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今世はのんびり釣りをしたい ~元技術者で今は冒険者の、微妙にままならない日々~  作者: 於田縫紀
第4章 廃坑調査

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第51話 最初の分岐にて

「それでは中に入りましょう。倒した魔物の魔石や、素材になりそうな死骸は私が回収します。照明魔法も私が起動します。ですので皆さんは警戒と魔物討伐、ルート開拓に専念して下さい」


「わかったニャ」


「わかりました」


「わかりました」


 俺としてもそうしてくれると助かる。

 特に今のように、ある程度の範囲の敵を一気に倒した場合は。


 あちこちに感電して倒れた魔物の死骸がある。

 魔石は魔力反応があるから、見逃す事はない。


 しかし、これだけ死骸があると、手動で回収すると時間が掛かる。

 転送魔法を使うと、その分魔力を消耗する。

 この先でも魔法で攻撃をする必要があるなら、魔力は出来るだけ残しておいた方がいい。


 それに回収作業をしなければ、その分、魔力探査と透視魔法による索敵に集中できる。


「それニャあ、基本的に本坑を真っ直ぐ進むのニャ。何かありそうならエイダン、よろしくなのニャ」


「わかりました」


 ミーニャさんにあわせて、ゆっくり歩き出す。

 電撃が通った60m程度の間は、魔物も魔獣もいない。

 しかし、その先は――。


「60m位先から、小さめの魔物反応がそこここにあります。ポイズンスライムとポイズントードですけれど、またある程度近づいたら、電撃でいいでしょうか」


「そうしてくれると楽なのニャ。ポイスラもポイトドも毒を飛ばしてくるので面倒なのニャ。クリスタがいるから解毒は問題ニャいけど、毒に触れると装備とお肌が荒れるのニャ」


 ミーニャさん的には、まだ全然余裕っぽい感じだ。

 お肌が荒れるのを気にする程度という事だから。


 電撃魔法を放って、50m位進んでを更に2回。

 入口から150m程度進んだところで、様子が違う場所に出た。

 ちょっとした広場のようになっていて、道が3つに分かれている。


 右がこの鉱山初期の採掘坑で、廃坑になった頃は倉庫代わりになっていた場所。

 中央が廃坑当時に掘っていた採掘場所へ続く坑道。

 左がドワーフの居住区や生活関連施設を経て、カサクラの村に出る洞窟。

 ただしカサクラの村への出口は急な下り階段で、かつ今は閉鎖されている筈だ。


 進むべきなのは中央の坑道だ。

 ただし魔物や魔獣に挟撃されないよう、左右の坑道の先に魔物や魔獣がいないか確認する必要がある。


「エイダン、どうかニャ、左右は」


 右は何も反応が無い。

 問題は左だ。小さい反応が多数ある。これは……。


「左の居住区にゾンビバットがいるようです。数は30匹以上。ただ居住区は個室が多くて、雷撃魔法で一掃は無理な感じです」


 洞窟内に居住区を設けるのはドワーフの習性だ。

 少なくとも前世ではそうだった。

 そして居住区は、店だの家だのといった小洞窟があちこちに掘られているので、ひとつひとつを回ると手間がかかる。


「わかったのニャ。なら私とジョンの出番なのニャ。バット系の魔物は、敵の気配が一定以上近づくと飛んで、攻撃か逃げるかしてくるのニャ。それを利用して叩くニャ」


 つまり近づいて攻撃という訳か。

 でも逃げられたら面倒だよな。

 そう思ったら、更にミーニャさんが説明を追加する。


「逃げるバットには、ジョンに弓で攻撃して欲しいのニャ。必ずしも当てなくていいのニャ。こちらが攻撃する意図があると、バットにわからせればいいのニャ。そうすれば、逃げようとしたバットも逃げずに攻撃してくるのニャ」


「わかりました。それで、弓で攻撃したバットが近づいてきた場合は、槍に持ち替えればいいですか」


 確かに弓で攻撃されたバットは、第一にジョンを狙ってくるだろう。

 そして飛んでいる敵に矢を当てるのは難しそうだ。

 そう思ったのだが、ミーニャさんは首を横に振った。


「ジョンは弓に専念して欲しいのニャ。そのかわり、近づいたバットは必ず私が倒すのニャ。たかだか100匹以下なら問題無いのニャ」


 100匹が一斉に飛んで襲ってくるって、結構な修羅場ではないのだろうか。

 まあ今回は、多くても40匹程度だけれど。


「わかりました」


 大丈夫なのだろうか、ジョンは。

 クリスタさんが何も言わない時点で、問題はないだろうと思うけれど。


「それじゃジョン、槍を貸して欲しいのニャ。もう1本の槍もエイダンに持ってきて貰っているのニャが、そっちの長い槍の方がバットを相手にしやすいのニャ」


 おっと、それじゃジョンが、弓以外の武器無しになってしまう。

 そこは近接戦用に何かあった方が安心だろう。


 でもミーニャさん用の武器は、基本的にジョンには重すぎる。

 となると、ちょうどいいのは……。


 俺は取り敢えず、一番自衛用に良さそうな刃物を、魔法収納(アイテムボックス)から出す。


「近接戦闘用が無しじゃ何だから、これを貸すよ」


 渡したのは、ソウギョを捌くために作った出刃包丁だ。

 一応、鞘もついているし、ベルトに留められるようにもなっている。

 それに刃物としての性能は、その辺のナイフより上の筈だ。


「悪いな、それじゃ借りていく」


「ああ。そっちは任せた」


 ミーニャさんは、俺とジョンのやりとりを見て、そして頷いた。


「それじゃ2人で、ちょいちょいとバットを討伐してくるのニャ。そう時間はかからニャいと思うから、のんびりここで待っていてほしいのニャ」


 そう言って、去って行く2人を見て、俺は思った。

 いいのだろうか、後衛を置いて前衛だけで出て行くなんてと。


 しかし後方の魔物は全滅させている。

 前方は真っ直ぐに近い坑道なので、俺の電撃魔法が使えるだろう。


 そもそもクリスタさんがいる時点で、どうにでもなるような気がする。

 だから置いて行かれた後衛が危険という事は、多分、無い。


 そしてジョン達の方も、多分問題ないのだろう。

 ミーニャさん、バット100匹以下なら全然余裕という感じだ。

 ジョンがいなくても、どうにでもなる位に。


 それでもジョンを連れて行くのは、こういった場で、どれくらい戦力になるか確かめるためだろう。

 ジョンもそのことは、わかっているだろうけれど。

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