛けた。
「どんなことです?」
「ベルベルちゃんとスパロが結婚してしまうんだ。ベルベルちゃんがスパロの物になってしまうんだ」
「人は誰のものにもなりません。神のものです。それにスパロ様とベルベルが幸せなら、見ていて幸せな気持ちになれませんか。幸せは分け与えられるものです。しかも分けたからといって減りません」
嫉妬の気持ちでどうにかなりそうだ。
幸せな気持ちになどとうていなれない。
分けてくれるならエロを分けてくれ。
「イユンティちゃんは何をしたら俺の物になってくれる」
「そうですね。精霊様が神様になられたら結婚しても良いです。既に神の花嫁なので」
言質取った。
神になるって、何をすればいいんだ。
難しい宿題だ。
天変地異を鎮めりゃいいのかな。
イユンティちゃんに聞いたら、たぶん神様は神様ですと答えが返ってきそうだ。
考えつく限りのことをしないといけないようだ。
何が彼女の琴線に触れるのか分からない。
たぶん彼女も分かってないだろう。
神様を目にしたらすぐに分かりますぐらい言いそうだ。
ホログラフィで天変地異を演出して鎮めるとかできるけど、マッチポンチだと分かったら、たぶん悪魔認定されるな。
天変地異が来るのを待つしかないのか。
火山やハリケーンぐらいだと何とかなりそうなんだが。
死者蘇生も条件によっては出来る。
前に聞いたけど、イユンティちゃんも死者蘇生出来るんだよな。
それが聖女の条件の一つだって聞いた。
短期の目標が出来た事を喜ぶべきだろう。
天変地異を鎮める。
これがとりあえずの目標だ。




