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今世はのんびり釣りをしたい ~元技術者で今は冒険者の、微妙にままならない日々~  作者: 於田縫紀
第4章 廃坑調査

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第58話 便利? な妖精

 妖精使役か。俺は使わない魔法だ。

 前世の知識で知ってはいる。

 妖精とは魔素(マナ)を使用して生み出された疑似生物。

 ある程度の自己判断能力があり、命令を与えて使役することが可能だ。


 この自己判断能力が曲者なのだ。

 この能力によって、こっちの命令を忠実に実行しなくなる。

 自分勝手で幼稚な判断をしてしまう、なんて事が往々にして起こるのだ。


 かつての俺の職場では、業務に妖精を使役する事を禁止していた。

 それでも便利でローコストなので、妖精を使う奴は絶えなかった。


 俺がいた職場でも、妖精の自己判断による現場操作によって、爆発事故が起こりかけた事がある。

 別の部署では、水力式大型祈祷装置の破裂という重大事故が発生した事もあった。

 だから俺は妖精を使わなかったし、信用もしていない。


 なので妖精を使うというのは正直不安だ。

 ただし他にもっといい代案なんてのは思いつかない。

 仕方ないか、と思ったところで。


「大丈夫かニャ?」


 俺ではなく、ミーニャさんから異議が入った。


(ミャえ)にも妖精を偵察に飛ばした結果、魔物がこっちに押し寄せて来た事があったのニャ」


 どうやらこの世界の、そしてクリスタさんが使役する妖精も、俺の知識にあるものと同様なもののようだ。


「ええ。ですが見つかっても、こちらへ敵がやってきても問題ありません。むしろ変異しているおそれがある穴の向こう側より、こちらで戦った方が安全でしょう。今の状況と穴の大きさから考えて、あの穴を通ってくる事が想定される敵は、スケルトンの上位種までです。その程度ならミーニャさんがいれば問題ないでしょうから」


 確信犯だったか、クリスタさん。

 そしてミーニャさんは、憮然とした表情だ。


「私でもスケルトンが20体を超えると面倒なのニャ。そもそも猫獣人は持続力が無いのニャ」


「ゴブリン掃討戦の時よりは、ずっと楽だと思います」


「あれはもう勘弁なのニャ。40体以上倒した後に、ゴブリンジェネラルとタイマン(ニャ)んて、二度とやりたくニャいのニャ」


 何かとんでもない魔物の名前が出た気がする。

 それでもミーニャさんの戦闘能力がとんでもレベルだとわかっているので、突っ込まない。


「今回はジョンさんがいるから、もっと楽でしょう。ある程度距離を置いて、穴から出てきた敵を片っ端から弓で倒して貰えば、ミーニャさん一人で戦うよりは、ずっとましな筈です」


 そういう作戦だったわけか。それなら俺も納得だ。

 ミーニャさんは、ふうっとため息をついた。


「クリスタと組むと、往々にしてこういった無茶ぶりをされるのニャ。ジョンは気張らず、出来る範囲でやってくれればいいのニャ。弓での魔物減らしを頼むのニャ」


 それならばだ。


「何なら俺が雷撃魔法を連射しましょうか。60m位なら、スケルトンでも倒せますけれど」


「エイダンは魔法を温存するべきなのニャ」


 クリスタさんではなく、ミーニャさんから反対意見が出た。


「雷撃魔法はアンデッドを含む闇属性に特効があるのニャ。そして穴の先には何がいるかわからないのニャ。だからエイダンには、可能な限り強力な雷撃魔法が撃てるよう、魔力をセーブしておいて欲しいのニャ」


 今の状況を考えると、正しい意見だろう。


「わかりました」


「という事で、おにぎりの追加が欲しいのニャ。甘い方と塩味の方、両方希望なのニャ」


 最初におにぎりは10個出した。

 そして俺、クリスタさん、ジョンは2個ずつ食べた。

 それで充分お腹が膨れる程度には、大きくしっかり握ってあった筈だ。


 そして皿におにぎりは残っていない。

 つまり、2個で充分腹が膨れるおにぎりを、ミーニャさんは4個食べている事になる。


 ただ、今までの経験でミーニャさんの胃袋の大きさは、充分わかっている。

 俺達の3倍くらいなら、許容範囲だろう。


「わかりました。ただしこれは間食なので、1個ずつまでです」


「ありがとニャ」


 ◇◇◇


 しっかり休憩した後。

 50m先に穴が見える場所まで移動して、そこで魔物を待ち構える。


 偵察にある程度時間がかかるそうなので、テーブルセットの椅子だけを出して並べておいた。

 横並びに座っているが、ジョンは弓を左手に持ち、ミーニャさんは今度は、手が届く範囲に斧二丁を置いている。


「10m先、あの岩の出っ張りから先はジョンに任せるのニャ。混戦になった際は、私を気にせず矢を射って欲しいのニャ。後ろから来る程度の矢なら避けられるから、気にする必要は無いのニャ」


 大丈夫なのだろうか、そう思ったらクリスタさんが頷いた。


「ミーニャなら心配いりません。狙って撃っても大丈夫です」


「流石にジョンに狙われると厳しいのニャ。速射が出来るから、5射目くらいで逃げ場がなくなるのニャ」


 どうやら問題無さそうだ。


「それでは妖精を飛ばします」


 クリスタさんの手元に魔力が発生した。

 不可視属性をかけているようで目には見えない。

 しかし魔力探知で、1体ではなく3体ほど発生させたのがわかる。


 3体の魔力はゆっくりと穴の方へ進んでいき、そして穴の先へと消えた。


「妖精を送り込みました。上手くいけば時間差で戻ってきて、こちらに状況を報告する筈です」


「それでは臨戦態勢で待つのニャ。臨戦態勢と言っても、疲れたらまずいのニャ。この距離があれば、1秒くらいは準備にかけて大丈夫なのニャ。だから座ったまま、弓を手元に置いて、矢は矢筒の中に入れたままでいいのニャ」


「わかりました」


 ミーニャさん、実戦的だし、随時出てくる説明も親切だ。

 ジョンには勉強になるだろうなと思いつつ、俺は坑道の先にある穴を、目と魔力探知で警戒し続ける。

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