✧ 第二章:闇の縁での出会い ✧
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夜明け前、森の中心で冷たい草の上に小さな体が横たわっていた。 痩せた少年、裸足で、ボロボロの服はまるで敗戦した戦いのよう。顔は青白く、額は汗で濡れ、胸はか細い息をするたびにゆっくりと上下する。風に逆らうろうそくの炎のようだった。
その子の名はロイド。 オーステリアで起きた惨事で焼け落ちた街で唯一生き延びた者。 人々が「空虚」としか見なかった子ども…核を持たない欠陥のある存在。
…
目を覚ました時、ロイドは久しぶりに感じる温かい場所にいた。質素だが心地良いベッドに横たわり、毛布が疲れた体を包んでいた。傍には、長い間嗅いだことのない香りを放つ食べ物の入った皿が置かれていた。
食べ物を見つけると、彼は狂ったように食いついた。全てを素早く平らげ、一口ごとに涙がこぼれた。今回の涙は悲しみではなく、飢えた喜び、二度とパンを口にできないと思った子どもの歓びだった。
その時、ドアがゆっくりと開き、四十代半ばの男が入ってきた。白く縮れた髪、鋭い顔つきは力と経験を感じさせ、黒い瞳は獲物を狙う刃のように鋭く光っていた。彼の存在感だけで場は静かな威厳に満ちた。
ロイドは一瞬食べるのを止め、大きく見開いた目で男を見つめた。男自身ではなく、彼から放たれる力に奇妙な畏怖を感じた。
見知らぬ男は小さく微笑み、低く深い声で言った。 「落ち着け、少年…食べ物は逃げやしない」
ロイドは慎重で疑いの混じった眼差しで男の顔を見つめ、再び食べ始めたが、今度は警戒しながら。男はしばらく立って彼を見守った後、ベッドの傍の木製の椅子に座った。
「俺の名はカイン」 彼の声は静かだが、軽視できない重みを帯びていた。 「森で死にかけているお前を発見した。助けた…だが、不可解なのはお前が核を持っていないことだ。こんなものは生涯見たことがない」
ロイドは凍りつき、一瞬咀嚼を止めた。男の言葉は癒えない古傷を再びえぐった。 カインは笑ったが、嘲笑ではなく真剣な関心を込めて言った。 「怖がるな。俺にとって核が全てじゃない。重要なのは剣を握る手…そして折れない心だ」
ロイドは胸に奇妙な熱を感じ、亡き父の言葉を思い出した。運命が新たな顔で古い教えのこだまを返してきたかのようだった。
カインは立ち上がり、ドアの方に向かった。しかし、出て行く前に断定的な口調で言った。 「よければ、ここに残れ。ここは安全だ。もし核なくして生きるのがお前の運命なら…核なしで戦う方法を教えよう」
彼は去り、部屋には沈黙が残された。 カインが去った後、ロイドは黙って座り、閉じたドアを見つめながら、胸の中は恐怖、驚き、好奇心が入り混じっていた。 あの不運な夜以来初めて安全を感じたが、あの男の存在と威厳のために眠ることは不可能に思えた。
ゆっくりと時間が過ぎ、カインが薪を持って戻ってきた。暖炉に火を灯すと、部屋は優しい温もりに包まれた。彼はロイドに向き直って言った。 「少なくとも力が戻るまでここにいろ。その後…どうするか決めよう」
ロイドは答えず、ただ恥ずかしそうにうなずいた。従う以外に選択肢はなかった。
その後数日間、ロイドは森の端にあるカインの質素な丸太小屋での生活に慣れ始めた。食べ物はあり、ベッドは温かく、火は絶えず燃えていた。彼が経験した飢えや寒さに比べれば天国だった。
しかし、本当に彼の好奇心を刺激したのはカインその人だった。 カインは夜明け前に起き、巨大な剣を背負って森の中に消えた。数時間後に疲れた様子で戻ってくるが、顔は常に平静を保っていた。彼の目には、いくつもの人生を生きてきた者の眼差しがあり、想像を超える秘密を宿しているようだった。
ある夜、二人で暖炉の傍に座っている時、ロイドはためらいながら尋ねた。 「なぜ…私を助けたのですか?」
カインは磨いていた剣から目を上げ、短い沈黙の後答えた。 「お前に、遠い昔に自分の中に見たものを見たからだ」
ロイドはその言葉の意味を完全には理解できなかったが、それは彼の心に深く響いた。
数日後、カインは断定的な口調で言った。 「ロイド…お前は核がない。それはお前の人生を誰よりも困難にする。だが、俺とともにいることを望むなら、剣の握り方を教えよう。剣に核は要らない…必要なのは堅い手と揺るがない心だ」 ロイドは少し躊躇し、それから顔を上げて震える声で言った。 「で…でもどうやって?どうすればいいんです?私はただの弱い人間です。技術も力も、何の特長もありません」
カインは剣を傍に置きながら笑った。 「技術が生まれつきだと思うか?もちろん違う。技術は獲得するものだ。それと…“気”というものを聞いたことがあるか?」
「気…?」ロイドは驚いて返した。
「ああ、気だ」カインは真剣な口調で答えた。
「それは何ですか?特別な力ですか?核がなくても使えるんですか?」
カインは爆笑した、嘲笑ではなく自信に満ちた笑い声だった。 「ははははは…気は技術でも超常力でもない。それは全ての感覚を完全に制御し高めることだ。それを極めれば、他人が感知できないものを見、聞き、感じられるようになる。それはお前を力の新たな次元へ導く。だが当然、体を鍛えるのと同じように脳も鍛えねばならん」
ロイドは黙っていたが、彼の目は久しぶりに輝き始めていた。カインの言うことを完全には理解できなかったが、何かが目の前に開けたのを感じた…これまで知らなかった扉が。
暖炉で踊る炎と、森を包む夜の静寂の中から、師と弟子の新たな絆が生まれた。 核なき少年を、無からの剣へと変える運命の絆が。
| 第二章の終わり |
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