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今生はのんびり釣りをしたい ~元技術者で今は冒険者の、微妙にままならない日々~  作者: 於田縫紀
第2章 猫の餌付け? あるいは比較的平和な釣りと採取の日々

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第20話 舌平目は手づかみで

 おかしい。

 この魚、体長1mくらいはあった筈だ。

 間違っても2人で食べる量ではない。


 俺としては余った分を魔法収納(アイテムボックス)に入れておくつもりだった。

 ちぎったパンに魚をのせ、この魚用に作ったタレをかけて食べる。そんな食べ方を楽しむために。


 しかし現実はマスグーフ、ほぼ無くなりかけている。

 理由は明らかだ。


「この脂ののったところにタレをかけると最高ニャのニャ!」


 なんて言いながら、凄い速度で食べ尽くしている巨猫のせい。

 何せ食べるのが早い。俺が1食べている間に9は食べる。


 この早さは小骨をまったく気にしないから、というだけではない。

 間違いなく食意地のせいだ。

 そして食べ始めてから30分も経たないうちに……


「美味しかったニャ。久しぶりにお腹いっぱいさかニャを食べたニャ」


 残ったのは焦げたヒレ、太い骨といったどうにも食べられない部分のみ。

 魚の身が少しでもついた部分は壊滅状態。

 下に敷いた野菜は結構残っているけれど。


「よく食べましたね。結構量があったと思うのですけれど」


「さかニャは猫獣人の主食で完全食ニャ。でも魚だけでお腹いっぱいになるほど買うと破産するニャ」


 そりゃ破産するだろうと思う。魚に限らず、この食欲なら。

 あと魚が完全食という事は多分ない。

 猫獣人は人間なのだ。普通人とほんの少し違う程度で。


 でもまあ気を取り直そう。

 大物を釣ったし美味しく食べられた。今はそれでいいじゃないかと。

 それにミーニャさん、気になる事を言っていた。


『何なら明日の早朝、捕り方を教えるニャ。春から夏の終わりくらいまでは、この裏の海岸で簡単に捕れるニャ』


 ならこの舌平目について聞く方が正しいだろう。次のターゲットとして。


「ミーニャさん。いただいた舌平目、あれはどうやって捕ったのでしょうか?」


「明日も雨が降らニャければ朝4時、この裏の海で捕るニャ。来れば一緒に捕るニャ。濡れても大丈夫な靴と、さかニャを入れる袋があれば、それでいいのニャ」


 方法は不明だけれど、明日の朝にはわかるのか。

 靴以外の装備や道具の話はないから、おそらく釣りでは無いのだろう。

 それでも楽しみだ。


「それではごちそうさまなのニャ。また美味しい魚があったら呼んでくれると嬉しいニャ」


 呼んだのではなく、勝手に来ただけという気がするけれど。


「面倒なので近道して帰るニャ」


 ミーニャさんはそう言うと、門ではなく東側の塀方向へ向かって歩いて、そしてジャンプ。


 うん、バスローブの下は穿いていなかった。

 そうだろうなとは思っていたけれど。


 おかげでジャンプすると完全にお尻が丸見えだった。

 夜に庭に出ていたので暗視魔法を起動状態にしたままだったのだ。


 なので猫獣人の尻尾は普通の人間の尻についているんだなと確認できた。

 それ以上についても目に焼き付けたけれど……


 とりあえずソウギョのほとんどと引き換えに、目の保養はさせて貰った。

 損得勘定は微妙だけれど。

 強いて言えば挨拶で貰った舌平目の一夜干し3枚分だけ得かな。


 とりあえずこれは魔法収納(アイテムボックス)に入れておいて。

 とりあえず腹は膨れたし、片付けて寝るとしよう。


 ◇◇◇


 朝3時30分に起床魔法で目覚め、顔を洗って着替える。

 新しい方の服を着て冒険者ギルドで借りたブーツを履いて、そして外へ。


 まだ日は昇っていないが、空は明るくなり始めている。

 暗視魔法を使わなくてもある程度足元が見える程度には。

 勿論暗視魔法は起動するけれど。


 昨日作った短絡路で防風林に出て、そして砂浜へ。

 周囲を確認。ミーニャさんの気配は……


 いた。俺から見て東側20m、ちょうど防風林から出てくるところだ。


「おはようございます」


「おはようニャ。それじゃ早速さかニャ捕りニャ」


 ミーニャさんの今日の格好は、生地厚めの半袖シャツに短いスカート。

 色はどちらも濃緑だと思うけれど、暗いのでよく見えない。

 スカートから出た足の白さが印象的だ。


「ところでエイダンは、暗くても見えるかニャ」


「ええ。暗視魔法を起動していますから」


「なら問題無いのニャ。ついてくるのニャ」


 ミーニャさんはそのまま海へと入っていく。

 波が来た時に大体膝下くらいになる深さまで行った後、東方向を向いた。


「ここからは海の中を見て歩くニャ。波で見えにくいから、ゆっくりゆっくり行くニャ」


 海の中といっても、せいぜい水深30cm程度。

 だから波の白い部分さえ通らなければ、底は見える。

 もっとも底にあるのは砂だけだけれど。


 ただミーニャさんが真剣に見ながら歩いているから、俺も同じように見て歩く。

 本当にこんなので捕まえられるのだろうかと思いながら。


 そんな調子で50m位歩いたところで、ミーニャさんが右手を出して俺を止める。


「いたニャ。見えるかニャ。私の正面、2m位のところニャ」


 どれだろう。特に他と変わらない気がするけれど……

 いや、砂が微妙に盛り上がっている気がする。


「少し盛り上がっている気がしますが」


「さかニャが底にひっついているのニャ。だからこうして」


 ミーニャさん、ゆっくり歩いて、そしていきなり両手でその盛り上がりを掴む。

 持ち上げると確かに舌平目。30cm位のそこそこいい形だ。


「さかニャ、ゲットニャ。日が昇るまでは狙えるニャ」


 ミーニャさんは慣れた感じで袋へ入れる。

 暴れない所を見ると、あの袋、魔法収納(アイテムボックス)と同じような時間停止型の収納魔道具なのだろう。


「よくわかりますね、今の」


「慣れるとすぐわかるニャ。それでは次を探すニャ」


 その後俺たちは日の出までの1時間半くらい、海辺を歩いて舌平目探しを続けた。

 なお成果はミーニャさん4匹、俺1匹。


「2日に1回、秋の半ばくらいまでこれをやるニャ。そうすればとりあえず、朝食べるくらいのさかニャは捕れるニャ」


 まさかこんな浅い場所まで魚、それもそこそこ大きいのが来ているとは思わなかった。

 なら昼間でも、ある程度投げれば釣れるだろうか。

 餌はやっぱり、ゴカイとかイソメあたりだろうか。


 いずれにせよ、面白い事を教えて貰った。

 魚が捕れるのは釣りでは無くとも楽しい。

 何なら明日の朝もやってみよう。

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