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異世界転生したのに職業欄が「無職(要相談)」から動かず、最速で追放された結果、生活費のためにゴミ拾いしています  作者: Y.K
第11章

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王への報告と、拾われた価値

王城の執務室は、相変わらず静かだった。


豪奢ではあるが、無駄な装飾は少ない。

この国の王が「見栄」より「実務」を選ぶ人間だというのは、部屋を見ればわかる。


「……なるほど」


王は、机の上に並べられた品々を一つ一つ、ゆっくりと見ていた。


石板。

破損した端末。

古代文明の徽章や、刻印の入った小さな部品。


「武器でも、防具でもない」

王は言う。「だが――」


「価値は、あります」

側近の学者が抑えきれない興奮を滲ませて言った。

「これは、文明そのものの記録です。金では測れません」


ユウキは椅子に座ったまま、肩をすくめる。


「とはいえ」

「全部が全部、博物館行きってわけでもないです」


王が視線を向ける。


「どういう意味だ?」


「こっちは、保存」

ユウキは石板の束を指した。

「こっちは……正直、研究用にばらしてもいい」


学者が一瞬、息を詰まらせた。


「ま、待ってください!」

「それも貴重な――」


「価値があるからこそ、使う」

ユウキはあっさり言った。


王は、そのやり取りを黙って見ていたが、やがて小さく笑った。


「……君は、本当に“拾う”男だな」

「残すものと、使うものを分けている」


「ゴミ拾いなんで」

ユウキは軽く返す。「基本です」


王は一度、深く息を吸った。


「では、聞こう」

「君は、これらをどうしたい?」


ユウキは即答しなかった。

少しだけ考えてから、言う。


「一部、換金してください」

「市場に流してもいいものだけ」


「……大胆だな」

「価値が跳ね上がるぞ」


「だからです」

ユウキは王を見た。「国が管理しないと、碌なことにならない」


王は、そこで完全に納得した顔になった。


「換金した資金は?」

「再開発区へ」

ユウキは迷わず答える。「あと、困窮者支援」


側近たちがざわめく。


「直接、施しを?」

「管理が難しいのでは――」


「だから」

ユウキは手を振る。「“仕組み”でやってください」


王が口元に手を当てる。


「……雇用を生む、か」

「はい」

「再開発区の整備、清掃、保守」

「得意分野です」


一瞬の沈黙のあと、王は立ち上がった。


「――認めよう」


玉座の前で、王は正式に告げる。


「古代文明ダンジョンの調査・収束」

「失われた歴史の回収」

「民への還元提案」


「すべて、国として受け入れる」


そして、少し困ったように言った。


「本来なら、勲章と爵位を授けるところだが……」

「辞退します」

ユウキは即答した。


王は苦笑する。


「だろうな」


「その代わり」

ユウキは人差し指を立てた。「二つだけ」


「ほう?」


「再開発区と支援の件、途中で止めないでください」

「もう一つは?」


「……冒険者ギルド」

ユウキは少しだけ言いづらそうに続けた。

「現場知ってる人、ちゃんと上に置いてやってください」


王は、すぐに誰のことか理解した。


「マルタと、リィナだな」


ユウキは答えない。

だが否定もしない。


王は、静かに頷いた。


「すでに動いている」

「正式な役職だ。名ばかりではない」


ユウキは、そこでようやく笑った。


「それなら、文句ないです」


王は、机の上の“拾われた歴史”に、もう一度視線を落とす。


「……文明は滅びても」

「記録は、人を救うことがある」


「ですね」

ユウキは立ち上がった。「ゴミでも」


王は、声を出して笑った。



王城を出た帰り道。


「結局、英雄扱いは回避したわね」

ミーナが言う。


「面倒だからな」

ユウキは即答する。


「でも」

レオルが肩をすくめる。「街じゃ、もう噂だらけだぞ」


「放っとけ」

ユウキは空を見上げた。


「そのうち、別の場所で別のゴミ拾うし」


ガルドが短く笑う。


「……次は、どこだ?」


ユウキは歩きながら答えた。


「行ったことない場所」

「面倒そうな匂いがするところ」


「最高ね」

ミーナが言った。


こうして、

古代文明ダンジョン編は完全に終わった。


そしてユウキ一行は、

また次の“拾い物”へ向かう。


――世界は、広い。

捨てられているものは、まだ山ほどある。


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