第51話 陳情と、Wiki
Side:スパロ
精霊の国に入る料金が無料になった。
銀河クレジットが無くても入れる。
精霊の畑に参拝に来た信者が、精霊の国へも足を延ばす。
俺も精霊の国に入りながら、執務する事になった。
切り替えで頭がこんがらがりそうだが、何とかなるもんだ。
半透明のゴーストみたいなのが常に動き回る。
こっちが精霊の国の中の状況。
実体を持ったのが現実の俺。
半透明の人物が俺の目の前に立った。
おっと精霊の国でのお客さんだ。
「陳情か?」
「ええ、精霊の国への入口を私共の街へ作ってほしい」
そうなんだ。
前は精霊の国に入るのは畑だけだった。
今はプランタートラックと転移門があるところの畑から入れる。
精霊の国で陳情するのは、警備上の都合だ。
精霊の国では死人が出ない。
警備する必要がないわけだ。
なので俺は基本的に精霊の国でしか陳情は受け付けない。
「分かった。ナノに伝えておく。入口が出来るかどうかは、ナノの気分次第だ」
「かしこまりました」
椅子に座っているとくたびれるな。
固まった体をほぐそうと立ち上がり。
精霊の国の自分が立ち上がったのに気づいた。
くそっ、ややこしい。
ええと、制御を体に戻して。
ふぃー、立ち上がれた。
部屋を出て村を歩く。
精霊の国で子供達が挨拶してきた。
片手を挙げると、現実の自分の片手が上がった。
挨拶を返す人は誰もいない。
恥ずかしい。
慌てて手を下げる。
やっちまった。
精霊の国に切り換えて、片手を挙げる。
子供達が笑って去って行く。
精霊の国に入ったら、眠ってしまう方が良いような気がするが。
とにかく忙しいから、体が二つないと。
「くそっ、何体もの自分がいればな」
『作ってあげようか。精霊の国なら何体も増やせられる』
「誰がそれを動かすんだ」
『精霊だけど』
「それはちょっと怖い」
『執務が効率アップするぜ。誰だってやっている事さ。Botは便利なんだけどな。ゲームでは禁止されている。ああ、垢バンの悪夢がぁ』
精霊の世界も色々とあるんだな。
Side:ハイチック8000
VRの本格運用を始めた。
スパロなんか常時接続している。
ながら接続という奴だ。
銀河連邦では社会問題になった。
事故が多発したからだ。
端末操作事故より酷い被害だ。
Botを使えば解決なんだけどな。
スパロとベルベルちゃんのBotを作って、VRでエッチさせる。
それでそのアカウントを乗っ取ってと画策したんだが拒否された。
Wikiでも作ろうかな。
こういうデータベースのひな型はあるから、それをちょこっと持って来て、VRで運用できるようにする。
第1号の項目はお子様ランチだ。
概要が掛かれ、旗と玩具の情報が上がる。
料理の種類の情報も上がった。
使いこなしているな。
最初の執筆者の情報を見たらイユンティちゃんだった。
項目が次々に付け加えられていく。
王族の系譜なんかは面白かった。
消えた系譜とかあって、削除依頼が出されたが、面白いので載せたままにしておいた。
貴族の内紛とかの事件が面白い。
削除依頼が飛び交う。
もちろん何もしない。
「ナノ、Wikiってのを禁書にするって言ってきた」
『どういう権限で?』
「だよね。精霊の事は精霊が対処しないと。ナノの上司はどこにいるのかな?」
『遠い所さ。一生懸命に叫べば、届くかもね』
「そう言っておくよ」
【問題はあるか?】
【現地政府から正式に抗議されたわけではないので、問題はありません】
【抗議されたら、どうなるんだ?】
【銀河連邦に問い合わせます】
【出来ないよな】
【問い合わせ中との返答しか出来ません】
AIの頭が固いと言われるゆえんだ。
こういう時は脳みそスキャンで出来たAIが対応するんだが、俺の対応は鼻ほじだな。
言わないけど、掛かって来いというスタンスだ。
戦争するなら受けて立つぞと思うだけ。
宣戦布告されたらやるだけだ。
Wikiは場末の掲示板みたいになった。
フェイクニュースの飛び交う事といったら。
もちろん虫型ドローンで裏を取ってフェイクニュースは潰した。
真偽が分からない物に関しては載せる事に。
もちろん反対意見も載せる。
『みんな噂話が好きなんだな』
「貴族の悪口とか言えないから」
『良いはけ口になっているのかもな』
「まあね。ナノの評判は上がっている。貴族の犯罪が明らかになって、国の調査が入ったのも1件じゃない」
『じゃあ、続けるか。飽きたら辞めるけどね』
「ナノらしいね」
飽きたら、通販でも始めるか。
VRの端末を増やさないといけないな。
各家庭に1つずつが理想だ。
文化、経済で侵略する事になるのかな。
これらを牛耳って依存させて属国にするのは推奨されている。
そこまでしないけど、生活が豊かになるのは良い事じゃないかな。




