第53話 開拓隊と、魔力結晶
Side:スパロ
孤児達が開拓隊として、プランタートラックで出発していく。
俺も指揮を執る者として出撃した。
ゴーレムが100体ほどいるので、事故などは起こりようもない。
数時間で山のふもとまで到着した。
ゴーレムがまず先陣を切って駆け出して行く。
毒草や手に負えない草木をゴーレムの腹に収納していく。
利用価値のある樹だけが残った整備された森になっていく。
モンスターもゴーレムが片付ける。
数時間ほどで未開の地は、公園みたいになった。
道も作られ階段や手すりも作られる。
家が建ちそうな所は、建築予定地と書かれた札が設置された。
俺と孤児は見ているだけだ。
「来た意味があるのかな?」
『視認して貰わないと証拠にならないんだよ』
ナノの分からない理屈だ。
まあ良いや孤児もピクニックに来て喜んでいる。
プランタートラックの土は満杯になった。
何度も孤児達が領と往復する。
ゴーレムがキラーベアを担いできた。
「これは全部使えるから、そのまま解体に回して」
『へいよ』
久しぶりに仕事をした気分だ。
「よーし、みんな飯を食おう」
「はーい」
孤児達が銀河連邦クレジットを使って食べ物を買う。
食事が終わった頃、馬に乗った一団が現れた。
「ティトマウス卿であらせられますか」
「そうだよ」
「我々はドラゴンメタルを採掘するための調査隊です。道を作って頂けたとは嬉しい限り。上の方に掛け合って感謝状を出してもらうようにするつもりです」
「そんなに感謝してもらうほどの事では」
「いいえ、調査隊は今回で13回目です。前の隊員は全て死にました」
「えっ」
「寄生する植物や、触れただけで毒に侵される植物もありました。そのうえ、1軍をもってあたるようなモンスターまで」
そんな危ない場所だったんだ。
さすが魔脈が通っている事はある。
「うちはゴーレムが全部対処するから」
「さすが勇者様ですな。宮廷魔法使いも、これぐらい凄腕なら良かったのに」
「おい、今日中に調査を終えるぞ」
「はい」
調査隊が装備を置いて山を軽々と登っていく。
油断し過ぎじゃないのか。
重たい鎧や大鎌を持って登山するのは大変なのは分かるけど。
Side:ハイチック8000
山一つをスパロの支配下に置いた。
この山の資源が使いたい放題とは嬉しい限りだ。
VRに使うコンピューターの増設がさらに進むな。
『ちょこっと相談』
俺はスパロに話し掛けた。
「何?」
『地下に施設を作る許可と、地下資源の採掘許可が欲しい。それと取水する権利がほしい』
「地下の施設の許可はいいけど、他は駄目だよ。水は生きていくのに必要だろう」
『上に住む人間には好きなだけ水をあげるよ。でも雨が降ると流れてしまうだろ。それを集めて使うんだ。地下に流す水量をコントロールすると土砂崩れの予防にもなる』
「何だ、余剰分が欲しいのか。ならそう言えよ。もちろんいいよ。それと地下資源は俺が8でナノが2」
『無体な』
「何に使うか分からないけど、魔脈を使うんだろ。それと相殺した」
『それを言われると弱い。分かった、その取り分で良い。ただし、そちらに渡すのは鉄と金と銀と宝石だけだ』
「うん、構わない」
くくくっ、レアメタルの価値を知らない奴との取引は容易い。
惑星によっては金の価値なんかゴミだものな。
魔力結晶プラントでも作りますか。
魔脈の魔力を使った魔力炉なら簡単に作れる。
1時間ほどで、採掘は終わった。
山一つ分だと金と銀もそれなりにあるな。
スパロの前に金と銀のインゴットを山と積む。
それと水晶だ。
この山は石灰石もあったからな。
鉄は多過ぎるのでプランタートラックに積んで、孤児達が領まで運んだ。
魔力結晶のプラントが完成した。
エネルギーである粒子が結晶化するとはな。
いやAIから聞いて結果は知っていたが、不思議なものだ。
『ベルベルちゃんにお土産だよ』
俺はカットした3センチぐらいの魔力結晶を渡した。
魔力結晶には魔力ナノマシンを混ぜてある。
魔道具としても1級品だ。
「これは凄い」
凄くないんだよ。
天然じゃないからな。
こんなのただの資材だよ。
『感謝しろよ。もちろんこれは山の中にあったんじゃない。魔脈を使って作り出した』
「感謝するよ」
燃料として魔力結晶は優れているらしい。
ワープエンジンが小型化できるようだ。
この技術が出来ても帰還の確率は上がらない。
既存のワープ技術でもワープは可能だからな。
問題はこの惑星の位置が分からないって事だ。
位置が分からなければ、帰りようがない。




